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【株と為替 今週のねらい目】安倍首相辞任の波紋は? コロナ禍に米中対立と波乱要因が山積(8月31日~9月4日)

   安倍晋三首相の突然の辞任発表で、2020年8月28日の東京株式市場の日経平均株価は一時600円を超す暴落。終値は前日比362円21銭安の2万2882円65銭で引けた。ただ、市場関係者らは「経済支援や金融緩和の政策が大幅に変更される状況ではない」との見方でほぼ一致しており、混乱は限定的なようす。好調な米国株も、追い風になりそうだ。

   懸念材料は引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大「第2波」と米中対立の先鋭化。なかでも米中対立は、11月の米大統領選を巻き込んだ展開になり兼ねず、波乱要因として注意する必要がある。

   どうなる? 今週の株式・為替マーケット!

  • 突然の辞任で株価は暴落したが……(辞任会見での安倍晋三首相、2020年8月28日撮影)
    突然の辞任で株価は暴落したが……(辞任会見での安倍晋三首相、2020年8月28日撮影)
  • 突然の辞任で株価は暴落したが……(辞任会見での安倍晋三首相、2020年8月28日撮影)

東京株式市場 コロナ感染第2波への懸念続く

日経平均株価予想レンジ:2万2000円~2万3200円

   2020年8月28日(金)終値 2万2882円65銭

   今週の東京株式市場の日経平均株価は、下値固めの展開となりそうだ。

   前週の日経平均株価は、週間ベースで小幅続落となった。28日、安倍晋三首相の辞意が伝わると、一時600円安超の暴落となった。

   今週の日経平均株価は、下値固めの展開となりそうだ。相場の関心は「ポスト安倍」に移るが、安倍首相が後任首相の決定するまで執務を継続することで大きな混乱は回避されそうだ。

   しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の「第2波」や米中対立など相場の懸念材料で上値が重いことに加えて、安倍首相の辞任により、政策の継続性や日銀の金融緩和政策が焦点となっており、今後は政局が最大の材料となりそうだ。

   さらに、外国為替相場での円高進行も嫌気されるだろう。また、米国の雇用統計など重要指標の発表が予定されており、その結果が注目される。

東京外国為替市場 安倍首相「後任決定まで執務継続」で混乱回避へ

ドル・円予想レンジ:1ドル=104円50銭~107円00銭

   2020年8月28日(金)終値 1ドル=106円55銭

   今週の外国為替市場でドル円相場は、ドルの下値固めの展開か。予想レンジは、8月11日週から変わりなし。

   前週のドル円相場は、ドルが弱含みの展開となった。米国での新型コロナウイルスへのワクチンや治療薬の進展、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が一時的な2%を超えるインフレを容認する姿勢を示したことで、米長期金利が上昇。それによりドル買い・円売りが活発化した。ドルは一時107円近くまでドル高・円安が進んだが、安倍晋三首相の辞任を受け、リスク回避のドル売り・円買いが活発化し、加えて7月の米個人消費支出などが市場予想を下回ったことから、1ドル=105円前半まで急落した。

   今週のドル円相場は、ドルの下値固めの展開となりそうだ。安倍首相の辞任を契機に加速したリスク回避のドル売りは一服。安倍首相が、後任の首相が決定するまで執務を継続することで大きな混乱は回避するとみられることや、政策に大きな変更はないとの見方が強いこと、パウエルFRB議長が長期間にわたり低金利を堅持する一方、一時的に2%超の物価上昇を容認する姿勢を示したことで、米長期金利が上昇傾向にあることで、ドル買いをサポートしそうだ。

   ただ、米国の雇用統計など重要指標の発表が予定されており、その結果次第ではドルの下値を探る展開になる可能性もある。

   経済指標は、国内では31日に7月の鉱工業生産、8月の消費動向調査、9月1日に7月の完全失業率と有効求人倍率、4~6月期の法人企業統計、8月の自動車販売台数などが予定されている。

   海外では、31日に8月の中国製造業PMI、1日に8月の米国ISM製造業景況指数、2日に8月の米国ADP雇用統計、3日に7月の米国貿易収支、4日に8月の米国雇用統計などの発表が予定されている。

(鷲尾香一)