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【日韓経済戦争】ユニクロと日本車の売り上げが元の水準に!不買運動が終わった?それとも... 韓国紙で読み解くと――

   「熱しやすくて冷めやすい」といわれる韓国の国民性にしては、昨年(2019年)7月の日本の輸出管理強化以降、半年間も続いてきた日本製品不買運動。それが、ようやく沈静化の兆しを見せてきたようだ。

   不買運動の象徴だったカジュアル衣料大手「ユニクロ」製品と日本車の売り上げが、ほぼ不買運動以前の水準に戻ったというのだ。韓国紙から読み解くと――。

  • 「ユニクロ」の柳井正会長(2012年9月撮影)
    「ユニクロ」の柳井正会長(2012年9月撮影)
  • 「ユニクロ」の柳井正会長(2012年9月撮影)

人目のないオンラインの客が回復

   ユニクロの復調ぶりを聯合ニュース(2020年1月5日付)「韓国の日本製品不買運動『下火』か ユニクロなどのアプリ利用者増加」がこう伝えている。

「韓国で広がった日本製品の不買運動が下火の兆候を見せている。象徴的なターゲットとなったカジュアル衣料品店ユニクロなど日本ブランドのモバイルアプリの利用者数が、不買運動が起きる前の水準をほぼ回復したことが1月5日、わかった。アプリ分析などを手がけるアイジーエイワークスによると、ユニクロアプリ(アンドロイド版)の昨年11月の月間利用者数(MAU)は68万8714人となり、不買運動以前の上半期(1~6月)の平均(71万1924人)に迫った」

   これは不買運動以前の97%にまで回復したことになる。ユニクロアプリ利用者は不買運動が本格化した昨年9月には27万6287人(39%)にまで落ち込んだから、急回復ぶりがうかがえる。生活雑貨店「無印良品」のアプリの月間利用者数も昨年9月に2万9008人まで落ち込んだが、11月に4万4672人、12月に4万5523人に増加し、上半期の平均(5万4628人)の83%まで回復した。

   いったいどうして不買運動が収まりつつあるのか。聯合ニュースはこうした見方を紹介している。

「不買運動はオンライン市場にも大きな影響を与えたが、時間が経つにつれて話題性が薄れ、反日ムードは沈静化しているとの見方が出ている。デジタルマーケティング業界の関係者は『オンラインの消費環境は周りの目を意識せざるを得ないオフライン店舗とは違う。ユニクロの場合、主力商品のヒートテックのセールなど、年末の攻撃的なマーケティングもアプリ利用者数の増加を後押しした』と分析した」

   ユニクロは昨年11月、6日間にわたって最大50%もの割引に加え、なにか1つでも商品を買うとヒートテックを無料でつけるという大出血セールを行った。韓国中のユニクロ店舗が押すな押すなの盛況となり、10万枚のヒートテックが即日でなくなった。当時、多くの韓国紙が、

「おまけ下着セール」
「ずる賢いマーケティング」

などと批判し、行列に並ぶ韓国国民に対して、

「愛国心がないのか。日本のメディアが喜んでいる」

と訴える識者のコメントを載せるところもあった。

「100万円」大出血割引セールの日本車

   ともあれ、ユニクロもひと息ついた形だが、まだ業績が元に戻ったわけでない。中央日報(2020年1月5日付)「日本商品不買運動の余波で韓国ユニクロ運営会社の配当『0ウォン』」が苦しい状況をこう伝える。

「韓国のユニクロ運営会社FRLコリアが不買運動の余波で業績が悪化し、期末配当をしないことにした。FRLコリアは昨年末に金融監督院電子公示システムに上げた監査報告書に、昨年3月~8月の業績を基準とした期末配当金を0ウォンと記載した。同社は日本のファーストリテイリングが51%、韓国のロッテショッピングが49%の株式を持つが、2011年の設立以降で期末配当をしないのは今回が初めてだ」

   さて、日本車の復活のほうはどうか。朝鮮日報(2020年1月7日付)「日本車の販売台数、不買運動以前の水準回復」がこう伝える。

「韓国輸入自動車協会(KAIDA)は1月6日、日本車不買運動の影響で昨年の日本車の販売台数は3万6661台となり、前年を19%(約8600台)下回ったと発表した。しかし、昨年11月以降、日本車の販売台数は徐々に回復している。日本車は昨年12月に3670台を売り上げ、昨年7月に始まった不買運動以前の水準(=6月3946台)を回復した」

   これは、不買運動以前の93%にまで回復したことになる。昨年10月まで2000台以下にとどまっていた日本車の販売台数は、翌11月(2357台)から増加に転じた。ホンダの主力モデル、アコードは値引きキャンペーンで昨年12月に前月比130%増の1045台を売り上げたほか、トヨタ、日産の販売台数もそれぞれ70%、12%増加した。業界関係者は「日本車が年末にかけ値引きや景品イベントを実施した効果が表れた」と指摘したという。

   ここでも、各日本車メーカーはユニクロ同様に大出血セールを行ったのだった。昨年11月、各社は大割引セールを行った。ホンダは約510万円の大型SUV「パイロット」を約140万安の約370万円で販売、在庫を完売した。日産も約540万円のインフィニティを約140万円安の400万円で売り出すなど、ほとんどの車種に100万円近い割引セールを行なった。「割引なし」に固執したトヨタでさえ、車を買った客に数十万円相当の給油チケットを提供するありさまだった。

   韓国紙の中には、

「今日本車を買うなら、世界中で韓国が一番安い」

と報じるところもあった。

   こうした大出血セールを行わずに韓国で日本製品が買われるかが、新年を迎えた日本企業の正念場だ。

(福田和郎)