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【日韓経済戦争】衝撃! 韓国向けビール輸出ついに「ゼロ」 不買運動がまったく収まらない理由は?

   日本の財務省は2019年11月28日、貿易統計を発表して、今年10月の韓国向けビール輸出額が「ゼロ」になったことを明らかにした。

   もちろん、前代未聞の数字である。なぜ、いっこうに韓国の不買運動が収まろうとしないのか。韓国紙で読み解くと――。

  • 不買運動で価格引き上げに追い込まれた日本ビール(聯合ニュース11月5日付)
    不買運動で価格引き上げに追い込まれた日本ビール(聯合ニュース11月5日付)
  • 不買運動で価格引き上げに追い込まれた日本ビール(聯合ニュース11月5日付)

人気都市の大阪1位、福岡2位、東京4位...... が全部圏外に

   ついに輸出が「ゼロ」という衝撃的なニュースを伝えるのは、朝日新聞(2019年11月28日付)「韓国向けビールの輸出がゼロに 日本製の不買運動影響か」だ。

「財務省が11月28日発表した貿易統計の確報によると、韓国向けビールの輸出が10月はゼロ(円)となった。前年(2018年)同月は数量で824万リットル、金額ベースで約8億円を出荷していた。日韓関係の悪化を受け、韓国で巻き起こっている日本製品の『不買運動』が影響したようだ」

   日本のビールメーカーにとって、韓国はこれまで最大の輸出先だった。また、韓国内でも日本ビールはつねに外国産ビールのトップを独占していた。

   それが今年7月、日本の輸出規制が始まって以来、日本車、日本食品、ユニクロ製品などと並んで「不買運動」のやり玉にあがった。9月以降はスーパーやコンビニなどで日本ビールを置く店舗がほとんどなくなり、納品価格の大幅な引き下げも行ったが、打つ手に窮した。

   唯一、日本ビールを出す和食系居酒屋も攻撃の対象にされ、閉店に追い込まれるところが続出するありさま。

   こうして日本ビールの輸出額は、8月には前年比92%減、9月には同99.9%減のわずか58万円に激減するありさまだったから、「ゼロ円」になるのは時間の問題だったわけだ。

日本のレトロブーム便乗が「植民地美化」と猛批判

   いっこうに衰えない不買運動の矛先は、日本への旅行にも向かっている。中央日報(11月27日付)「この冬韓国人に人気の海外旅行先、日本都市は10位圏外へ」が、こう伝えている。

「今冬、韓国人の海外観光が増加しているが、伝統的な観光地だった日本は人気の観光地ランキングの上位から押し出されたことがわかった。韓国の旅行会社ウィメプツアーは11月27日、12月に出発する海外航空券の予約が前年同期に比べて20%増加したと発表した。ベトナム・ダナンに行く顧客が海外航空券の予約者全体の9.5%で、冬の旅行の人気都市ランキング1位に選ばれた。続いて米国・グアム、フィリピン・セブ、タイ・バンコク、台湾・台北の順だった」
「一方、日本を訪れる旅行者は急激に減少した。昨年12月に人気の旅行地1位だった大阪は予約者数が86%減少した。昨年は大阪(1位)、福岡(2位)、東京(4位)、沖縄(8位)と10位圏内に4都市も含まれていた日本の旅行地は、いずれも10位圏外に押し出された」

   韓国から日本への旅行客が激減しているというのに、韓国側は日本からの観光客を大いに呼び込もうとしているのだから、したたかといえばしたたか。だが、その方策が韓国内の「反日運動」を刺激して裏目に出てしまったケースがこれだ。

   聯合ニュース(11月27日付)「日本人向け広報映像『植民地時代の美化ではない』韓国観光公社が釈明」がこう伝えている。

「韓国観光公社は11月27日、同公社が製作した日本人観光客向けの広報映像に日本による植民地時代を美化する内容が含まれていると一部で指摘されていることについて、『美化する意図はなかった』と釈明した」

   日本では今、「ニューレトロ」がブームになっている。全国各地の「小江戸」観光が人気を呼んでいるし、今夏には渋谷ヒカリエで「昭和レトロ懐かわいい市」が開かれたときは、1か月間にわたって大賑わいの盛況だった。韓国観光公社は、古いものを楽しむ「ニューレトロ」が日本市場で流行していることに目を付けたのだ。

   そこで、1900年代初期の風情を残すソウルの解放村や仁川の開港場などを撮影し、日本人向けの新たな観光地としてアピールしようとした。ところが、その中に、植民地時代にソウル・南山に設置された神社に向かう「解放村の階段」などが映っていたのがまずかった。「植民地時代を美化して、日本に迎合している」いると猛批判を浴びた。結局、この日本人観光客向け広報映像はお蔵入りになった。

韓流アイドル「TWICE」の日本での爆発的人気に留飲

   こうした一向に収まらない不買運動にあって、韓国メディアが留飲を下げるニュースが飛び込んできた。韓流アイドル「TWICE」の日本での爆発的な人気だ。TWICEは韓国の9人組女性アイドルグループで、メンバーの中には3人の日本人が入っている。

   聯合ニュース(11月28日付)「韓流TWICEの日本2ndアルバム オリコン週間1位=通算5作目」が喜びを、こう伝えている。

「オリコンによると、韓国の人気ガールズグループ、TWICE(トゥワイス)の日本セカンドアルバム『&TWICE』(11月20日発売)が初週約12万4000枚を売り上げ、最新オリコン週間アルバムランキング(集計期間11月18~24日)で初登場1位を獲得した。通算5作目の1位だ。ニューアルバム『&TWICE』はリード曲『Fake & True』など全10曲を収録。『いつもTWICEと一緒』というファンへのメッセージを込めている」

   そして、聯合ニュースは誇らしげに、こう結んでいる。

「TWICEはK-POPアーティストで唯一、大みそかの『第70回NHK紅白歌合戦』に出場する」

(福田和郎)