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上がる、下がる? 2020年の賃上げ 約85%の企業が「実施予定」 ただ、ベースアップは......

   2020年の賃上げは、多くの企業が定期昇給を実施するものの、ベースアップを実施する予定の企業は半数近くが「実施しない」見通しであることが、民間調査機関の労務行政研究所の調べでわかった。2月4日に発表した。

   調査は、労働者側と経営者側、労働経済分野の専門家を対象に実施(有効回答は452人)。それによると、3者による見通しの平均賃金は、定期昇給分を含み「6495円、2.05%」だった。厚生労働省調査による主要企業の2019年の賃上げ実績(6790円、2.18%)を295円、0.13ポイント下回るものの、賃上げ率は7年連続で2%台に乗ると予測された。

  • 上がる、下がる? 2020年の賃上げ動向
    上がる、下がる? 2020年の賃上げ動向
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ベア「実施する」企業、前年比21.1ポイント減

   2020年の賃上げ見通しを、「東証第1部・2部上場クラスの主要企業を目安とした世間相場」の観点から答えてもらったところ、労・使および労働経済分野の専門家の平均で「6495円、2.05%」(定期昇給分を含む)となった。

   労使別にみた平均は、労働者側「6639円、2.10%」、経営者側が「6440円、2.03%」で、両者の見通しは近接している。

   定期昇給(定昇)については、労働者側は85.5%が「実施すべき」と答えたのに対して、経営者側は84.7%側が「実施する予定」と回答。定昇について経営者側の「実施しない予定」は1.6%にとどまった。「もともと定昇制度がない」と「無回答」を除外して集計すると、経営者側の「実施する予定」は95.5%にのぼる。

   ベースアップ(ベア)については、労働者側の68.6%が「実施すべき」と答えたのに対し、経営者側で「実施する予定」と答えたのは16.9%(前年調査38.1%)にとどまった。「実施しない予定」は49.2%と5割近くとなった。また、回答時点で「検討中」と答えたのは19.4%だった。

   ベアをめぐる経営者側の変化を、調査をさかのぼってみてみると、2010年以降しばらくは経営環境の低迷などから、実施には否定的な傾向が続いていたが、15年に35.7%が「実施する予定」と回答し、前年の16.1%から大きく上昇。16年(30.1%)と17年(23.7%)は低下したものの、18年は33.6%、19年が38.1%と再び上昇に転じた。20年の見通しは14年並みに急低下した格好だ。

   ただ、労務行政研究所は2020年調査から経営側の設問回答の選択肢に「検討中」を追加しており、19 年以前とは回答傾向が異なる可能性がある。「検討中」が19.4%であることを指摘し、「検討中と答えた企業での、今後の交渉動向が注目される」と述べている。

   なお、調査は2019年12月2日から20年1月20日に、アンケート形式で実施。回答者数は、労働者側が207人、経営者側124人、専門家121人の合計452人。