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マジメなサラリーマン諸君!「あなたも節税できます」 そのテクニックを伝授します 

   世の中はお笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実さん(44)の納税をめぐって喧しいが、月々の給与から税金が控除されるサラリーマンは、納税では「マジメ」一辺倒。節税すら、ままならない。そう思っている人は少なくないのではないか――。

   ところが、本書「超実践! サラリーマン節税術」によれば、サラリーマンはマジメすぎて(?)、みすみす節約できるところもスルーしているケースが多いという。もうすぐ、年末調整の季節がやって来る。サラリーマンも、「節税術」は知っておいたほうがいいに決まってる。

「超実践! サラリーマン節税術」(梅本正樹著)彩図社
  • マジメなサラリーマンも節税、やってみたら……
    マジメなサラリーマンも節税、やってみたら……
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「節税は最高の知的ゲーム」

   かつては約30年だったサラリーマン生活だが、現役生活が長くなり現代では50年に達しようかというところ。若いうちからしっかり節税すれば、老後に必要とする「2000万円」だって、プールすることができるかもしれない。

   税理士、社会保険労務士などの資格を持ち、ファイナンシャルプランナーとして活躍している、著者の梅本正樹さんによると、「節税は最高の知的ゲーム」なのだそうだ。節税にはさまざまなテクニックがあるが、本書では基本レベルを紹介したという。

   この「最高の知的ゲーム」のプレーヤーになるためには、課税所得額330万円の所得税率は10%だが、それより1万円だけ多い331万円では20%となる「累進課税方式」のカラクリなどを知ることが、キホンの「キ」。1万円増えるだけで、所得税が33万2000円も高くなる計算だ。もちろん、実際にはそんなことはなく、所得金額が境界線に近い金額の場合は、境界線を超えた分だけアップした税率が適用される。つまり課税所得が331万円なら、330万円までが税率10%、境界線を超えた1万円について20%となり、増加分は2000円になるというわけだ。

   カラクリがわかればホッとするが、日本のサラリーマンは諸外国のサラリーマンと比較して税金に対する関心が薄く、「いったい自分がいくら税金を払っているか知らない人もいるよう」と、梅本さんは指摘する。

   本書では節税テクニックの本論に入る前に、「累進課税方式」のほか、源泉徴収制度の詳細や、給与明細の見方、「給与」と「給料」の違いなどが解説されており、読み進みがスムーズだ。

医療費控除は家族まとめて

   サラリーマンが、まず考えるべき節税は「控除」だ。サラリーマンの確定申告で相談を受けることも多い著者。節税意識のある人たちでも、控除の機会をみすみす逃している例を数多くみてきたという。

   たとえば医療費控除。「数ある所得控除の中でも、メジャー度などから筆頭格」だ。1年で10万円に達すれば税金が戻ってくるものだが、給与所得が200万円未満なら、領収書が10万円未満でも還付がある可能性があることがまず一つ。また、医薬品も少額なものでも対象になることや、介護費用も領収書の区分けしだいで対象になることを知らない人が意外に多いという。

   医療費控除の対象は200万円が限度で、超過額は切り捨てられてしまう。「そのような場合は、あえて年をまたいで治療を受ければ、1年あたりの治療費が200万円以内におさまり、2年分にわたって損することなく医療費控除を受けられる」。

   医療費ではまた、家族のなかで各自に所得があるためそれぞれに申告しているケースが多くみられる。これは非常にムダの多いやり方。たとえば、父母と長男の3人家族でそれぞれ12万円ずつ医療費だとすると、節税額の合計は、各自が控除した場合は1万2000円だが、父がまとめて行うと、5万2000円になる。控除には原則1人あたり10万円の足切額があるからで、それぞれに控除するとこれが3倍になる。また、控除をまとめた場合は、所得税率の一番高い人で控除することが鉄則という。税率が高いと、還付される税金も高くなるからだ。

   本書では、ほかにもたくさんあるという一般に見過ごされがちな控除の解説や、広まりつつある「副業」での税金との付き合い方など、現代にもふさわしい「知的ゲーム」のプレー法が紹介されている。

「超実践! サラリーマン節税術」
梅本正樹著
彩図社
税別1300円