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楽天・三木谷社長の送料無料「何が何でもやる!」発言 ネットで総スカンの理由は?

   楽天の三木谷浩史会長兼社長は2020年1月29日、「楽天市場」の一部の出店者が反対している、一定額以上の商品を購入した利用者の送料を無料にする取り組みについて、「何がなんでも成功させていきたい」と述べ、今年3月から始める方針を明らかにした。

   このサービスが独占禁止法に違反する可能性があるとして、公正取引委員会が聞き取り調査を始めたとの報道に反発した格好だ。三木谷氏は、楽天市場が「アマゾンに負けている理由は送料」だと強調し、公正取引委員会の調査についても「公取がマスコミにリークするやり方は時代錯誤」と徹底抗戦する構えを示した。

   ただ、インターネット上では、こうした三木谷氏の姿勢に猛反発の声が広がっている。

  • ネットには反発の声が…… (三木谷浩史会長、2012年11月撮影)
    ネットには反発の声が…… (三木谷浩史会長、2012年11月撮影)
  • ネットには反発の声が…… (三木谷浩史会長、2012年11月撮影)

「自分の懐が痛まず、店を泣かせる構図がセブンと同じ」

   インターネット上では、今回の三木谷発言を、従業員の残業代が長期間未払いだったコンビニ大手のセブン-イレブンになぞらえて、「コンビニチェーンの本部だけが懐は痛まず、末端のフランチャイズ店が泣きをみる構図に似ている」という痛烈な指摘が目立った。

   三木谷氏を支持する声はほとんど見当たらない状態だ。

「どうも最近、セブン-イレブンと同じように親元になる会社は損をせず、下位になる会社や店が損を被るケースが多くなってきたように思う。利益の追求のために、人を足蹴にして何とも思わない要求をしているとしか思えない。それもゴリ押しと言うやり方がまかり通るのが理解できない。何となく今の安倍政権のやり方に似ている。経済界にもこういうリーダーが多くなっているのか」
「これほど強硬なのはトップの三木谷さんが発案者なのだろう。楽天にとって当然、出品商品の購買者が客ではあるが、出店者も事業上の客であるはずだが、三木谷さんにはそんな意識はないようだ。そんなにこだわるなら自分のポケットマネーを使って店側を助けようよ。金は自分のスポーツチームには使うのにね。金の亡者に成り果てて...... トップ失格だね。もう引退時だよ」
「昔から楽天系は当てにならない。オークションもYahoo!を真似たけど手数料や入金の制約で結局勝てなかったし、フリマもメルカリに負けているし、2匹目のドジョウを追いかけているけどダメ。最近は電話事業にも乗り出したけど、結局は基地局が全然設置できなくて、エリアも速度も安定性もダメ。無料で客を釣るだけで、サービス内容は最悪。何か覇権を得たものある? ヨソから買った楽天トラベルとEdyくらいか。おっと、プロ野球の楽天が一度だけ優勝したね」

   さらに、楽天の出店者からはこんな声が――。

「楽天出店者です。現時点で利益が少ないのだから、送料無料だと商品に価格転嫁するしかないが、点数が多すぎて変更が大変すぎる。来月(2月)に楽天とおさらば。YAHOO出店です」
「楽天に出店する場合、ロイヤリティが約10%。クレジット決済手数料(3~4%)に送料まで負担したら、店側の経費は売値の20%以上になる。原価が2~3割の商品ならともかく、原価が7割ほどの商品の場合、売れば売るほど赤字になる。結局、お客様も店舗も馬鹿にしている話です。得をするのは送料が商品値段に含まれて商品単価が上がり、ロイヤリティ代が増える楽天さんだけです」
「今 品川でやっている楽天カンファレンスに行ってきた出店者だけど、ロビーで泣いていた女性の出店者いたぞ。もう退店するしかないと」
「楽天さんにはお互い様という気持ちがないのかな? 出品をしていただく方がいて、商売が成り立っているのにね。出品者さんは、買っていただく方がいて、商売ができる。売り場を作っていただき商売ができている。みんな大事なパートナーだと思うけど、力関係が、10対0のような対応はどうなのかな?」
「私もネットショップは事業の一環でやっているが、楽天には出店してない。こういう情報を聞くと出さなくて良かったと思う。うちの店ならとっくに撤退している。楽天はもう終わったな」

「三木谷さん、アマゾンも運送会社と交渉していろいろ苦労しているよ」

   「送料無料」をうたうからには、楽天自身も汗をかいて、運送会社と交渉すべきだという意見が圧倒的に多かった。

「アマゾンに負けている部分が送料なら、楽天が窓口になって佐川なり、ヤマトなりに送料交渉すればいいのよ。個人商店がいくら頑張っても人手不足を大義名分に運送会社の強いこと強いこと。三木谷さん、アマゾンさんも運送会社の件ではいろいろ苦労していますよ。あなたも少しは自分で苦労すべきでは?」
「三木谷さんこそ時代錯誤。そもそも送料無料って時代を逆走しているよ。通販の荷物は増えている。ドライバーは減っている。流通関係をちょっとでもかじっていれば、運送費の高騰はわかるなず。疑問なのは、なぜ楽天は、懐を痛めない、汗もかかないで、流通業者との交渉を立場が弱い出店者に負わせるのか。出店している会社が痛手になるのは、明確なはずだ。結局、出品価格の高騰に跳ね上がり、出店者も楽天も共倒れになると思うけどね」
「自分は元出店者でしたが、出展料やらロイヤリティやらサイト利用料やら抜かれて原価が6から7掛けの商品を販売。確かに、楽天サイトは売れたが赤字続きで結局は撤退。送料無料が競争力を生むというなら、配送会社など必要ない。運んでもらうためには、そこにもサービス料は発生する。ただ箱にぶち込んで発送するわけじゃない。ラッピングをしたり梱包材を入れたり、発送するにも商品の他に人件費に資材費もかかる。それを出店者に負担させて、楽天には痛みがないのはどういうこと?」
「運賃まで決めちゃうのはいけないね。運賃って価格じゃなくて、大きさと重さと距離で決まる。4000円で160サイズのものを離島までの運賃無料にしたら、大赤字になりませんか?」
「『無料にする分の送料は楽天が負担する』というのであれば、素晴らしいサービスと思います」

