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イクメンの4人に1人が「とるだけ育休」 家でゴロゴロ、育児・家事がまるでダメ! 妻の大迷惑にならない7つの心得とは?

   「とるだけ育休」という言葉をご存じだろうか?

   まだまだひとケタ(6.16%=2018年度)という低い男性の育児休暇取得率にあって、育休を取った勇気ある「イクメン」の中に、ただ家でゴロゴロしているだけで妻に「大迷惑」をかけている人が少なからずいるというのだ。

   その割合は、なんと4人に1人。調査をまとめた「イクメン育成プロジェクトチーム」では、男性の「とるだけ育休」を防ぐための7つの提言を発表している。

  • イクメンでママと赤ちゃんを大満足させよう!(写真はイメージ)
    イクメンでママと赤ちゃんを大満足させよう!(写真はイメージ)
  • イクメンでママと赤ちゃんを大満足させよう!(写真はイメージ)

育休取得も家事協力の時間は1日2時間以内が3割

   調査をまとめたのは公益財団法人・日本財団と、ママ向けの生活支援アプリ「ママリ」を提供している「コネヒト」の共同チーム。男性の育休取得率の向上を図るだけでなく、妻の満足度の高い「イクメン」を育てることを目的に、ママリのユーザー約4000人の中で夫が育休を取った508人に、夫がどのように育児や家事に協力したかを詳しく聞いて、「育休夫の問題点」をあぶり出した。調査は2020年1月22日の発表。

   まず、508人のママたちに夫の育児・家事協力に対する満足度を聞くと、「とても満足」が164人(32.3%)、「まあまあ満足」が222人(43.7%)、「あまり満足できない」が83人(16.3%)、「不満だ」が39人(7.7%)だった。

   満足できなかった人が24.0%、つまり4人に1人もいたわけだ。

   育児中のママの場合は、ほぼ起きている時間の大半を赤ちゃんの面倒や家事にとられるが、育休中の夫がどのくらい育児と家事に協力したかを一日あたりの時間で聞くと、とんでもない結果が出た。

   「1時間以下」(17.7%)、「1時間超~2時間以下」(14.6%)と、「2時間以内」が3割以上に達し、ママとほぼ同じ程度の「8時間超」(20.1%)が5人に1人しかいなかったのだ=図表1参照

(図表1)育休夫の家事時間グラフ
(図表1)育休夫の家事時間グラフ

   1~2時間といえば、ぐずる赤ちゃんをちょっとあやし、洗濯物を干すくらいであっという間にすぎてしまう。あとはゴロゴロしているのだろうか。

「4日間しかない育休を自分の遊びに使っていた」

   具体的には、「意識の低い夫たち」のどんな行動や言動が問題だったのか。ママたちがこう証言する。

「育休を取っても家でダラダラ。結局、家のことは全部私がやった。(産んだ直後で)体力も完全に戻っていなかったので、もっと家事をやってほしかった」
「私の指示待ちではなく主体的に動いてほしかった。新生児の時だったので『協力』ではなく『父親の自覚』を持って自分事ととらえて動いてほしかった」
「今まで家事をほとんどしてこなかった人なので、家事の優先順位がつけられなかったり、細かなところにこだわりすぎて他が疎かになったり、かえって迷惑だった。もっと家事のスキルを身に着けるべき」
「里帰り終了後に育休を取ったので、部屋の片付けを済ませ、これから育児をしていく準備をすることを期待したのに何もしていなかった。わからないことをいちいち私に聞く前に自分で調べてほしかった。私の産後の身体的負担をもっと勉強してほしかった」
「簡単な家事を率先してやろうとする気持ち、行動がなかった。なので、子どもが生まれる前に、夫にできるように教育しておけばよかったと後悔した」
「ただ赤ちゃんをみているだけではダメで、今の月齢だと目で追うからこんなふうにあやすといいとか、ちゃんとそういうことを夫も勉強して接してほしかった。あなたの子どもなのだから」

   なかには、こんな自分勝手なケースもあった。

「まず4日間しかない育休を、私に相談しないで自分の都合で日にちを決めた。そのうち何日かは自分が遊びに行くことに使ったので、子どもと接する時間をもっと充実させてほしかった。自分のことばかりを優先する姿勢を見直してほしかった」

