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「宝くじに2回当たる」「2万人に1人の良縁の持ち主」... 占いサイトに数百万円も騙される人が多すぎる!

「私を信じれば宝くじに2回当たりますよ」
「あなたが7億円当選する姿が見えます」
「あなたは2万人に1人の良縁の持ち主です」

   ......てなこと言われてその気になって、タダだと思った占いサイトに数百万円を騙し取られる人が急増している。

   被害者の大半が女性だ。しかも、分別盛りの40~50代が多いという。国民生活センターが2020年11月26日、警告を発した。

  • 自称「占い師」の言葉をうのみにしてはダメ(写真はイメージ)
    自称「占い師」の言葉をうのみにしてはダメ(写真はイメージ)
  • 自称「占い師」の言葉をうのみにしてはダメ(写真はイメージ)

「選ばれし者のみを鑑定し、必ず宝くじの高額当選に導く」

   国民生活センターによると、全国の消費生活センターには、占いサイトやアプリにカネを騙し取られたなどとする相談が年間1000件以上寄せられており、2019 年度は1837件と増加。今年度は10月までに1000件を突破して、昨年を上回るペースで急増している。特に女性からの相談が多く、被害者の7割が女性で、特に40~50代に多い=図表1参照

(図表1)契約当事者の年代・性別(n=7106 性別の不明、無回答などは除く)国民生活センター調べ
(図表1)契約当事者の年代・性別(n=7106 性別の不明、無回答などは除く)国民生活センター調べ

   利用者が無料のつもりで占いサイトに登録すると、占い師や鑑定士を名乗る者からメールや電話で「あなたは素晴らしい金運を持っている」「良縁に恵まれる」などと言われ、何度も占いや運勢鑑定と称したやりとりを続ける。

   やりとりを続けるにはクーポンの購入などが必要で、結局、金運や恋愛運の向上結果が得られないまま高額のお金を支払ってしまうケースが大半だ。

   被害金額の平均は122万4000円で、その中には500万円以上もむしり取られた気の毒な人もいる(全体の6.2%)=図表2参照

(図表2)占いサイトの被害金額(n=2500 無回答などは除く)国民生活センター調べ
(図表2)占いサイトの被害金額(n=2500 無回答などは除く)国民生活センター調べ

   いったい、どうすれば自称占い師にだまされるのか。こんな事例が多い。

【事例1】一攫千金の鑑定士から「必ず宝くじの高額当選に導く」と言われたが、いつまで経っても結果が出ない
携帯電話で占いサイトの体験ページを見つけ、名前や生年月日等を登録した。金運専門の鑑定士Aから鑑定チケットを1000円で発行するとのメッセージがあり、クレジットカードで支払った。Aから職業や所得を聞かれて答えると、「一攫千金の鑑定士Bが1週間日本にいるので紹介したい」「Bは選ばれし者のみを鑑定し、必ず宝くじの高額当選に導く」と言われた。やりとりについて口外しないこと、最後まで鑑定を受けること、Bを信じることを約束させられ、Bの鑑定の実績の証拠として、宝くじの当選者の通帳の写真が届いた。
2日間の無料期間終了後はメッセージ1通あたり 1500 円分のポイントが必要となったが、宝くじの当選番号を導き出すために特定の言葉を1文字ずつ送信するよう指示され、2週間以上やりとりし、ポイント料金や鑑定料として計55万円を支払った。いつ結果が出るのかBに聞いても明確な回答がなく、「波動が乱れているから調整が必要だ」などと言われ、騙されていると思った。(2020 年6月、50歳代女性)

【事例2】無料鑑定で3つの「徳」を授けると言われたが、無料期間を過ぎても最後の1つを授かることができず、高額なお金を支払ってしまった
スマホで「無料鑑定」との広告を見て、占いサイトに登録した。鑑定士から「無料で鑑定する」とメッセージがあり、私を守ってくれる3つの「徳」である、「健康の徳」「人間関係の徳」「金運の徳」を授けるとのことだった。最初の2つの「徳」は早めに授かったが、「金運の徳」をなかなか授かることができず、無料鑑定期間を過ぎてもやりとりを続けた。毎日のようにコンビニでプリペイド型電子マネーのギフトカードを買って、ポイントを購入した。
お金の支払いが難しくなり、途中でやめようとすると、「今やめるとこれまでのやりとりのすべてが無駄になる、もう少しだ」と引き止められた。また鑑定士は病気で余命わずかとのことで、その師匠も登場し、複数の鑑定士とやりとりをするようになった。4か月で300万円を支払い、「騙されているのではないか」と家族に言われて目が覚めた。(2020 年2月、50歳代女性)

