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株価下落で焦る投資家 新型コロナウイルスの流行は「売りどき」か?

   新型コロナウイルスの流行に歯止めがかからず、長期化するのではないかとの見方から、世界経済への影響に対する警戒感が強まっています。

   これを受けて投資家の不安心理の高まりなどから、2020年2月下旬にかけて世界の株式市場は不安定な動きを見せています。

  • 新型コロナウイルスが、世界中で大流行している
    新型コロナウイルスが、世界中で大流行している
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押さえておきたい3つのポイント

   株式市場が大きく変動すると、投資家は「自分が保有している投資信託を売却すべきか、それともこのまま継続保有すべきか」といったことを、考えるようになります。

   ウイルスは見えないだけに、不安になるのも無理はありません。ましてや、このような時に「投資なんて」と思うのも仕方がないかもしれません。

   依然、予断を許さない状況ですが、「投資信託」を保有する投資家のために、今後のマーケットをみるうえで、押さえておきたい3つのポイントをお伝えします。

   押さえておきたい3つのポイントは、「短期」「中期」「長期」の期間を分けてみることです。まずは一つめの「短期的なポイント」です。

(1)各国による景気対策
中国は感染拡大による経済への影響を抑制するために、財政出動と金融緩和など緊急の経済対策を積み増すことを検討すると発表しました。また、サウジアラビアで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議の共同声明では新型コロナウイルスを含む世界的なリスクの監視を強化し、「リスクに対処するためのさらなる行動をとる用意がある」との声明が発表され、各国が財政出動などを実行し、景気を下支えすることで一致しました。

   次に、「中期的なポイント」です。

(2)生産のV字回復の可能性
現時点で事態の収束に目途が立っていません。今後、サプライチェーン(供給網)の停滞や人の移動の制限が中国経済および世界経済に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、事態が収束に向かい、生産停止によって溜まっていた需要が立ち上がれば、生産のV字回復によって景気が上向く可能性も考えられます。

大きな視点で資産運用を考えることが大事

   さらに、「長期的なポイント」をみてみます。

(3)自動化の加速と生産性の向上に期待?
中国では新型コロナウイルスの流行に伴う損失回避から工場のみならず、医療機関や物流施設など、さまざまな分野でロボットの活用が進むことが期待されています。中国のロボットメーカーは医者の代役となるロボットの開発を進めており、医者がロボットを遠隔操作して患者を検査することができれば、医者が感染することなく、ロボットと協働で長時間の診断が可能になります。
また、無人スーパーやスマート宅配ボックスの利用増加も見込まれます。人との接触なしに買い物ができ、QRコードを読み取ってボックスから品物を取り出すことができることから注目が高まっています。
日本では企業が従業員に対しテレワークによる遠隔勤務や時差出勤を積極的に推奨する動きがみられています。今後、日本においてテレワークが定着すれば業務の効率化が図られ、労働者の生産性の向上が期待されます。
このように、「災い転じて......」ではないですが、人が出社しなくても事業継続ができるような自動化や遠隔勤務などの必要性が短期間で強烈に認識された結果、あとから見たときに生産性革命を加速させる可能性が考えられます。

   事態の一日も早い収束を祈るばかりですが、投資信託で長期の資産運用を行なう個人投資家は短期的な市場の動揺には冷静に対応することが肝要です。

   過去を振り返ると、世界経済はさまざまな困難を乗り越え、その時々の環境に適応しながら拡大を続けてきました。「世界経済は意外にしぶとい」と前向きに、どっしりと構えて、大きな視点で資産運用を考えることを、オススメします。(日興アセットマネジメント マーケティング部 山口亮二)