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誰も知ってる世界のマクドナルドの株式はおいしいか?(早稲田大学)【企業分析バトル第5戦】

   毎日マスクを付けているせいか、マスクを付けていないと気持ちが落ち着かない、きょうこの頃です。季節も夏から秋に変わりました。しかし、以前としてCOVID-19感染拡大防止による外出自粛に伴い、外食の機会は減ったままです。また最近は、チェーン展開している店の大規模な閉店整理を実施した企業の話もよく耳にします。

   このように、外食業界は大きな影響を受けているようです。そして、2020年9月に分析していくのは、外食ファストフード業界において、広範囲に店舗を展開している「マクドナルド」です。

  • 日本マクドナルドホールディングスは2016年以降は順調に黒字経営を続けている
    日本マクドナルドホールディングスは2016年以降は順調に黒字経営を続けている
  • 日本マクドナルドホールディングスは2016年以降は順調に黒字経営を続けている

2015年に赤字、その後の財務状況は健全

   マクドナルドの名を聞いたことのない人はいないと思いますが、詳しく説明していきます。マクドナルドは米国に本社をおき、全世界に店舗を展開しているハンバーガーのファストフードチェーン店です。

   日本においては、店舗運営は日本マクドナルド株式会社が担っており、親会社として日本マクドナルドホールディングス(HD)株式会社(2702)が上場しています。日本マクドナルドHDは、東京証券取引所JASDAQスタンダードに上場しています。本決算は12月です。

   直近5年の売上高,営業利益、経常利益、当期純利益、純資産、総資産、一株当たり純資産は、次のようになっています。

(表1) 直近5年財務ハイライト(IR情報,日本マクドナルドホールディングス株式会社)
(表1) 直近5年財務ハイライト(IR情報,日本マクドナルドホールディングス株式会社

   2015年に大きな経常赤字を計上したものの、その後は売上高を伸ばし、経常黒字へ転換に成功しています。また、利益の伸びと共に純資産も伸ばしています。15年の巨額の赤字はチキンナゲットにビニール混入などの異物混入問題が大々的に報道されとことによる影響が大きかったようです。

   その後は、経営戦略を転換させ低価格帯に加え中価格帯の商品を追加し、幅広い客層の取り組みに力を入れています。次に自己資本比率を見ていきます。19年12月における自己資本比率は69.4%で、非常に健全な財務体制となっています。

現在の株価に割安感が感じられない

   ここまで、日本マクドナルドHDをみてきましたが、いかがだったでしょうか。マクドナルドの強みはなんといっても、その圧倒的な知名度です。「マック」といわれてわからない人はほとんどいないと思われます。

   その圧倒的なブランド力は財務諸表に表れない強みとして、経済優位性の源泉となっていると考えられます。

   また、マックは外食として生活におおきく食い込み、生活の一部となっています。そのため、贅沢品とは異なり急激な需要が低下し、廃業に追い込まれる可能性は低いです。将来的に、安定的な収益が期待出来ます。マクドナルドは、あの投資の神様であるウォーレンバフェット氏が好んでいる銘柄の一つでもあります。

   そこで結論です。今回は買い入れを見送りたいと思います。理由は2点あります。1点目として、割安感がないためです。

   今年3月の大幅な下落を前にしたときに、現在の価格に割安感が感じられません。個人的には、市場が絶望と恐怖に支配されているときに買い向かうのが好きです。

   プライベートの株取引の方でも違う銘柄ではありますが、2月、3月において大きく株を買い入れました。そのときに比べると、現環境は魅力的に思えません。

   2点目として、親会社のほうが魅力的だからです。日本マクドナルドHDの上には、米国のマクドナルド、マクドナルド・コーポレーション(MCD.N)があります。日本法人に限定してしまった場合、日本の人口が減少傾向であることから、長期的にみて市場規模の縮小が考えられます。

米マクドナルド株は魅力的

   しかし、MCD.Nは世界中の各国のマクドナル法人の株式を保有しているため、世界中のマックでリスクを分散させており、世界経済全体の成長と人口増加の恩恵を受けることができます。これに加え、各国法人の株を所有することから、各国の利益を享受しつつ時勢に応じ株所有比率を変化させることで、柔軟に困難に対応することができます。

   最近でも、MCD.Nが適切な時期であるとして、日本マクドナルドHDの持ち株を段階的に減らす方針を発表しました。このように持ち株を操作することで、利益が見込める地域に資本を集中投下して柔軟に利益の最大化を図れます。

   一方で、株式を所有されている各国の法人は、MCD.Nの方針転換により大きな影響を受けてしまう脆弱性を有しています。

   こうしたころから、今回は日本マクドナルドHDの買い入れを見送りますが、マクドナルド・コーポレーションMCD.Nはとても魅力的です。為替リスクを受けることにはなりますが、市場が好ましいときに買い入れたいと考えます。

日本マクドナルドホールディングス(2702)
年初来高値(2020年6月15日)    6270円
年初来安値(2020年3月13日) 4290円
直近の株価(2020年9月30日)    5120円
取得株数               な し

【株式取引ルール】
月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。
投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。
1年間のトータルで損益を競います。
プロフィール
早稲田大学 AM
基幹理工学部3年。資本主義では資本家が頂点にいることを察し、またインフレリスクを回避するため、消極的に株式投資をはじめる。趣味は読書、料理とバイト代で株を買うこと。資本主義における株式の力を強く信じており、その力に魅了されている。
好きな言葉は「Be Fearful When Others Are Greedy and Be Greedy When Others Are Fearful.」。東京都出身。