「私はあなたの守護霊から担当占い師に任命されました」

「金運がある」と言われても信じちゃダメ(写真はイメージ)
「金運がある」と言われても信じちゃダメ(写真はイメージ)

【事例3】無料と思って占いアプリをインストールしたが、無料で利用できるのは最初の3日間だけだった
スマホに占いアプリの広告が表示され、無料と思いインストールした。しかし、無料で利用できるのは最初の3日間だけで、途中から有料になった。だが、占い師から「お金に困っていた人が宝くじに2回当選し、借金を返せた」と言われたので、信じてやりとりを続けた。支払いはプリペイド型電子マネーを3、4回購入し、合計3万2000 円を支払った。しかし、途中でおかしいと思い、インターネット上の書き込みを見ると、悪質なアプリとわかり退会した。退会すると、今までのやりとりの記録がすべて消えた。(2020 年8月、50歳代男性)

【事例4】電話の占いで無料時間分だけ利用するつもりが、途中で電話を切ることができず高額な料金を請求された
スマホで 10 分間無料という電話占いサイトに名前と生年月日を入力して会員登録した。電話で占い師に占ってもらうと、途中で「あと1分で 10 分間が終了します」と音声アナウンスが流れた。しかし、占い師が構わず話し続けたので、自分から電話を切ることができずに結局30分以上通話した。その後1万円以上の請求があった。私は無料時間分だけ利用するつもりだったので、高額な料金を請求されて驚いた。(2020 年6月、10歳代女性)

   このように、無料で利用するつもりが、あの手この手で巧みに有料のやりとりに誘導していくのがお決まりの手口だ。

   占い師や鑑定士を名乗る者から「絶対に幸せになれる」「もう少しで宝くじの高額当選に導くことができる」などと焦(じ)らされて相手の術中にはまるわけだ。その際、自称占い師が、自分だけに向けられた言葉と思わせるメッセージを決めゼリフに使う。たとえば、こんな言葉の数々だ。

「あなたが高額当選している姿が見えます」
「あなたは7億円が当たることになっているのです」
「私はあなたの守護霊から担当占い師に任命されました」
「貴方の生年月日は特殊で、すごい守護霊がついています」
「あなたには特別な運勢があります。私が今まで占った中で1番の強運の持ち主です」

.........。

「祈りの言葉を唱えて、漢字を一文字ずつ送信しなさい」

   ほかにも、「占い」や「鑑定」と称したやりとりの中で、こんなもっともらしい数字や記号、特定の言葉や行動の指示を送ってくる。これは、いかにも「占い」らしく見せる一方、延々と送信し続けることで、やりとりの期間が長くなり、支払いが高額になっていく狙いもあるのだ。こんな指示の数々だ。

「祈りの言葉を唱えて、唱え終えた合図として漢字を一文字ずつ送信しなさい」
「宝くじで当選したい金額をイメージしながらメッセージを送信しなさい」
「深呼吸して紙に字を書いてからメッセージを送信しなさい」
「スマホを5秒間胸に当ててからメッセージを送信しなさい」
「好きな都道府県をひらがなにして送信しなさい」
「『今日はいい日ですね』や『今日は桜がきれい』という言葉を送信しなさい」

.........。

   また、メッセージで届くいくつかの画像から1枚を選択すると、占い師が心の状態を占ってスコアで表し、スコアが 100 点に達したら「宝くじの当選番号」を教えてもらえるという手の込んだ手口もある。スコアが 100 点に達するまで、何回もやりとりを続けなくてはならないわけだ。

    国民生活センターでは、こんな悪質な占いサイトに騙されないよう、こうアドバイスしている。

「無料の占いだからといって気軽に氏名や生年月日、メールアドレスなどの個人情報を入力しないこと。もし、入力してしまい、占い師や鑑定士を名乗る者からメッセージで金運や恋愛運について良い言葉が書かれていても、安易に返信しないように。相手は、やりとりを引き延ばして高額の支払いを請求するのが手口です。相手の言葉をうのみにせず、やりとりをきっぱりやめましょう。またやりとりの内容は、トラブルになった場合に、支払った料金の返金を求めるための証拠となります。占いサイトなどを退会すると、やりとりが消去される場合があるため、スクリーンショットなどをして保存しておきましょう」

(福田和郎)