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世帯年収1000万円以上でも「マジ生活苦しい」「節約しないとダメ」「2000万円以上ないと余裕ない」ってホント?

「生活を切り詰めてカツカツで生きています」
「パートで働かないとやっていけません」
「ホント、マジ苦しいです」

   ......これが、なんと世帯年収が1000万円を超える女性たちの声なのだ。女性向けサイトの「ガールズちゃんねる」が世帯年収1000万円のリアルな生活感を語る投稿を求めたところ、リッチさにはほど遠い声が多く集まった。

   いったい、どういうことなのか。

  • 「1000万円以上」の若い共働きが珍しくない(写真はイメージ)
    「1000万円以上」の若い共働きが珍しくない(写真はイメージ)
  • 「1000万円以上」の若い共働きが珍しくない(写真はイメージ)

東京都では「1000万円超え」は少しもリッチでない

   まず、世帯年収が1000万円を超える人は、どのくらいいるのか。厚生労働省の「平成30年度(2017年度)国民生活基礎調査の概況」によると、2017年度の日本全体の平均世帯年収は551.6万円だ。そのうち年収が1000万円を超えている世帯は全体の12.2%だった。つまり、8世帯のうち1世帯が1000万円を超えているわけだ。

   しかも、平均の551.6万円は単身世帯(1人)や高齢世帯(2人)、母子家庭などを含んでの統計だ。子どもがいる世帯の平均が743.6万円、また共働き世帯の平均が729.6万円であることを考えると、「世帯年収1000万円」がびっくりするほどリッチではないことがわかる。

   実際に手元に入る額は、所得税や社会保険料などが引かれ、700~760万円の手取りが一般的だ。

   さらに東京都に限ると、共働き率が高いこともあって、年収が「1000万円以上」の世帯がなんと28.5%を占める(2017年度東京都福祉保健基礎調査「東京の子供と家庭」より)。つまり、東京都内では3.5世帯のうち1世帯が「1000万円以上」なのだ。一気に「1000万円」のセレブ感が薄れてしまう結果だ。

   こうしたこともあってか、2020年6月4日付の女性向けサイト「ガールズちゃんねる」(Girls Channel)の「世帯年収1000万円のリアルな生活感」は、「都内で1000万円くらいでは全然余裕ないって本当ですか?」というトピ(=トピックス・話題提供)から始まった。

   「マジホントよ」「結構苦しい」という声であふれた。

「本当ですよ~。子ども3人なので、私もパートに出ています。分譲マンション住みですが、ここへ引っ越す時に車を処分しました。子どもが2人なら、マイカー所有できたかも。末っ子が高校生なので、あとひと頑張りかな」
「中学受験を考えて子ども2人なら、23区どころか神奈川・千葉・埼玉でもギリギリ。小学校お受験まで考えるなら年収1200万円に子ども1人くらいがギリギリ」
「ホントだよ!1馬力(編集部注・夫だけが稼ぐ、共働きなら2馬力)1500万円、子供1人だけど節約生活。車ももったいないから持たない」
「23区在住子ども2人。老後や学費を考えて貯金し住宅ローンを払うとそれほどいい暮らしはできない。年に2回ほど家族旅行、5年に1度くらいの海外。まあまあグレードの国産車。こんなもんだよ。雑誌に出てくる豪華時計やルブタンの靴を履き、高級車に乗り、小学校お受験をさせられる人種はたぶん3000万円超えと思われる」
「家族の人数によるよ。うちは私大に通う年子の子ども2人いるから、今切り詰めてカツカツ! パートして子どもの定期代の足しにしている」

「目黒区の夫婦です。1LDK家賃28万円。会社まで徒歩通勤です」

「年収1000万円以上」の人の貯金額は?
「年収1000万円以上」の人の貯金額は?
「うちは2馬力。夫が1100万円、私100万円だけど、区寄りの都下住みで余裕ない。区だったらもっと大変と思う。夫婦とも30代後半子ども3人(小中)全員公立。塾や習い事の教育費がかかるようになってきた。息子たちがよく食べるようになり食費が大変。服は下の子2人はGU(編集部注・ユニクロの姉妹ブランド)やお下がりで、1番上はいちおう安い時に買う。靴も楽天スーパーセールの時とかでポイント貯めて買っている。外食は月1回。旅行は2年に1度。でも夫の実家に泊まることが多いよ」
「子ども1人公立だけど、マイホームなんて怖くて買えないし、お金には困らないけど余裕もない感じ。都内じゃ2000万円くらいないと裕福さは感じられない気がする」

   1000万円を夫婦で稼ぐには、それなりのストレスもある。

「30代前半の夫婦。子どもなし。賃貸2LDKで家賃14万円。ともに中堅ゼネコン勤務(社内結婚)。世帯年収1000万円まであと少し。お互いクタクタで休日は家で過ごすことがほとんど。朝5時に家を出て現場まで直行2時間とかザラ。女だから職人にもなめられる。ストレス半端ないです。週末は昼も夜も外食。そこだけは贅沢かな~と思う。仕事中はダサい作業着だから、通勤はちょっとお洒落して気分あげてきます」

