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新型コロナ対応、外資系「採用停止」など積極策 テレワークも早い段階で推奨

   新型コロナウイルス対策をめぐって、外資系企業と日系企業とでは、「温度差」があることがわかった。日系企業に比べて、外資系企業では中途採用の一時的停止のほか、海外への渡航制限・禁止や在宅勤務の導入など、積極策を実施している割合が高かった。

   調査したのは、グローバル人材に特化した紹介・派遣サービスを提供するエンワールド・ジャパン。同社のサービスを利用している企業などの人事・採用担当者を対象に、アンケートを実施。554人から有効回答を得た。回答者のうち65%が外資系企業、35%が日系企業に所属。2020年2月20日~22日に聞いた。

  • 感染の拡大が止まらない新型コロナウイルス(国立感染症研究所提供)
    感染の拡大が止まらない新型コロナウイルス(国立感染症研究所提供)
  • 感染の拡大が止まらない新型コロナウイルス(国立感染症研究所提供)

中途採用の「一時停止」外資系と日系で4倍の差

   調査で、「中途採用の活動で新型コロナウイルスの感染対策を実施しているか」を問うと、外資系企業の27%、日本企業の23%が実施していると回答。また、「検討中」が外資系38%、日系45%だった。

   外資系、日系ともに、およそ4分の1の割合で中途社員の採用活動でなんらかの感染対策を講じているが、複数項目を選べるようにして回答を求めた「具体策」では、取り組みの違いがみられた。

   最も際立ったのは「採用活動の一時停止」で、外資系企業では22%が「停止した」が、日系企業では5%で、じつに4倍差になった。

   エンワールド・ジャパンの狐崎壮史・人材紹介事業部長は、

「外資系企業と比べて、やや後れを取っていた日系企業も対応を進めるようになってきているため、3月以降のほうが、より大きな影響が出てくるのではないかと思われる。
日本国内での感染が広がった場合、さらに採用を一時的に止める、採用そのものを先延ばしにする、という企業が増えてくると予測される」

と指摘している。

   中途採用活動で外資系企業、日系企業を通じて最も高い割合で実施されている感染対策は「採用面接のオンライン化」。外資系企業では56%、日系企業では70%が挙げた。「採用面接のオンライン化」を実施している企業のうち、「最終面接(役員面接)」もオンライン化しているのは、外資系30%、日系36%だった。

   「採用面接でのマスク着用義務付け」は、日系企業38%、外資系企業22%。だった。

社員向け対策、日系企業はイベント警戒

   社員向けの感染対策はどうか――。外資系企業(83%)、日系企業(81%)ともに8割以上が「実施している」と回答。実施中の具体策については、外資系企業、日系企業ともに、1位は「マスクの配布、アルコール消毒の設置などの衛生管理」、2位に「海外への渡航制限・禁止」、3位は「リモートワーク・在宅勤務」だった。

   だが、その実施の割合をみると、1位の「衛生管理」は、外資系83%・日系78%、2位「海外渡航」では、外資系77%・日系63%で、外資系企業がアクションに積極的。3位の「在宅勤務」でも外資系70%、日系55%で、「時差出勤・オフピーク通勤」(外資系69%、日系54%)の取り組みと合わせ、エンワールド・ジャパンでは「外資系企業における『勤務形態の柔軟性』の取り組みの高さがうかがえる」としている=下図参照

   前出のエンワールド・ジャパンの狐崎部長は、「外資系企業において、特にSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)系企業などクラウドを売りにしている企業はすでに社内のクラウド環境が整っていたため、早い段階からテレワークを推奨し、社員の自宅勤務を行なっていた」という。

   「自社イベントの開催自粛」(外資系43%、日系50%)、「社員の外部イベント参加禁止」(外資系17%、日系27%)などで、日系企業は外資系企業より7~10ポイント上回り、日系企業では多数の人が集まるイベントでの感染に対して警戒を強めているようだ。