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【襲来!新型コロナウイルス】10万円給付の申請「受給を希望しない」と勘違いチェックする人続出!間違いを誘発する「トリック」に怒りの声殺到

   国民1人あたり10万円の特別定額給付金の手続きが始まったが、思わぬトラブルが続出している。

   郵送されてくる申請書には「受給を希望しない」というチェック欄があり、「希望する」という欄と勘違いして、チェックを入れる人が増えている。

   そもそも、なぜこんな紛らわしい欄をつくったのか? ネット上では「あえて間違いを誘発させる狙いがあるのでは」とまで憤る人が多い。くれぐれも申請書にはよく目を通そう!

  • 10万円給付を楽しみにしている人が多いが(写真はイメージ)
    10万円給付を楽しみにしている人が多いが(写真はイメージ)
  • 10万円給付を楽しみにしている人が多いが(写真はイメージ)

きっかけは河野太郎防衛相の「注意喚起」ツイッター

    ことの発端は2020年5月14日、河野太郎防衛大臣が自身のツイッターで、こう呼びかけたことだった。

「定額給付金の申請書の『希望しない』に勘違いでチェックをつける人が多いようです。間違いないように気をつけましょう」=写真参照
河野太郎防衛相のツイート
河野太郎防衛相のツイート

   これを受けて、多くのメディアがこの問題を取り上げた。毎日新聞(2020年5月19日付オンライン版)は「特別定額給付金の申請 『希望しない』の勘違いチェックに注意」で、こう伝えている。

「政府が行う1人10万円の特別定額給付金の手続きで、誤って受給を辞退してしまうケースが懸念されている。郵送申請書の記入が分かりにくいため、勘違いをして『受給を希望しない』の欄にチェックしてしまう人が少なくないとして、自治体が注意を呼びかけている」

   問題になっているのは、郵送申請書の表面にある「給付対象者」の部分だ。同一世帯の給付対象者全員の名前と生年月日が印字されているが、名前欄の右側にチェック項目がある。「給付金の受給を希望されない方は×印(市区町村によってはレ印)を御記入ください」と記されている。

   この項目を「受給を希望する方」の確認だと勘違いして、誤って×印(レ印)を記入してしまうケースが続出しているという。

   東京都練馬区でも、公式ホームページで2020年5月18日、郵送申請にあたっての注意点として、最初の項目に大書して「給付対象者のチェックボックスは特別定額給付金を希望しない方のみチェックしてください。特別定額給付金を希望する方はチェックしないでください」と呼びかけたほどだ=写真参照

練馬区の公式ホームページの注意
練馬区の公式ホームページの注意

   郵送申請書は、総務省の見本を基に各自治体が作成している。申請書には最初から家族の名前と生年月日が印刷されており、受給希望者は名前の誤りなど修正がなければ特に記入の必要はない。同一世帯の中で辞退者を個別に設定できるようにチェック欄が設けられたのだった。だが、下段にある受け取り方法の欄では、金融機関の口座種別に印をするようになっていることもあり、勘違いの原因になっているようだ。

   毎日新聞によると、総務省特別定額給付金室の担当者は「受給の希望者が印をつける様式も検討したが、チェック漏れが多くなると判断して現在の様式になった」と説明している。

間違えて「希望しない」とすると元に戻すのが大変

   10万円の給付金がすぐにも欲しいのに、勘違いしてチェックを入れて郵送すると大変なことになる。もう一度手続きをやり直すのが面倒くさいのだ。フジテレビ(5月18日付オンライン版)「10万円給付金の申請で『希望しない』に勘違いでチェック注意... あとで修正は可能? 総務省に聞いた」が、こう伝えている。

「たしかに勘違いしそうなチェック欄ではあるが、そもそも、なぜ設けたのか? また、後で勘違いに気づいた場合、修正は可能なのか? 総務省・特別定額給付金室の担当者に理由を聞いた」

   番組での、担当者とのやり取りはこうだ。

   ――なぜ、このようなチェック欄を設けた?