   また、こんな声もあった。

「都内でもどのあたりかを指定しないと全然参考にならないですよ。たとえばだけど、港区と足立区では家賃が全然違いますよね。足立区だったら豪邸じゃない限り、1000万円あれば普通に暮らせますよね」
「うちは港区ですが、2LDKで家賃月30万円です」
「年収1000万円で港区に住む人はいないでしょう。団地ならわかるけど」
「足立区ですが余裕ないですよ。でも周りは年収500万~700万円くらいがボリュームゾーンだろうな、とは感じます」
「目黒区です。1LDKで家賃28万円。広さは65平方メートル。世帯年収1500万円の20代DINKS(編集部注:共働きで子どもを意識的に作らない、持たない夫婦)です。暮らしぶりは、ザ・一般庶民。職場の近くに住みたくて、家賃だけは人よりお金をかけているかもしれません。会社まで徒歩通勤です」

   この投稿には、こんな声が。

「子どもがいない年収1000万円夫婦の小遣いと賃貸の高さにビックリするね。子無し決定じゃなくて、できちゃう場合もあるから、絶対に今、貯金したほうがいいよ。あっというまになくなるから」

「学歴が超高いから教育費にメチャクチャかけてビンボーに」

   というわけで、年収1000万円の人々の貯蓄事情はどうなっているのだろうか。

「貯金貧乏です。年200~250万円は貯蓄(保険も含む)しているかなあ」
「貯金してある程度溜まると大きな出費を繰り返している。マイホーム、車、車買い替え...。500万円貯めて400万円出ていく、みたいな。余裕がないほどではないけど」
「子どもの教育費、家購入代、老後資金。教育費や老後資金は保険をかけているけど、自分たちでも一定は貯めなきゃジャン。1000万円じゃ全然足りないよ」
「ホンマそれだよ。 私24歳で結婚して世帯年収1000万円あるしーって余裕ぶっこいていたらすぐ妊娠して、その時貯金100万円しかなかったし、家賃15万円、駐車場2万円のところだから急いで引っ越した。結局産んだ時は貯金200万円になっていたけど、育児用品買ったり、帝王切開で入院長引いたりで結構消えた(泣)」
「しっかり貯めているよ。みんな、ドンだけ豪遊しているの? 今28歳夫婦で子ども一人だけど、毎月20万円とボーナス全額貯金。家族計画きちんとしてローンも身の丈に合わせたらいいだけだよ。1000万円あるからー! なんて思って海外旅行毎年行ったり、子ども3人産んだりしたら、生活切り詰めないと絶対無理だよ」
「海外旅行なんてハネムーン以来行ってないよ。将来あらゆる面で子どもに不自由させないようにと考えると、遊びにカネなんか使えないよ」

   首都圏では年収1000万円でもけっこうカツカツの人が多いのは、子どもの教育費にお金がかかるからのようだ。

「旦那が20代の時から1000万円超えているけど、お金持ちとも貧乏とも違う、普通の暮らし。うちの旦那もそうだけど、1馬力でこの年収帯は旦那さんの学歴が超高いから教育費にメチャクチャかけるよね。うちもそれです。もうマイホームはあきらめて社宅に住んでいます」
「子どもは私立中高でしたが、私の希望で受験させたので自分が学費を捻出するのが当たり前と考えてパートに出ました。その分、自宅から通える国立大学へ進学してくれましたから、今専業主婦しています」
「神奈川だけど貯金ゼロです。子ども2人の習いごとなど教育費に使っちゃっています。生命保険や土地、家、クルマは持っているのだけど、そろそろ貯金しないとだわ」
「東京では子供がバカで私立大しか行けないと1人がやっと。でも地方の国立大自宅通学なら3人でも余裕でしょ」

「四国の漁師です。1500万円ですが税金ガバガバで苦しいです」

   こうした東京中心の声に、地方の人々は驚いている。

「うちの地域で家賃20万円なんて聞いたことがない。1000万円あったらセレブだわ」
「家賃20万円を自費で払う必要があるなら、ローン組んでマイホーム買ってもよいかなと思いますが、東京だとそれも大変なのかな?」
「私立の中学に入れる時点でお金持ちです」
「地方都市です。東京だとキツキツで余裕がない、地方の中核都市だととても生活の質が高い暮らしができそうとおっしゃいますが、地方では普通の暮らししかできないですよ」

   また、こんな声もあった。

「四国の田舎で旦那が漁師で1500万円ぐらいだけど、税金でアホみたいにもってかれるからそんなに残らないです。専業主婦していてもそこそこ生活はできるけど、海外旅行しょっちゅう行くとか、ブランド物バンバン買ったりできる生活ではないです。子供いないし家にいても暇なので私もフルタイムで働いています」
「1500万円!地方だったら裕福かと思いきや、そんなことないんだね。漁師さんの税金がスゴそうだもんね。あと、船のランニングコスト半端なさそう」

   最後にこんな声を紹介したい。

「ねえ、恥ずかしいからやめない? たかだか1000万円の小競り合い、見ていてひく」

(福田和郎)