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【企業分析バトル 第1戦】恐怖と強欲な株式市場が大好き まずはビックカメラを買う、そのワケは?(早稲田大学)

   2020年5月、「シューカツに使える企業分析バトル カブ大学対抗戦 Season2」がはじまりました。今季は、早稲田大学と明治大学、一橋大学の3大学が、気になる上場企業をピックアップして事業状況や財務を分析。株式投資に挑みます。その初戦を迎えました。

   はじめまして、企業分析バトルに参加する早稲田大学のAMと申します。初回ということで、自己紹介を少しさせていただきます。

   現在、基幹理工学部の3年生。株式投資は20歳のときからですので、まだまだ卵の殻もとれぬビギナーです。

   今春のコロナウイルスと原油安に起因する世界同時株安により、リアルでも諭吉様が数十枚消えてしまいましたが、それでも楽観視して買い増しております。恐怖と強欲で支配されている株式市場が大好きです。

   今回、このような企画に参加できることを大変うれしく思います。知識も経験も乏しく、稚拙な文章になってしまうと思いますが、考えを自由に書くということを最優先事項にし、書いていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

  • 早稲田大学が最初に選んだのは、家電小売りだった!(ビックカメラ有楽町店)
    早稲田大学が最初に選んだのは、家電小売りだった!(ビックカメラ有楽町店)
  • 早稲田大学が最初に選んだのは、家電小売りだった!(ビックカメラ有楽町店)

順調に売り上げを伸ばす家電小売り

   この春の株式市場は激動でした。言わずもがな、新型コロナウイルスの感染拡大による世界同時株安です。感染拡大を防ぐための行動制限や自粛要請による経済へのダメージは測りしれないほど大きいと推察されます。株価のボラティリティも、リーマン・ショック時を上回るほどに急上昇し、世界中の中央銀行もこぞって金融緩和に乗り出しました。

   2019年12月末から、このような展開になることは、多くの人は考えられなかったのではないでしょうか。しかし、それと同時に株価も、その時には考えられないほど、割安となっています。

   このような下落相場で、買い向かうことはとても困難です。であるからこそ、買い向かうことが重要なのではないのでしょうか。「株式が最も魅力的なのは、市場が最も悲惨なとき」とも言います。

   投資の神様と称されるウォーレン・バフェット氏の、

「人々が貪欲のとき慎重に、恐怖しているとき貪欲になれ」

   という言葉は有名ですよね。

   とても悲惨な相場ですが、企業分析という自分の信じられるものを羅針盤にして暗い道のりを歩んでいきたいものです。

   では、さっそく企業を分析していきたいと思います。

   今回取り上げる企業は小売業であり、家電量販店を展開している東証一部上場の「ビックカメラ」(3048)です。同社は、首都圏を中心に全国に44店舗(2019年11月時点)の直営店を展開し、株式会社コジマや株式会社ソフマップを傘下にもつ、小売家電量販店事業を主体としています。

   本決算は8月で、19年8月期決算の売上高は8940億2100万円、営業利益は229億4300万円、経常利益は258億7100万円です。また自己資本利益率(ROE)は10.6%、総資産利益率(ROA)は3.5%となっています。

   直近10年の売上高、経常利益、1株当たりの当期純利益(EPS)、1株当たりの純資産(BPS)は下表1のように推移。順調に売上高、利益を伸ばしていることがわかり、EPSも増加しています。それに伴い、BPSも堅調に増えていることがわかります。


(表1)ビックカメラの直近10年の推移(2019年8月期)

「コロナ後」売上高は回復見込みが高いと判断

   財務体制を、見ていきます。貸借対照表は下表2のとおりです。流動資産と固定資産の比率は、同等ぐらいで、負債の多くは流動負債が占めています。自己資本比率は33.4%です。これにより、黒字企業としてよい財務体制を保持していることがわかります。

   キャッシュフロー(CF)も、見ていきます。営業CFは131億円、投資CFはマイナス114億円、財務CFは20億円です。フリーCFは17億円となっています。ここからは、本業がうまくいっており、事業規模拡大のために投資を積極的に行っていることがわかりました。


表2)ビックカメラの貸借対照表(2020年第2四半期:19年9月~20年12月期)

   ひと通り、ビックカメラを数字を通して見てきましたが、私は優良な会社であると思いました。本業の営業利益はこの10年、増加傾向にあり、それに合わせて経常利益も2倍以上まで伸びています。一株当たりの純資産も2倍以上になっています。ここから、会社の規模を堅実に伸ばしてきた印象があります。財務面でも、比較的健全だと思います。

   ビックカメラは、十分な事業規模と堅実な成長、そして直近10年の本決算で、経常損失がないという収益の安定性が魅力です。顧客が一般人であり、家電の小売りという社会に必須である事業を扱っていることが、この安定性を生んでいると考えられます。

   新型コロナウイルスの感染拡大は、経済に大きな影響を与えています。多くの小売業の売り上げが落ちています。ビックカメラもその例外ではありません。業績予想が修正され、20年8月期の経常利益が269億円から65億円に、大幅に下方修正されました。

   新型コロナによってビジネスの脆弱性が露呈し、さまざまな業種のビジネスの態勢を変質させる可能性が、そこらかしこで騒がれています。しかし、ビックカメラが扱う小売家電量販店という事業は、コロナ後であっても、不用な業種となる可能性が低いと考えられ、「アフターコロナ」にあっても、売上高は回復する見込みが高いと、私は思います。

   またPBR、PERからみても、割高とは思いません(直近の業績修正で、予想PER値が異常に高くなってしまったことがありますが......)。

   そこでビックカメラ株を、5月7日の終値948円で200株(2単元)取得したいと思います。

   早く新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、失われた日常が戻ってきてほしいです。

ビックカメラ」(3048)
年初来高値(2020年1月15日)   1367円
年初来安値(2020年3月13日)    736円
株式取得時の株価(2020年5月7日) 948円
取得株数 200株


【株式取引ルール】
月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。
投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。
1年間のトータルで損益を競います。
プロフィール
早稲田大学 AM
基幹理工学部3年。資本主義では資本家が頂点にいることを察し、またインフレリスクを回避するため、消極的に株式投資をはじめる。趣味は読書、料理とバイト代で株を買うこと。資本主義における株式の力を強く信じており、その力に魅了されている。
好きな言葉は「Be Fearful When Others Are Greedy and Be Greedy When Others Are Fearful.」。東京都出身。