「企業努力をしているアマゾンと汗をかかない楽天の違い」

   そもそも「楽天がアマゾンをライバル視すること自体が間違っている」という指摘が非常に多かった。「格」が違いすぎるというのだ。

   まず、利用者の声から――。

「楽天がアマゾンに負けているのは、単純に買いづらいから。楽天は商品の検索も、決済までの過程も面倒。ひと昔前のサイトだ。肝心のサイトにコストをかけないからアマゾンに負けるのであって、それを出品者にかぶせるのは筋違い。これからも楽天では買わない」
「アマゾンは、送料設定は出品者が選択できる。楽天は商品サイトが致命的に見づらい。キャンペーンがわかりづらい。いちいちエントリーがうざい。検索結果に同じ商品が山ほど表示されるのがうざい。決済時にデフォルトで広告メール受け取りにチェックされているのがうざい。あれ、いいところってどこだ?」
「私も本当は日本企業である楽天を応援したいと思いながら、ついアマゾンを利用してしまうのは、購入しやすい、サイトが使いやすいからです。多少高くてもアマゾンから買っています。トラブルがあってもアマゾンは販売店任せにせず、アマゾン自体が窓口となり、非があればクーポン券付きで丁寧な謝罪とともに対応してくれます。ただ、送料だけでや売り上げに差がついているのではないのですよ、三木谷君!」

   アマゾンの仕組みには楽天には絶対真似ができない優れた面が多く、また、楽天と違って企業努力をしているという意見が多かった。

「アマゾンに負けている理由は単に送料ではない。比較すべきはアマゾンマーケットプレイスだ。アマゾンと張り合いたいなら、自社で巨大倉庫を持って在庫管理、発送管理しないとダメだ。しかし、それはやる気もないし、困難だからと出品者に負担を押し付けようとする。アマゾンマーケットプレイスを比較対象にして自社ビジネスを見つめ直すべきなのに、この認識の誤りは致命的だ」
「そもそもアマゾンと楽天市場では発送のシステムが違う。アマゾンはフルフィルメントという制度があって、個人出品者からでも商品を預かって発送もしてくれ、購入者は合算で一定金額をクリアすればプライム会員でなくても送料無料になる。自分の企業努力なしにアマゾンと肩を並べたいがために出店者に送料無料を押し付ける姿勢がどうかと思う」
「アマゾンも一律で送料無料じゃない。プライムはあくまで出品者がアマゾンの物流サービス(FBA)を利用して発送してもらう商品であって、FBAを利用しない自社発送の商品は送料別で販売しているのも多い。物流業務をアマゾンに委託して(アマゾンに委託料を払って)販売価格に含めるか、自分で物流業務をやって送料を価格に乗せるかは、出品者の自由だ。それぞれのやり方で利益を出しているが、FBAは人件費がかからない分、利益を出しやすい。結局、楽天はFBAのような競争力のある物流システムがないから負けているのであって、送料無料じゃないから負けているわけではないんだよ」
「アマゾンと楽天では、ネット通販としての使われ方がそもそも違う。アマゾンになかったり、アマゾンにより価格が安かったりした場合のみ使われる。あくまで競合相手はYahooショッピング。楽天が汗もかかないでアマゾンと張り合おうなんて笑かしてくれるぜ」

「さよなら楽天、アマゾンとYahooで頑張ります」

   アマゾンの出店者や、アマゾンプライム会員からもこんな声が――。

「アマゾンは自社倉庫から発送するのがかなり多い。プライム会員だと年間4900円で送料無料とお急ぎ便配送である。使えば使うだけ得する。楽天では、店舗ごとの配送のため発注ごとに総量が必要になり、下手すると商品より高かったりする。配送費特典のサービスはない。これでは勝ち目がない。三木谷さんの焦りが見え見えだ」
「楽天はアマゾンに比べ出店料がめちゃくちゃ高い。しかも半年分を前払いしなきゃならない。だからアマゾンに鞍替えする出店者が増えてきた。楽天に残っている会社を見ていると、送料無料だったところが送料を取るようになってきた。楽天は経費がかかりすぎるし、運賃も急激に上がってきたから、やむを得ない選択だったのだろうが、アマゾンのように楽天も物流拠点を持って運営して送料を無料にすればよかった。三木谷氏の話を聞いていると、単なる下請けいじめに他ならない」
「プライムに入っているが、ほとんど映画&ドラマを見るのに使っている。一度、欲しかったものを購入したが、送料無料だった。ところが、サイズが合わなくって返品したが、返品も無料だった。会費も高くないし、映画&ドラマだけで元とっている。いろんなポイントをアマゾンギフトに変換できるから、有料動画も見ているよ」

   そして、最後にはこんな声が――。

「今月退店します。一方的な要求や服従の強要にはもう飽き飽きしました。アマゾンとYahoo、自社サイトで頑張ります」

(福田和郎)