「料理を朝昼晩すべて作ってくれ、思い出づくりができた」

   一方、ママたちを感涙させた「意識の高い夫たち」は......。

「料理を朝昼晩すべて作ってくれた。時間の余裕ができたので、上の子のベビースイミングを始められた。ほぼ毎日遊びに連れて行ってもらった。思い出づくりもたくさんできた。貴重な新生児期から一緒に育児をして、大変さを共有できた」
「育児への参加は授乳以外すべてやってくれた。育休中に育児に自信がついたようで、仕事復帰後も育児にしっかり参加してくれる」
「夫の育児スキルが上がり、悩みや大変さを共有したことでママ友のようになんでも気持ちよく話せるようになった」
「夫は、家事育児を1か月体験したことで、特に気にもとめていなかったことの大変さを実感し、『育休とってよかった』とまで言ってくれたので、まあ、家事がしっかりできる、できないは置いといて、満足しています」
「夫も家事育児をひと通りできるようになり、任せ合えるし、連携がスムーズになった。子どもの話や日々の過ごし方、近所の話などに花が咲き、育児の孤独感を感じなくなった。家族で過ごす時間が増え、夫と子どもの絆が深まったと感じる」

といったようす。

   双子という大変な育児を育休の夫と乗り切った体験をしたママが、こう語る。

「3歳になる上の子の時は、ひとり育児で孤独感ばかりだった。双子の赤ちゃんが生まれることがわかり、夫が育休をとってくれた。片方が双子をみている間、もう片方が上の子をフォローし、公園に出かけるなどの分担ができた。1週間に1回ずつ、それぞれが『フリータイム』を設け、午前~夕飯前までの間に外出して気分転換するなどメリハリのきいた生活を続けた。夫とは一番育児が過酷な部分を共有しているので、育休終了後も育児の悩みを心から理解してくれるのが嬉しい」

「女性の愛情曲線」を見よ! 育休は夫の大チャンス

   こうしたママたちの生の声を分析した結果から、イクメン育成の共同チームでは、これから育休を取ろうと考えている夫たちに「7つの心得」をアドバイスしている。

   この「7つの心得」を実践して、一番大変な産後の育児期を2人で乗り切れば、その後の夫婦愛も深まるとして、共同チームは「女性の愛情曲線のグラフ」まで用意した=図表2参照

(図表2)出産直後に夫への愛情が一番低くなる「女性の愛情曲線」
(図表2)出産直後に夫への愛情が一番低くなる「女性の愛情曲線」

   女性の一生のうちで、出産直後は子どもに全愛情が注がれ、夫や彼氏に対する愛情がほぼゼロになる時期なのである。その時期にこそママに献身的に尽くすことが、その後のママの愛情曲線をあなたに引き寄せるカギになるわけだ。

   「7つの心得」はこれだ。

(1)家事や育児の多くの部分を担当しよう。家事や育児の負担が減れば減るほどママの満足度は高い。できるだけ小まめにいろいろの役割分担に協力しよう。

(2)必要なスキルを習得しておく。家事や育児のスキルが高かったので安心して任せられたという声が多い。逆にスキルがないと、はた迷惑な存在になりかねない。子どもが生まれてからでは遅い。普段から家事を手伝い、また育児の勉強をしておくことが大切。

(3)ママを精神的に支えよう。「育児や家事への大変さを理解してくれるようになった」というママの声が多い。「いるだけで安心した」という声まである。何より、ママの悩みに耳を傾け、大変さを理解しよう。

(4)主体的な姿勢で取り組む。ママの指示を待ったり、赤ちゃんの世話を「手伝う」という感覚を持ったりしないで、父親としての当事者意識を持つことが大事だ。あなたの子どもなのだから。

(5)ママに休息をとらせよう。ママたちには「一人で過ごす時間や睡眠時間をとれるようにしてくれた」という感謝の声が多い。また、「しんどい時に育児を代わってくれた」「朝は夫、夜は私と役割を決めたことで、寝不足な日々を乗り越えることができた」という声もある。産後の体をいたわることが大切。

(6)十分な育休期間を取得しよう。ママたちの満足理由よりも不満理由で多く挙げられているのが「期間が短すぎた」という声。たった4日間、しかも自分の遊びに使ったというケースもあったが、言語道断。できるだけ長い期間取得しよう。

(7)家族との時間を楽しもう。夫が子どもに愛情をもって接している、可愛がっていることに関するママたちの声が多数。また、家族で経験を共有できたことに感謝する声も多い。赤ちゃんは新しい家族。育休によって家族で過ごす時間が増えたことにあなたも感謝し、楽しむ気持ちを持とう。

   参考リンク:「男性の『とるだけ育休』を防ぐための提言

   なお、調査は2019年10月15日~23日に、アプリ「ママリ」のユーザー(子どもが1人以上いるママ)3992人を対象に実施。そのうち、夫が育休を取得した人は508人で、主にその人たちから詳細を聞き取り、分析した。

(福田和郎)