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「元気をもらえる」「泣けた」...... ドラマ「同期のサクラ」に称賛の嵐 ビジネスパーソンを虜にする理由

   2019年10月9日から放送が始まった高畑充希さん主演のドラマ「同期のサクラ」(日本テレビ系)がビジネスパーソンの間で大評判になっている。

   初回の平均視聴率は8.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったが、クチコミでしだいに人気が高まり、10月30日の4回目の放送では初の2ケタの11.5%に上昇した。

   インターネット上では、

「元気をもらえる」
「しみます。号泣した」
「名言すぎる」

と、評価が高まっている。ビジネスパーソンを虜にする魅力はどこにあるのか。

  • 「同期のサクラ」主演の高畑充希さん(2015年撮影)
    「同期のサクラ」主演の高畑充希さん(2015年撮影)
  • 「同期のサクラ」主演の高畑充希さん(2015年撮影)

入社式の社長挨拶にヒロイン「話が長すぎます」

   主人公は、過疎の離島(新潟県美咲島という架空の島)で育ち、故郷に橋をかけるという夢をかなえるために大手ゼネコン「花村建設」に入社した北野サクラ(高畑さん)。サクラは夢の実現のためには、どんな障害にも絶対に自分を曲げない、上司にもいっさい妥協も忖度もしない人物だ。入社式でも社長のスピーチに、「話が長いと思いました」と、立場をわきまえない発言をして周囲を驚かせる。

   物語は、サクラとその同期入社した4人、月村百合(橋本愛さん)、木島葵(新田真剣佑さん)、清水菊夫(竜星涼さん)、土井蓮太郎(岡山天音さん)が駆け抜けた2009年からの10年間を毎話1年ずつで描いていく。ドラマは毎回、病院のベッドに横たわり、意識が戻らないまま人口呼吸器をつけたサクラに同期の一人が「サクラのおかげで自分の人生が変わった」などと語りかけるシーンで始まる。そして、自分の生き方がなぜ変わったか、サクラとの過去を振り返りつつ、「10年間の物語」が「1話=1年」で展開していく。サクラがなぜ昏睡状態になったかというミステリーをはらんでいる展開も見事だ。

   「私には夢があります」が口癖で、マイペースを貫くサクラ。クールでありながら周りの空気を読むことが上手な百合。出世のためには忖度も厭わない葵、人のために力になろうとする熱血漢の菊夫、努力型だがマイナス思考の蓮太郎。このドラマは、性格がバラバラな同期生たちが、企業社会の中で友情を深めて協力し合い、強烈な個性の持ち主であるサクラに影響されながら成長していく物語なのだ。

「サクラの正直で真っ直ぐなところに勇気をもらえる」

   ネット上ではまず、自分の信念一直線、周囲の空気をまったく読まない、サイボーグのように強烈な個性の持ち主のサクラに称賛の声が多かった。

「サクラの正直で真っ直ぐなところに勇気をもらえる。 私も自分の仕事に強くありたいと...明日も頑張るぞ~!!」
「サクラは正直ウザっと言われることが多いけど、理不尽なことに正論や倫理観をぶつけずに、長い物に巻かれた方が大人だよ~とする社会の方が本当にヤバいと思う。サクラはそんなヤバさをあぶり出しているね」
「無表情なサクラですが、決して笑えないわけではありません。終わりのほうですごくいい顔で笑うんです。私は毎回その笑顔に泣かされています」
「自分に重なり目頭が熱くなりました。他人のせいにしないようこれからも努力し続けます」

   それぞれ個性豊かな同期たちの描かれ方と、1話=1年というドラマの手法にも賛辞の声が。

「毎回、泣いてしまっている自分がいます。同期とか仲間とか、仕事に熱くなるとかが希薄な現代で、心が熱くなるとても良い作品だと思います」
「この手法って最近の小説みたいだと、ふと思った。〇〇〇〇の章と区切りながら、一人ひとりの人物像を浮き彫りにしていく。菊夫、百合、蓮太郎と来て4回目は、一見蓮太郎と真逆の性格を持っているかに見える葵の章...。いつも笑顔で、元気よく、上司や同僚ともお得意の社交術と調子のよさを駆使してなんの悩みもなさそうだった葵にも実は闇があった」

「じいちゃんのFAXの返事が名言すぎる」

   ドラマには、芸歴の長い津嘉山正種(つかやま・まさね)さんがサクラの「じいちゃん」役で登場する。両親を事故で失ったサクラは、美咲島に一人で暮らす祖父に育てられ、この祖父のために橋を架けるのが夢だったのだ。サイボーグのようなサクラでもくじけそうになるときがある。「じいちゃん」にFAXで相談すると、温かいアドバイスがFAXで返ってくる。「大人になるとは、自分の弱さを認めることだ」などなど。この名言の数々もドラマのヤマ場だ。

「じいちゃんの一言が最高です。どんな言葉が返ってくるのか、サクラがFAX送った後の返事を私なりに毎回想像するのですが、いつも目からウロコ。サクラが壁に貼り付けているけど、私もそのコピーもらって貼りたいで!」
「じいちゃんの書に毎回見惚れています。年寄りの声を大事にしてくれるドラマ。シニア世代には嬉しい」

   もっとも、「こんな社員、現実にはあり得ない!」という批判の声もある。

「まさにクサイ。あり得ない青春ドラマ。あり得ない設定。一平社員が他部の部長に抗議に行くか。何もかも無茶苦茶」

   そうした批判を吹き飛ばすほどのパワーをこのドラマは持っているという。

「現実には、このドラマのような展開は当然難しいです。まさに会社で正論を言い、それが原因でパワハラにあい、クビにされそうになりながら踏み止まっている私は、現実の厳しさに直面しています。でもサクラの真っ直ぐな行動や同期の人間関係につい癒されます。じいちゃんからの言葉もちょっとした栄養剤」
「いろいろ合点がいかない所もあるけど、それはドラマだから。現実をテレビで見せたってドラマにならない。ドキュメンタリー番組じゃないのだから。こんな同期や仲間がいたらなあ~って、いつも終盤では涙が出てきます。『説得に行こう』と提案するサクラに、百合の『サクラが、そう言うなら』という。自分にも、そう言ってくれる人が一人でもいればな~と思う。関係ないけど、戦前派・戦中派でもない私は『同期の桜』の歌を聞くと、何故か号泣してしまいます。何故なんだろう?」

(福田和郎)