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今年の新社会人の特徴は? 調査でわかった「デジタルネイティブ」の光と影

   まもなく始まる新生活シーズン。2020年度もここ数年と同じくらいの、約90万人の新社会人が誕生する。

   そんな就職内定者を対象に、企業向けに社員研修や人材育成・教育サービスを提供しているラーニングエージェンシーが実施した意識調査によると、9割以上が仕事に高い意気込みを持っている一方、感じている不安や懸念の6割以上が「仕事についていけるか」など、自分の能力についてだった。

  • 「デジタルネイティブ」が抱える不安とは?
    「デジタルネイティブ」が抱える不安とは?
  • 「デジタルネイティブ」が抱える不安とは?

「自分の能力で仕事についていけるか、不安......

   調査によると、「これからの仕事に対して『やるぞ!』という気持ちを、どの程度持っているか?」との問いに、「(『やるぞ』という気持ちが)80%」ある人が29.0%と、最も多かった。

   次いで、やる気満々の「100%」が28.4%、「90%」が20.0%、「70%」の14.7%と続いた。「70%」以上の回答者の割合は92.1%だった。

   2019年10月15日~11月27日という調査の実施時期を考えると、「フルチャージはまだ先」ということだろうか。「やる気」が「60%」以下と答えた人は7.9%だった。

   「やるぞ!」の気持ちについて「100%」以外の回答を選んだ内定者に、その理由(複数回答)を聞くと、最も多かったのは「自分の能力で仕事についていけるか不安があるから」で、66.5%が回答した。次いで「生活や環境の変化に不安があるから」の49.1%、「職場メンバーとうまくやっていけるか不安があるから」が30.1%となり、トップ3。4位の「内定先の制度や待遇に不安があるから」(4.3%)以下を引き離した。

   環境の変化や新しい人間関係についてより、自分の能力が職場に適合するかどうかを気にしていることがうかがえる。

組織や人事情報は気にとめない?

   入社前までの内定期間中に「会社から受けたいサポート」についての質問(複数回答)では、「マナーや仕事の進め方など、社会人としての基礎を教えてほしい」(52.3%)と「業界の専門知識や専門スキルを教えてほしい」(44.0%)が、1位と2位。入社までに基本的な知識やスキルを身につけたうえで臨みたいという思いがにじむ。

   その一方、3位以下に「先輩社員との人間関係を築く機会がほしい」(35.5%)や「内定者との人間関係を築く機会がほしい」(25.1%)といった回答が並んだところからは、やはり自分自身に向ける注意のほうが大きいようだ。

   また、「会社の組織体制がどうなっているか教えてほしい」(14.4%) や「会社のキーパーソンについて教えてほしい」(6.4%)などの項目を選んだ割合は低く、調査したラーニングエージェンシーは、「社会人にとって仕事をスムーズに進めるうえで欠かせない組織や人事の情報について、まだ学生である内定者はそれほど気にとめていない様子がうかがえる」と指摘した。

   調査結果について、同社は「今年の内定者は仕事への意気込みは高いものの、自分の能力に不安を感じていること、その不安を払拭するためか、事前の知識インプットを求めていることがわかった」とし、このことは「若い世代の『何かをするなら失敗したくない、先に答えを知りたい』という習慣からきているといえる」と分析した。

   内定者は、いわゆる「デジタルネイティブ世代」に当たる。スマートフォンなどのデジタル端末を持ち歩くことは習慣になっており、ビジネスマナーや社会人としての基礎知識もいつでも調べられるはずだが、「まだ社会人になっていない内定者にとって、多くの情報から必要な情報を取捨選択するのは難しい。入社という大切な場面において、より確実な情報を得たいという気持ちが、『社会人としての基礎を教えてほしい』という回答にあらわれたと考えられる」という。

   この結果を踏まえて同社では、4月に新卒者を迎える企業に対して「人間関係の構築以上に、内定者の学習意欲の高さや不安解消に応える『知識やスキルの習得機会』を与えることが、内定者フォロー成功のポイントとなりそうだ」と、アドバイスしている。

   なお調査は、ラーニングエージェンシーが実施している内定者研修の受講者が対象。サンプル数は、1121人(男性582人、女性512人、不明27人)だった。