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三井住友銀行、ネット未利用で1100円手数料徴収 遂にメガバンクも! 口座維持コストの顧客負担の流れ加速

    三井住友銀行は新たに口座を開く顧客のうち、ネットバンキングを使わない人から年1100円(税込み)の手数料を徴収すると、2020年10月7日に発表した。みずほ銀行も8月、紙の預金通帳を発行する場合に1100円の手数料を課すことを発表している。「タダ」が当たり前だった銀行口座の維持コストを、顧客が負担する流れが進んでいる。

   手数料を課す対象は、21年4月以降に預金口座を新規開設する18~74歳の顧客のうち、口座の残高1万円未満で入出金が2年以上なく、さらにネットバンキングを利用していない人だ。ネットバンキングの開始手続きをすれば免除される。また、紙の通帳の発行を受けた場合は年550円の手数料を課す。

  • メガバンク3行で初の実質的な「口座管理手数料」なのか?
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手数料の名称は「デジタル未利用手数料」

   三井住友銀行の広報担当者は今回の狙いについて、「新型コロナウイルスの感染防止の観点もあるが、何よりもデジタル取引を積極的に活用していただきたいという思いがあります」と説明する。今回の手数料は「デジタル未利用手数料」などと称しているという。

   ツイッター上ではさっそく「三井住友銀行」がトレンドに。書き込みも相次いだ。

「休眠口座にも課金するとのこと 都市銀行も相当経営苦しそうですね 今後、銀行口座使うのに金がかかる時代になりそうですね」
「とりあえず作ったって感じの口座はもういらないって感じかねぇ」
「もっと積極的に既存口座所有者も対象にして良いのでは?」

   ツイートは、淡々とした内容のものが多かった一方で、新たな手数料負担について批判的なものもやはり多かった。

三菱UFJも「手数料徴収へ」報じられるも...

   長期間、入出金がない口座からの手数料徴収は、りそな銀行が2004年に導入している。メガバンク3行では初めてだが、みずほ銀行が8月に新規口座の通帳発行時に1冊1100円の手数料を課すことを発表している。導入は2021年1月からだ。

   三菱UFJ銀行は、19年12月5日に長期間取引のない口座から年1200円の手数料を課すことを検討していると報じられたが、その後正式な発表はない。当時の日本経済新聞などの記事によれば、徴収対象は2年間出入金などの取引がない口座の預金者だった。

みずほ銀行も2021年1月から、新規口座開設者を対象に通帳発行1冊につき1100円の手数料の徴収を始める
みずほ銀行も2021年1月から、新規口座開設者を対象に通帳発行1冊につき1100円の手数料の徴収を始める

   日本では、銀行口座開設や維持にかかる手数料がなかったこともあり、1人が複数の銀行に口座を開くケースが世界的にも多いとされる。その一部が使われないと、いわゆる「休眠口座」になるが、それでも口座維持のために銀行は人件費などのコストがかかるという。銀行は近年、長引く低金利で収益力が落ちており、こうした採算の合わない口座を少しでも減らしたいのが本音だ。

   大手全国紙の経済部デスクは、こう解説する。

「超低金利で苦戦している銀行はどこも、顧客の口座を管理するのにかかるコストを少しでも回収するため、手数料を徴収したいのが本音です。でも、これまでタダだったのにいきなり手数料を取るとなると、顧客からの反発も大きい。今回の三井住友銀行の発表も、菅政権のキーワードである『デジタル』を名目にしたり、新型コロナも理由にしたりしていますが、実態は口座維持・管理コストの顧客への転嫁への『第1歩』と言えるでしょう」
「海外の銀行では、取引がなかったり口座残高が少なかったりする顧客から口座維持手数料を取るのは当たり前になっています。店舗を持たないネット銀行やキャッシュレス決済業者の浸透などで、金融業界の競争はますます激しくなっている。少しでも収益を改善させるため、日本のメガバンクでも今後少しずつ、口座の維持・管理にかかる手数料が課される動きが加速するでしょう」