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「開業医はつらいよ」スキルや評判が悪いと年収数百万円も 意外にリスキーな仕事だった

   医師といえば高給取りの職業。なかでも開業医は「億」の年収も珍しくない、あこがれのセレブでは――。

   そんなイメージが覆される調査結果が発表された。開業医といっても、ピンからキリまで。立地条件などに問題があれば、年収数百万円クラスに甘んじる人は少なくない、非常にリスキーなお仕事であることがわかった。

  • 開業医も楽ではない(写真はイメージ)
    開業医も楽ではない(写真はイメージ)
  • 開業医も楽ではない(写真はイメージ)

男性医師のほうが女性より600万円多く稼ぐ

   「医師の年収・給料はどのくらい? 1855名の最新アンケート調査」を、2019年11月1日に発表したのは、医師向け転職サイト「医師ドットコム」を運営する医師転職研究所だ。

   医師には大まかに言って、大学病院やそれ以外の病院、あるいはクリニックなどに勤める「勤務医」と、自らクリニックや医院を経営する「開業医」に分かれる。一般的に言って、開業医のほうが勤務医より年収が高いといわれるが、どうだろうか。

   医師、とくに勤務医はアルバイトや副業をしている人が非常に多い。まず、アルバイトや副業をしているかどうかを聞くと、68%がアルバイトなどをしていた。そのアルバイト・副業を含めた現在の年収を聞いたところ、下記表(1)のような結果となった。

表(1)医師全体の年収
表(1)医師全体の年収

   1400万円~1600万円が12.9%で最も多く、それとほぼ並んで1600万円~1800万円が12.7%と続く。年収の中央値は1700万円となった。

   また、1000万円~1200万円までの年収帯は比較的多くいるが、2200万円以上の高収入クラスになると、あまりいなくなることがわかる。一方で、年収3000万円以上の超高収入クラスも全体の5.8%を占める。

   ちなみに、年収が最も高かったのは40代の開業医の小児科医で1億5000万円だった。

   年収を男女別で見ると、男性医師のほうが女性医師より高かった。男性医師の年収中央値は1700万円、一方、女性医師の年収中央値は1100万円だから、女性のほうが600万円も低いことになる。

   しかし、これは必ずしも「女性差別」の結果とはいえず、女性のほうが男性より平均年齢が10歳若いことに加えて、育児や出産などの事情によって勤務時間と勤務日数が大幅に少ないことが挙げられるという。

開業医に年収の格差が激しすぎる理由は

   では、開業医は勤務医よりどれだけ年収が高いのだろうか――。開業医ではアルバイトをする人があまりいないため、公平を期するために勤務医も「アルバイト抜き」の勤務先の収入のみで比較した。

   まず、勤務医の年収を調べたのが表(2)だ。勤務医では、800万円未満が一番多く22.6%、次いで1400万円~1600万円が13.2%と続く。年収の中央値は1300万円だった。

表(2)勤務医の年収(アルバイトを除く)
表(2)勤務医の年収(アルバイトを除く)

   一方、開業医の年収を調べたのが表(3)。800万円未満が17.3%と最も多いものの、次に多いのが3000万円以上の16.4%と、上と下が突出して多く、真ん中部分が少ないという、バラツキが非常に大きい結果となった。ちなみに開業医の年収中央値は1700万円で、勤務医の1.3倍だ。しかし、開業医の中には勤務医の中央値にも達しない人が4割近くいた。

表(3)開業医の年収
表(3)開業医の年収

   このように開業医に年収の差が激しく、成功した人とそうでない人のあいだに大きな違いが出るのはどういうことか――。

   調査に当たった医師転職研究所では、

「開業医は、医師としての経験年数やスキル、また医院の立地条件や経営者として能力の差などによって、年収が大きく上がりやすい一方で、勤務医の年収中央値に満たない医師も一定数出ています。リターンとリスクともに勤務医に比べて非常に大きい世界といえます」

と分析している。

   開業すれば高収入が約束されるというわけではない、厳しい職業なのだ。