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【襲来!新型コロナウイルス】コロナ禍でピンチの3業界 「チーム力」で乗り越えた会社ランキング

   経済活動が再開したとはいえ、まだ新型コロナウイルスの悪影響から立ち直るのに苦戦している業界が少なくない。特に被害が大きかったのが、「飲食」「旅行・レジャー」「小売り」業界の3つだ。

   この3つの業界の企業は、どうやって苦境を乗り切ってきたか――。就職・転職のためのジョブマーケット・プラットフォーム「Open Work」を運営するオープンワークが2020年6月24日、「コロナ影響業界の『チーム力』企業ランキング」を発表した。それぞれの業界で評価が高いベスト3の会社はどんな強みを持っているのか、社員の口コミ情報から探った。

  • 旅行業界に活気が戻るのはいつ?(写真はイメージ)
    旅行業界に活気が戻るのはいつ?(写真はイメージ)
  • 旅行業界に活気が戻るのはいつ?(写真はイメージ)

飲食1位はスタバ、2位は物語コーポ、3位は丸亀製麺

   「Open Work」は、主に社会人の会員ユーザーが自分の勤務している企業の口コミ情報を投稿するサイトだ。会員数は約370万人(2020年6月時点)という。今回は2020年1月~6月までに投稿された口コミ情報のうち、上記3つの業界の会社評価レポートを選び、評価の高いものをそれぞれ上位3位までランキングした。回答者数が5人以上あった企業が対象で、上位にランクされた計9社には1社ごとに169~1486件の回答が寄せられた。

   その結果、「飲食業界」の1位は外資系コーヒー店チェーンのスターバックスコーヒージャパン、2位は焼肉きんぐ・丸源ラーメン・お好み焼本舗・焼肉一番カルビ・源氏総本店などの飲食店を全国に展開する物語コーポレーション、3位は讃岐釜揚げうどん店などを全国のショッピングモールのフードコートで展開する丸亀製麺になった=図表1参照

(図表1)飲食業のベスト3(オープンワーク作成)
(図表1)飲食業のベスト3(オープンワーク作成)

   これら3社の「チーム力」はどんなところに表れているのか。口コミ情報でみると――。多くの飲食チェーン店では接客方法などのマニュアルがあるなか、スターバックスではサービスマニュアルがなく、従業員ひとり一人の自主性が求められることがクチコミからうかがえる。

●スターバックス
「企業理念を社員だけでなく、店舗ごとのアルバイトにもしっかりと理解し実践できるレベルにまで落とし込んでいる。そのことが、サービスマニュアルがなくても自発的に店舗運営を行っていけるところ、ひいてはブランド力を高める部分に大きく結びついていると思う。また失敗を恐れずに取り組む姿勢や、周りの人が成長することに対して賞賛する文化があり、成長志向が高い人が多い」(店舗営業、女性)

●物語コーポレーション
「自分で考えて行動する。責任もあるかもしれないですが、トップダウンで言われたことだけをやる作業的な仕事ではないので、考えたり、新しいことにチャレンジしたりすることがしやすい。時にはミスや失敗もしますが、それを責めたり怒ったりせずに、同じことを繰り返さないために上司が一緒に考えてくれます。成功した時の喜びはかなり大きいです」(店長、女性)

●丸亀製麺
「チャレンジ精神がある会社です。やる気と、コミュニケーション能力のある人は、上に登れる会社だと感じています。しかしながら、男性中心の会社ではあるので、女性の社員はまだまだ少なめ。女性店長は多いですが、マネージャーやチーフマネージャーになれている人は、まだいないです。その点に関しては、まだ成長過程と言えます」(店長、女性)

旅行・レジャー1位はフィットネスクラブのルネサンス

(図表2)旅行・レジャー業のベスト3(オープンワーク作成)
(図表2)旅行・レジャー業のベスト3(オープンワーク作成)

   「旅行・レジャー業界」の1位は全国展開のフィットネスクラブのルネサンス、2位は日本最大級の会員約30万人が通う料理・パン・ケーキが学べる料理教室のABC Cooking Studio、3位は世界最大級の外資系旅行サイトを運営するエクスペディアホールディングスだった=図表2参照

   さすがにホテル・旅館関係は厳しい状況が続き、上位に上がってこなかったが、レジャー部門からスポーツクラブ、料理教室がランクイン、また、外資系の旅行予約サイトも3位に滑り込んだ。

●ルネサンス
「入社1年目でスタジオレッスンなどを担当することになり、多くのお客様に喜ばれることによって、とても働きがいを感じた。また、クラブに配属になっている社員は、各セクションの人数があまり多くないので、パートナースタッフとの業務が多くなります。少ない人数の中でチームが協力して業務やイベントを成功させることができた時は、とてもやりがいを感じることができます」(トレーナー、男性)

●ABC Cooking Studio
「成長とキャリア開発がのぞめる。料理教室に来られる性別も年齢も違うさまざまなお客様に、目に見えないサービスの価値を説明し、購入していただくというスキルが身につく。インプットとアウトプットの機会が多くあり、営業だけでなく料理などのスキルもアップする。毎月とクォーターごとの売り上げなどの目標を達成するために、日々の活動や先を見据えた計画の立て方、そしてそれをどんどん修正していく方法が身につく」(スタジオ勤務、女性)

●エクスペディアホールディングス
「自分がステップアップをしたいと思った時に、社内公募に応募できる。また、常にマネージャーと面会があるため、上司に相談したり、仲間とも相談したりすることもできる」(営業、男性)

小売り1位ユナイテッドアローズ、2位ドンキ、3位良品計画

(図表3)小売り業のベスト3(オープンワーク作成)
(図表3)小売り業のベスト3(オープンワーク作成)

   「小売り業界」は、1位に衣類や小物などを販売するセレクトショップを運営するユナイテッドアローズ、2位に日本最大級の総合ディスカウントストア、ドン・キホーテ、3位に無印良品やMUJIブランドの専門店を展開する良品計画が入った=図表3参照

●ユナイテッドアローズ
「お客様のために!という熱い心がみんなにあるから、やりがいが感じられる。店長や、直属の指導係が細かく指摘をしてくれる。そのため、ダメなところもいいところも伸ばせる環境だからこそ働きがいにつながっていると思う」(販売、女性)

●ドン・キホーテ
「やりながら、ひらめきを通じて覚えていくスタイル。マニュアル通りにやる人には向かないが、試行錯誤が好きな人にはとても向いている。大きな失敗をしても、笑って経験としてくれる余裕のある会社である」(営業、男性)

●良品計画
「店舗のスタッフ合わせてチームで運営するので、コミュニケーションをとりながら成果を出すのは楽しい」(販売、女性)

(福田和郎)