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ウィズ・コロナの時代 オンライン・セミナーに活路を見出そう!

   新型コロナウイルスの感染拡大以降、オフライン(対面)のセミナーは激減した。セミナーが開講できなくなったスクール事業者、研修が延期か中止になった講師など、コロナで仕事が消失した人も多い。

   一方、いち早くオンライン化に対応してコロナ前より売り上げを増やした人もいる。本書「オンライン・セミナーのうまいやりかた」は、オンライン・セミナーで自社の商材の営業リード獲得をできるようにしたい企業、自身のコンテンツをオンライン化に最適化したい講師、オンライン・セミナーをプロデューサーしたい人に向けた一冊だ。

「オンライン・セミナーのうまいやりかた」(高橋龍征著)クロスメディア・パブリッシング
  • コロナ禍でセミナーも対面からオンラインの時代
    コロナ禍でセミナーも対面からオンラインの時代
  • コロナ禍でセミナーも対面からオンラインの時代

年間200件のセミナー・イベントを企画

   著者の高橋龍征さんは、早稲田大学の社会人教育事業WASEDA NEOプロデューサー、conecuri合同会社代表社員、情報経営イノベーション専門職大学特任講師。直近は、オンラインシフトに関する知見共有のオンラインコミュニティを立ち上げ、4か月で3000人規模に拡大し、さまざまなオンライン化の試行をしている。社会人向けのセミナーをつくるのが高橋さんの仕事だ。

   2019年は200件以上企画したが、コロナ禍以降、オフライン(対面)のセミナーはゼロに。営業機会も大幅に制約された。早い段階でセミナーやワークショップをすべてオンラインに移行、新しい仕事の引き合いも増えたという。これからの日本は好むと好まざるとに関わらず、さまざまな活動をオンラインにシフトしなくてはならないと、高橋さんは考えている。

   最初にオンライン・セミナーに「入れない問題」への対処にふれている。Zoomのように使い慣れている人が多いツールを選ぶのが無難だという。また、イベント実施時、会場に入れない時の連絡先を明示しておくのも大事だ。

   受付と出欠管理については、「有償のセミナーでも3000円以下の安価なものなら、管理の手間やコストと、お金を払わずに人が入ってくるリスクを比べたら、『リンクを知っているということは、申し込みをして入ってきた』と見越して、ノーチェックにした方が合理的」と割り切ることを勧めている。

3つの落とし穴と5つの指針

   オンライン・セミナーを失敗に導く3つの落とし穴を、次のように指摘している。

(1)とにかく多くの参加者を集めようとする
(2)集客の手段ばかり気にする
(3)一発で結果を出そうとする

   セミナーを企画する際は、目的・ゴールを明確にして、それらに合致したターゲットを絞り込む。企画がターゲットに刺されば自ずと客は集まる。そうでない状態で無理に集客しても逆効果。継続には仕組みが必要で、そのためにはコスト(特に固定費)と関係者を必要最低限に絞り、プロセスを効率化する――などが成功のポイントだという。

   さらに、多くの主催者がオンライン・セミナーの収益化(マネタイズ)を課題と考えている。成功事例をもとに、5つの指針を挙げている。

(1)3000円×100人以上...... 参加費を安くして多数の参加者を募る
(2)数万円×20人以下・複数回のゼミ...... 高くして少人数をターゲットに複数回行うゼミ形式
(3)資料・権利・商品の販売...... 講義資料や個別相談の権利などを終了後に買ってもらう
(4)商材のコンバージョンにつなげる...... 参加者がコンサルティング・研修・顧問などの実力を見る機会にする
(5)参加者ではなく、企業から対価をもらう...... 企業にスポンサーとしてバックアップしてもらう

   集客には案内文が超重要で、絞り込んだターゲットに価値が伝わり、「あ、これは自分のためのものだ」と思ってもらうことが大事だという。案内文はセミナーの顔なので、何度も添削して、より精度の高い文章にしよう。

「好き」「得意」を伝える!

   案内文が出来たら、「公開」だ。FacebookページとPeatixを使った「マス」対応と、個人に向けた「個別対応」がある。

   最も確実な集客のベースは、リピートとリピーターによる拡散・勧誘に尽きるという。さらに集客を盤石についての追加施策についてもふれている。

   自分のセミナーを企画することを書いた章もある。「誰もが教えるべき」だというのだ。個人として「売れるコンテンツ」を持つことは、会社への依存度を減らす手段になる。収入源もさることながら、自分が主体となり、人に必要とされていると感じる仕事を持つことは、生きがいにもなるだろう。

   一流じゃないと教えるに値しない、メジャーなテーマじゃないとダメ、完璧にしてから出すなどと考えるのは誤解だとしている。「好きで得意」なものは、自ら中にヒントがあるという。

   このほかに、オンライン・セミナーをプロデューサーする方法に1章を割いている。「オンライン・セミナーは集客のひと手段」「集客にトレンドを活用する」など。オフラインで年間200件のセミナー・イベントを手掛けてきた著者だけに具体的なノウハウが満載だ。

「オンライン・セミナーのうまいやりかた」
高橋龍征著
発行元 クロスメディア・パブリッシング
発売元 インプレス
1480円(税別)