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【尾藤克之のオススメ】「肩書き」の良し悪し 長さは不要、オリジナルなんてもってのほか!

「なぜあの人は、たった一度の会話で強く印象に残るのか?」
「なぜあの人は、大した実績もないのに人から信頼されるのか?」
「なぜあの人が話をすると、素直に聞いてしまうのか?」

   ビジネスの世界には、要領のいい人が存在します。実際には、そのような人ほど上司に可愛がられて出世をし、おいしい仕事にありつくものです。

   しかし、

「バカ正直は損をする!」
「コミュニケーションには『ズルさ』がいる!」

   そのように主張するのは、岸正龍さん。芸人→コピーライター→デザイナーを経て、名古屋に小さな眼鏡店をオープンします。デザイナーとしても2010年にアイウェア・オブ・ザ・イヤーのメンズ部門、2013年にグッドデザイン賞を受賞した異色の経歴です。

「一瞬で印象を操る ズルい話し方 相手の脳にこびりつくコミュニケーション術」
(岸正龍著)きずな出版
  • あなたの「肩書き」、長くないですか?
    あなたの「肩書き」、長くないですか?
  • あなたの「肩書き」、長くないですか?

長い肩書きの人に出会ったことはないか?

● IT音痴の社長さん専属集客アップWEB活用コンサルタント
● 働くお母さんのためのお子様を賢く育てるメンタルコーチ

   みなさんは、このように「長い肩書き」をつけている人に出会ったことはありませんか? 長い肩書きが不要であることを、岸さんは次のように解説します。

「このような肩書きの入った名刺を受け取ると、自動反応的にこう感じてしまいます。『この仕事を始めたばかりの人だな、まだちょっと信用できないかも』。ご本人は一生懸命に自分をアピールして、相手に『いい印象』を与えようとされているのだとは思います。実際、起業塾などで『名刺をつくるときにはそうしなさい』と指導を受けた人もいるでしょう」
「でも、残念ながらこうした肩書きでは損をしてしまいます。『駆け出し』というバイアスがあるからです。『必死』というバイアスと言い換えてもいいですが、いずれにしても『いい印象』ではなく『マイナスの印象』を相手に残してしまいます」

   なかには、ニッチでポジションを取るのは、戦略的には正しいという人がいるかもしれません。マーケティング戦略としては、ベネフィットを明確にすることは大切です。岸さんも、「マインドリーディング」という狭いところにポジションを取り、ニッチなスキルを提供しています。

   岸さんは、

「私が伝えたいのは、バイアスを計算したうえで『どう見られるか』を考えなさいということ。事実をバカ正直に伝えてはいけないということです。『地方で頑張る二代目経営者を応援する、売れる商品開発プロデューサー』という肩書きの男性から名剰をいただいたときのことです。最初に名刺を受け取った時点で『なんかイヤだなぁ』と感じてしまいました」

と言います。

   人は、好むと好まざるに関わらず、システムが一瞬で引っ張り出してくるバイアスの眼鏡を通してしか、人を判断できません。だから、自分の発言や行動が相手に、どんなバイアスを与えるのかを考えず、自分が思うまま正直にやってしまうとバカをみることになります。

情報を載せすぎないことが「武器」になる

   私の知人に、名刺にメールアドレスもケータイ番号も記載していない人がいます。彼いわく、「最初から印字していると、それが当たり前になってしまう」ということが嫌みたいです。

   彼は別れ際に次のように言います。

「名刺には事務所の電話番号だけでケータイの番号が書いてありません」
「電話だと連絡がとりにくい場合がありますので、メールアドレスをお教えします」

   そのように話しながら、手書きで名刺の裏にドンドン書き込んでいくのです。

   相手は「他の方には教えていない情報を自分には教えてくれた」と思うので、アピールにつながります。彼にとっては常套手段ともいえますが、話のツカミが欲しい人にとっては参考にすべき手法です。

   機械的に名刺を渡すだけでは、会話が広がりにくいものですが、手で書き加えるという一手間を加えることで、特別感を演出し、話の取っ掛かりができます。

   最近はSNSが普及した結果、名刺に詳細情報を記載している人がいます。プロフィールを盛りすぎな人、写真もタレントの宣伝材料のようにバッチリ決めて、「座右の銘」や「ビジョン」、「格言」などを書き込んでいる人もいます。

   あえて情報を載せないことのインパクトを、事前に想定することも大切だということです。情報はシンプルで載せすぎないほうが、価値が高まるのです。(尾藤克之)