総務省担当者「給付を辞退する方もいらっしゃいますので、辞退の意思を確認するためにチェック欄を設けました」

   ――勘違いで×印を記入するケースが報告されていることについて、どう思う?

担当者「勘違いで×印を記入することは想定していませんでした」

   ――×印が記入されている場合、それが勘違いかどうか、市区町村が確認するもの?

担当者「申請書に記入されていることが『正しい』として処理するものと思われますが、対応は市区町村に任せています」

と、総務省担当者は市区町村に責任を丸投げしたのだった。そこでフジテレビ記者は、東京都世田谷区広報広聴課の担当者に聞くと、担当者はこう答えた。

世田谷区担当者「申請者の意思なので、そのまま処理することが原則であると考えています。しかし、勘違いによるチェックも否定できないため、対応に苦慮しています。ただし、電話でのやりとりは詐欺防止の観点からできるだけしない方針です」

   ――勘違いでチェックした場合、修正は可能?

世田谷区担当者「給付の決定以降は基本的にできません。そのため返信用封筒に入れる前に記入内容をしっかりご確認いただきたいです。ただし、勘違いが類推される場合には、個別に相談させていただければと考えております」

   あわてて電話で「間違ってしまった」と連絡しても、詐欺防止のため、すぐに応じてくれないのだ。申請書をしっかり自分で確認するほかはないようだ。

希望しない人は返送しなければいいのに、なぜ欄が要る?

   こうした総務省の対応に、ネット上では怒りの声が殺到している。

「当方へも書類が来ましたが内容を読んで確認している間に、希望しないにレ点を入れるところでした。惰性でチェックを入れる人も多いと思う。国が率先して給付をするのだから、そもそも書類には『希望しない』という項目は必要ないと思う」
「希望しない人は返送しなければいいだけで、『希望しない』という欄を初めからつくらなければよかった。希望しない人が、わざわざ署名捺印し、口座番号を記入し、免許証等証明書及び口座のコピーを張り付けるか。普通に考えたらすぐに分かること。それに一家の中で、希望する人と希望しない人が分かれるなんて、あり得ないでしょう」

   そして、こう勘繰る人も多かった。

「そういう欄がある限り、必ず間違える人はいます。これは間違えてチェックを付けるのを狙った誘導項目だと思う。年寄りに勘違いさせるためのものでしょうね。10人に1人の年寄りが勘違いしても相当な額になりますから。期限を付けたのもそのためでしょうね」
「確かに。政府の人間はバカではありませんよ。意図がなければ、そんなこと(=勘違いする人が出ること)に気がつかないわけはありません。私や皆さんでさえ気がつくのですから。10万円をあげたくないこともあるかもしれませんが、不便と混乱を与えることで、国民にマイナンバー制度に賛成させるためです」

お年寄りがわざと間違いやすい小さな字で書いてある

   実際に申請書が郵送されてきた人たちは、こう語っている。

「私の地方ではすでに給付金の申請用紙が届きましたが、やはりここは心配で何度もチェックしました。離れて住んでいる老親からも『ここにチェックするのか』と電話がきました。確かに申請書には説明が書いてありますが、わかりづらいです。お年寄りはお金をもらうためにはチェックが必要と思ってしまう人がいても不思議でないと思いました。どうしてわざわざ間違いを誘発するような形式になっているのか? もっと大きな字でハッキリ書くとか、別に欄を設けるとか、間違えようのない表記方法があったと思います」
「うちの市は様式が違いました。『希望する』『希望しない』の両方のチェック欄がありましたし、どちらにもチェックしていなければ『希望する』とみなすとも書いてありました。ややこしいな。市町村によって違うのね」

   そして最後に「さあ、来い!」と腕まくりする人も。

「うちの地方は申請書まだ届いていませんが、事前に間違いを誘発するようなチェック欄があることを知り、注意を喚起し家族全員で確認して記入することになりました。なんだかひさしぶりに家族全員でひとつのことをやり遂げる大仕事となり、母親の鼻息も荒くなってきました」

(福田和郎)