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11月の騰落率はなんと15%アップ! 米ブラックフライデーは日本株に恩恵があったのか?【投資の着眼点】

   2020年11月の株式市場は、記録的な上昇をみせた。具体的には、2020年11月2日に2万3110円で取引を終えた日経平均株価は、11月30日の大引けで2万6433円に達した。わずか1か月間でおよそ15%の上昇となり、1990年代のバブル崩壊後の相場以来となる高値水準を記録した。

   この11月は株式市場に大きな影響を与えるような、実社会の出来事が多数あった。それらを振り返ってみたい。

  • 日経平均株価、11月の騰落率は15%上昇!
    日経平均株価、11月の騰落率は15%上昇!
  • 日経平均株価、11月の騰落率は15%上昇!

爆上げはバイデン氏勝利の米大統領選から始まった!

   11月初旬の3日には、4年に一度のアメリカ大統領選挙が実施された。現職である共和党候補のドナルド・トランプ大統領と、民主党候補のジョー・バイデン氏が競い、主要メディアの多くが事前予想で民主党の勝利を報じていた。

   当初は共和党の優勢で進んでいたものの、郵便投票の開票が進むにつれ逆転。複数の主要メディアが民主党の勝利を報道すると、日本の菅義偉首相を含めた複数の国の首脳がバイデン氏に祝電を送った。

(Yahoo!Finance (US) の時系列データをもとに筆者作成)
(Yahoo!Finance (US) の時系列データをもとに筆者作成)

   これに対して、現職のトランプ大統領は郵便投票が不正の温床になっていると主張。選挙管理人による多数の宣誓供述などを証拠として、最高裁を含む各地での訴訟を次々と展開している。

   株式市場で興味深かったのは、「トランプ相場」などで株価の底上げに貢献してきたとされる現職のトランプ米大統領の再選が困難とする報道がなされたにも関わらず、株価は上昇に転じ、その結果として今年11月は記録的な上げ幅となったことだった。

   また、米大統領選後も株式市場にとって好材料となるニュースが報じられた。米国の製薬メーカーであるファイザー社が、新型コロナウイルスに対して90%以上の予防効果を持つとする新型ワクチン候補の中間解析結果を発表した。

   なお、執筆時点でファイザー社は米食品医薬品局(FDA)に対し、緊急使用許可を申請している。もし許可されれば、「数時間以内に」供給開始が可能になるという。供給が開始されると、まずは医師や看護師が接種の優先対象となる。

11月は株価が上がりやすい?

   11月30日には、米バイオ製薬のモデルナが開発中の新型コロナウイルスワクチンを、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請。早ければ年内にも実用化される可能性が出てきた。

   一方、欧州では12月2日、イギリス政府がファイザー社とドイツの企業ビオンテック社が開発したワクチンを承認し、来週前半から接種を始めるとの報道があった。BBCなど複数のメディアは、ワクチンがファイザーの製造拠点があるベルギーから3日に到着したと伝えていた。

   新型ワクチンの実用化に関しては、一部の専門家が慎重な姿勢を見せているものの、現時点で株式市場はワクチンへの開発期待を好感しているもよう。複数の大学や医薬品メーカーが、続々とワクチン開発に注力している。

   ところで、2020年に関しては株式市場にとっての好材料が複数みられたものの、統計的に11月は株価が上昇しやすい、という話もある。

   こうした経験則は米国市場の値動きに関して言われていることで、その背景には「ブラックフライデー」と呼ばれる、11月の第4木曜に行われる小売店の大規模セールが影響しているとされている。

   今回は、その法則性が日本市場にも当てはまるか、検証してみた。

   検証にあたって、開始年は1991年11月からの30年間とした。これは、1991年11月の取引開始日の日経平均株価が25000円台と、現在と大きく変わらない水準にあったためだ。すると、以下のような結果となった。

   年度によるバラつきがやや大きいものの、30年間のうちで上昇した年は21年間もあり、平均騰落率はプラス1.7%となった。

   もちろん、2020年のプラス15%と比べてしまうと、1.7%という数字は物足りなく感じてしまうかもしれない。しかし、30年前の日経平均株価が現在とほとんど変わらない水準にあったことを踏まえると、明確に上昇しやすいと言えるのではないだろうか。

   もっとも、直近の日経平均株価の急激な上昇に関していえば、一部の専門家はバブル的な値動きだとして注意喚起をしている。だが、できることなら堅調な株価推移が今後も続いてほしいものだ。(ブラックスワン)