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【格言で買う! 株式投資】コロナ禍の終息で上がる!? 「キューピー」株が買えるワケ(石井治彦)

   「もうはまだなり、まだはもうなり」という格言がある。

   日本証券業協会の相場格言集には、「もう底をついただろうと思った時こそ、まだ下がるかもしれなくて、まだ上がりそうと思った時こそ、もう上がりきっているかもしれない」という意味であると書かれている。

   株価が下落して、そろそろ下げ止まりそうと考えたとき、チャートの動きなどを使って分析したうえで、狙った銘柄を「仕込んでおく」ことは株式投資の醍醐味ではないだろか。

   たとえば、それが食品の「キューピー」だ。

  • 今が「底値」か! それとも……
    今が「底値」か! それとも……
  • 今が「底値」か! それとも……

第2次、第3次の感染拡大が起こったら、株価は......

   株式投資の楽しみの一つは、株価が上がることだ。多くの人が「怖い」というように、株価は日々刻刻と変動する。株価が下がれば損をするリスクがある。しかし、株式を買うときはウキウキする。楽しい。もちろん、それは上がることばかりをイメージしているからだろうが......。

   なので、できるだけ株価の安いところで買うことを心がけている。これも当たり前といわれるだろうし、「底」がわかれば、誰も苦労しないだろう。

   不謹慎だが、そう考えると現在のコロナ禍の状況は、まさに「千載一遇のチャンス」かもしれない。欧米でロックダウンが解除されるなど、世界的に落ち着きを取り戻しつつあるとはいえ、なお感染力が強く、特効薬のない現状では、第2次、第3次の感染拡大が起これば、株価はさらに下押すことも考えられる。つまり、「もうはまだなり、まだはもうなり」である。

   半面、過去に起こったスペイン風邪やエボラ出血熱、新型インフルエンザの流行に基づき、中長期的な視点に立てば、新型コロナウイルスの感染拡大は必ず治まるはず。コロナ禍の終息あるいは共存の見込みが立てば、そこから株価は上昇に転じる可能性のほうが高いと考えることができる。

   そこで今が「底値」だと考え、マヨネーズやドレッシングなどで知られる食品メーカー大手、「キューピー」を選んだ。その理由は、人が生きていくうえで、「食」を抜きにしては生きていけないから。なかでも、数ある食品メーカーから同社を選んだ理由は、株価が20万円強と手ごろで、株主優待の品が家族にも喜ばれると思ったからだ。

銘柄選びの3つの要件とは?

   キューピーの株価を、中期(5年)チャートでみると、2015年3月の高値(1株あたり3600円)が20年3月の安値(1783円)となり、5月14日時点の株価2085円は、高値3600円のほぼ6割弱の位置にある。

   同社の業績(見込み)は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の広がりによる国内や中国の業務用品の大幅減少で、今期(20年11月期)の最終損益は下振れで36%の減益が見込まれている。

   それにより、キューピーの株価は、大きく下げ安値圏にあると考えられ、今が一つの「買い」のタイミングではないかと考えられる。

   また、ここ5年の配当利回りは34.5円~45円で推移しており、増配傾向にある。今期の配当見込は、新型コロナウイルスという特殊要因で見通しが立たちにくい状況ではあるが、毎年2回、配当が見込まれる。

   さらに、株主優待は自社製品(マヨネーズやドレッシングなど)の詰め合わせと、もらって重宝する。

   できるだけ株価の推移に一喜一憂せずに楽しめる、長期で投資することや、景気の良し悪しにかかわらず継続的に配当が出ていること、もらって良かったと思う株主優待があることが、銘柄選びで心がけている要件。キューピーであれば、景気変動をそれほど気にせずに株式投資のおもしろみを享受できるのではないか。

【キューピー(2809)】
年初来高値 2020年1月10日  2479円
年初来安値 2020年3月13日  1783円
直近 終値 2020年5月14日   2085円


プロフィール
石井治彦(いしい・はるひこ)

投資歴29年。「現物株式取引」と「長期投資」が基本姿勢。情報源はもっぱら会社四季報や日本経済新聞、経済誌など。また、株主総会やIR説明会には、できるだけ顔を出すようにしている。
東京都出身、73歳。