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【企業分析バトル 第1戦】動画配信サービスのJストリーム 「ポストコロナ」の需要拡大に期待(一橋大学)

   「シューカツに使える企業分析バトル カブ大学対抗戦 Season2」がはじまりました。今季は、早稲田大学と明治大学、一橋大学の3大学が、気になる上場企業をピックアップして事業状況や財務を分析。株式投資に挑みます。今回は、一橋大学です。

   企業分析バトル初戦の銘柄として選んだのは、東証マザーズに上場している「Jストリーム(4308)」だ。注目のきっかけは、2020年3月期決算である。ここ数年にわたって売上高や営業利益が右肩上がりで、そのうえ売上高は前期比24.5%増、営業利益は前期比74.8%増と急増している。

   その他の決算内容については後ほど詳しく見てみるとして、まずはJストリームを選んだもう一つの理由である、事業内容を見ていきたい。

  • 動画配信サービスのJストリームに注目(写真は、動画制作のイメージ)
    動画配信サービスのJストリームに注目(写真は、動画制作のイメージ)
  • 動画配信サービスのJストリームに注目(写真は、動画制作のイメージ)

国内最大級の動画配信プラットフォーム

   Jストリームは、企業向けに、動画配信プラットフォーム、CDN(コンテンツデリバリネットワーク)、ライブ配信、映像制作、Webサイト構築などのサービスを提供している企業だ。

   2020年4月30日開催の取締役会で、以前は「配信事業」「制作・システム開発事業」「その他の事業」に分けられていた事業を、「動画ソリューション事業」の単一セグメントへの変更を決議した。

   主力事業は、配信事業であり、ライブストリーミングやオンデマンドストリーミング、配信利用に付随するアプリケーションのカスタマイズなどを行う。

   動画配信プラットフォームとしては国内最大級で、2000アカウント以上の企業が導入している「J-Stream Equipmedia(イクイップメディア)」や、国産CDN(Contents Delivery Network)サービスである「J-Stream CDNext(シーディーネクスト)」などが代表的なサービスとなっている。

   CDN(Contents Delivery Network)とは、動画や音声などのサイズが大きいコンテンツをインターネット上で配信する際の、トラフィックの集中回避やネットワークへの負担軽減を目的とした専用のネットワークの仕組みのこと。この仕組みを多くの一般企業などに提供し、数万人の視聴者にも耐えうるコンテンツ配信の実現を手助けしている。

   そんなJストリームに今後、期待できるであろう根拠は二つある。

   一つ目は、主要取引先に大企業が多いということ。二つ目は、新型コロナウイルス感染症の影響で、さらに需要が高まると予想されるサービスを提供していることだ。

多種多様な取引先、企業のリモート支援もプラスに

Jストリーム2020年3月期 本決算説明会資料より
Jストリーム2020年3月期 本決算説明会資料より

   一つ目に関して、Jストリームの主要取引先は、フジテレビやテレビ朝日をはじめとするテレビ局や、カルビーや雪印メグミルクなどの食品メーカー、Panasonicやキヤノンなどの電機メーカー、大和証券グループ本社、みずほフィナンシャルグループ、ベネッセコーポレーションなどのさまざまな分野にわたる。

   2020年3月期は、年間を通じてメディア系の大型運用案件や配信受注が継続したことが好決算につながったとのことだ。

   二つ目のサービスについては、新型コロナウイルスの影響でコミュニケーションをネットに置き換えるライブ配信などの受注が増加しており、Jストリームの業績の追い風となっている。

   具体的なサービスとして、リモート収録の助けとなる「3ステップサービス」や「リモートバーチャルスタジオ」、ライブ配信サービスとしての「疑似ライブ配信」、「iPadライブ配信」などが挙げられる。

   また、企業のリモートワークも支援しており、株主総会を含む各種セミナー・イベントのバーチャル化については、すでにいくつもの実績がある。

   今後も引き続き需要が高まるだろう。

株価に好材料の「プレスリリース、増えるといいなぁ」

   次に、Jストリームの2020年3月期決算を、もう少し詳しく見ていきたい。

   売上高と営業利益は前出のとおり、大幅に増加中である。当期純利益も前期比27.0%増の2億4900万円と好調だ。

   BS(貸借対照表)については、流動比率が304.4%、固定比率が42.4%、株主資本比率は67.4%と、財務安全性は十分である。CF(キャッシュフロー)は、フリーCFが前期の3.7倍となる1億8900万円と大幅に改善している。

   唯一の懸念点は、ROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)だろう。ROEは6.4%、ROAは4.6%で、情報・通信業の平均(ROE6.9%、ROA8.6%)と比べると、やや低い水準。ただし、どちらも改善傾向にある。

   最後にJストリームの株価を見てみる。2020年に入ってから大きな上昇トレンドの中にあり、決算発表明けの5月1日に年初来高値の2032円を付けてから一度下落し、5月11日に1475円まで下がった。

   しかし、そこから再び株価は上昇し、5月25日の終値は1822円である。移動平均線を見ても、株価は5日、25日平均線にしっかりと支えられているかたちだ。よって、次に何か好材料が出てくれば年初来高値を更新するのではないか。

   このように、今後の需要に期待できるサービス内容と好決算から、Jストリームは「買い」の銘柄だと判断した。

   5月20日には、ワンストップオンライン配信パッケージ「イベキャス」が、大阪府の「無観客ライブ」配信へのサポート事業者として登録されたというプレスリリースがあった。このような好材料となるプレスリリースが増えていくことに期待する。

   5月25日、終値と同じ1822円で100株を購入した。

Jストリーム(4308)
年初来高値(2020年5月 1日)     2032円
年初来安値(2020年3 月13日)         638円
株式取得時の株価(2020年5月25日)     1822円
取得株数                   100株

【株式取引ルール】
月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。
投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。
1年間のトータルで損益を競います。
プロフィール
一橋大学 オレオ
法学部2年。投資サークルに所属しており、試行錯誤をしながら企業分析を勉強中。株式投資は未経験だが、この企業分析バトルを機に少しずつ始めたいと考えている。趣味は音楽鑑賞やピアノを弾くこと。群馬県出身。
「シューカツに使える企業分析バトル カブ大学対抗戦 Season2」を通じて、財務分析と意思決定の精度を少しでも向上させることができるように、頑張ります。