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コロナ禍で大幅減益ながらも製造業は底入れ好転、厳しい非製造業 会社四季報が予測

   3月期決算の上場企業の2021年3月期第2四半期(7~9月期)決算が出そろった。新型コロナウイルスの感染拡大が業績に与える影響が見えてきたことから、多くの企業が業績見通しの修正発表が相次いだ。

   東洋経済新報社が全上場会社を独自に集計し、今期と来期の業績予想の見直しを、2020年12月15日に発表した。

  • 2021年はどうなるのか?
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上場企業の業績見通しは改善

   「会社四季報」最新号(2021年1集 新春号、12月16日発売)によると、今期(20年10月期~21年9月期、対象3419社)の予想営業利益は、製造業が前期比14.7%減、非製造業は同15.3%減と、ともに減益となった。全産業では、14.5%減と前期の24.0%減に続いて大幅減益が予想されている。

   銀行業、保険業を除く 31 業種の中で、今期予想が営業増益となるのは情報・通信業、医薬品、証券業、その他製品の4業種のみ。石油・石炭製品は黒字転換。残る 26 業種のうち 22 業種は減益予想で、4業種が赤字。陸運業、海運業、空運業が赤字転落となり、 鉄鋼は連続赤字の見通しだ。

   ただ、今年9月に発刊した「会社四季報」秋号と比べると、上場企業の業績見通しは改善した。海外需要の回復を受けて、赤字見通しだった輸送用機器が黒字転換。その代表格であるトヨタ自動車は、業績見通しを大幅に上方修正。上期の落ち込みが響くものの、後半の追い上げにより販売台数は前期比10%減にとどまる見通しを示した。

   また、電気機器も減益幅を縮めるなど、製造業では、ほぼすべての業種で見通しが好転した。製造業の今期予想営業利益の減益率は、秋号時点に比べて12.1%ポイントも縮小した。

業績の回復は「まだら模様」か?

   一方、非製造業は、移動自粛や在宅勤務の浸透で鉄道会社の見通しが一段と悪化したことから、陸運業が赤字転落、空運業も赤字幅が拡大した。空運で国内線、国際線ともに首位のANAホールディングスは、第2四半期決算を発表した10月27日に、今期はじめて通期の業績見通しを発表。人件費の圧縮などに努めるものの、後半の回復も鈍く通期で巨額赤字に沈む見通しだ。ただ情報・通信業のソフトバンクグループが世界的な株高により投資先の評価益が大きく膨らむこともあり、非製造業全体の今期予想営業利益の減益率は、秋号時点に比べて5.1%ポイント縮小している。

   市場別に見ると、大幅減益に沈む1部、2部、JASDAQを尻目に、ネット関連企業が多い東証マザーズ市場の利益は倍増となる予想だ。ソーシャルディスタンスなどの新常態とネットの親和性が高いこともあり、業績を伸ばす会社が目立つという。規模の大きいメルカリの赤字縮小も利益を押し上げた。

   会社四季報では、来期(2021年度)は大規模感染が起きない前提で予想を立てている。来期の営業利益は、全産業で32.0%増益と大幅回復の予想だ。ただ、今期と同様、回復局面でも業種間や同一業種内で格差が生じる「まだら回復」となる可能性は高そうだ、としている。