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「現在」の企業価値に魅力を感じた「FJネクスト」を買う!(早稲田大学)【企業分析バトル 第6戦】

   肌寒い日が増え、冬の足音が聞こえます。9月は、4月を決算の期首としている会社の、中間決算としての最後の月でした。10月になり、決算短信を出す企業が出てきましたが、やはり多くの企業が厳しい決算となった模様です。

   新型コロナウイルスの流行は一時的なものであり、感染拡大が落ち着けば消費が戻ると踏んでいた企業が多かったのに対し、実際には消費の回復速度は予想より低いものとなったようです。また、今後も感染拡大前の消費が戻るのには時間がかかると予想し、期末予想利益を大幅に下方修正している企業、大胆な事業整理や資産売却を進めている企業も少なくありません。

  • FJネクストの主力は不動産開発事業(写真はイメージ)
    FJネクストの主力は不動産開発事業(写真はイメージ)
  • FJネクストの主力は不動産開発事業(写真はイメージ)

健全な財務内容

   その中で、今回見ていく企業は四季報をよんでいて気になった企業です。今回見ていくのは、「FJネクスト(8935)」です。同社は建物の建設、分譲販売や建物管理、旅館経営を行っている不動産事業会社です。

   1980年設立。2004年にジャスダックに上場し、13年に東証1部に上場しています。3月末決算の企業です。事業は、主に不動産開発事業、不動産管理事業、建設事業、旅館事業の4つに分けられます。

   不動産開発事業は、東京23区を中心として資産運用型マンション、ファミリーマンションを企画・販売しています。資産運用型マンションとは、自分で住むのではなく人に貸すことで家賃収入を得たりすることを前提としたマンションで、投資家に売られるマンションのこと。「ガーラマンション」シリーズとして、自社ブランドを立ち上げています。

   不動産管理事業は、先ほどの資産運用型マンション、ファミリーマンションをはじめとした建物を管理しています。建設事業は、設計から施工まで含めて建設の一連を担っており、旅館事業は伊豆エリアで4軒の旅館を経営しているようです。

   財務ハイライトとしては、2020年3月期末決算では経常利益が103億円で、直近5年は下図のとおりで、順調に利益を伸ばしています。また、直近10年においては経常赤字の年がなく経常黒字で収益が安定しています。

安定した収益性
安定した収益性

引用:FJネクスト 業績ハイライト

   2021年3月期第1四半期決算によると、自己資本比率は57.6%で、健全といえる数値になっています。また、貸借対照表をみると、借方は流動資産が836億円、固定資産が33億円であり、貸方では流動負債が219億円、固定負債148億円で負債合計は368億円、純資産は500億円です。

   固定負債が現金および預金より少なく、流動資産合計が負債合計よりも多いため、財務上で非常に健全であるとみられます。

◆ 参考リンク:FJネクスト 四半期報告書(1)

FJネクスト 四半期報告書(2)

   投資指標としては、10月3日現在で株価純資産倍率(PBR)は0.58倍、株価収益率(PER)は5.5倍です。割安感が感じられる数値です。

株式購入のポイントは3つ!

   ここまでFJネクストをみてきましたが、今回は株式を買い入れたいと思います。

   買い入れる理由は、不動産業種を入れてポートフォリオの多様化を図りたいこと、また株を購入する際に判断軸とする条件をおおまかに満たしていたからです。

   判断条件は大きく3つ。1つは、利益の安定性です。会社が存続するためには、利益が不可欠です。しかし経済には周期というものがあり、経済の動向によって会社の利益は影響を受けてしまうことがあります。この点、10年という経済パターンが一周すると考えられる期間において、安定して利益を出せているかを見ることは重要です。そして、FJネクストはこれをクリアしており、安定した収益を達成しています。

   2つめの判断基準は財務健全性です。いくら収益を上げていたとしても、その収益が借金によるものであれば意味がありません。また、企業が存続していくためには、健全な財務体制が必要不可欠です。自己資本比率も高く、負債合計が流動資産よりも少ないです。

   3つめは、株価の割安性です。どんなに利益を上げ、財務が健全であったとしても、PERが50倍越えなど(PERは、過小利益によりPERが跳ね上がってしまうことがあります)、株価が企業実態よりも非常に高く評価されていては、買うことはできません。

   やはり最終的には、どのような企業であったとしても株価によりけりということです。この点では、FJネクストのPBRは0.58倍、PERは5.5倍であり、過剰評価はされていないと考えらます。

   また、1株の純資産をさらに低く見積もってみると、流動資産から負債合計を引いたネットが46.8億円であり、これを発行済み株式数3464万株で割ると1株当たりは1350円になります。10月2日終値が899円であることを考慮すると、現時点では割安であると、ざっと判断できます。

コロナ禍の影響はわからないが......

   投資家は将来起こることを予想して、利益を得るものだと言われることがあります。しかし、私は将来を予想し的中させる並外れた頭脳と強運を持ち合わせていません。また、投資家とは将来を予想するものではなく現在を見るべきだと考えています。

   将来を予想して利益を得ることは投資家のやる事ではなく、投機家(ギャンブラー)のやることです。(その意味ではFXなどの短期売買は完全に投機であり、利益を挙げている人を尊敬してしまいます)。

   将来、新型コロナウイルスの感染拡大によって経済がどのような影響を受けるのか、私にはまったくわかりません。都心回避の動きが広がり都心住宅の価値が減少するかもしれませんし、リスクオフムードによりREIT(不動産投資信託)や株式から資金が流出するかもしれません。

   逆にリスクオフ先として金(ゴールド)と同様に不動産に焦点があたるかもしれません。将来のことはわかりませんが、現在の株価と企業価値を比べたとき、FJネクストは魅力的であるため、株式500株、10月2日終値の899円で取得したいと思います。

FJネクスト(8935)
年初来高値(2020年1月29日)     1255円
年初来安値(2020年3月17日)     719円
株式取得時の株価(2020年10月2日)  889円
取得株数                 500株

【株式取引ルール】
月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。
投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。
1年間のトータルで損益を競います。
プロフィール
早稲田大学 AM
基幹理工学部3年。資本主義では資本家が頂点にいることを察し、またインフレリスクを回避するため、消極的に株式投資をはじめる。趣味は読書、料理とバイト代で株を買うこと。資本主義における株式の力を強く信じており、その力に魅了されている。
好きな言葉は「Be Fearful When Others Are Greedy and Be Greedy When Others Are Fearful.」。東京都出身。