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大手企業の冬ボーナス、8年ぶりの減少 中小企業はもっと深刻「減額の嵐」

   大手企業の冬のボーナス(賞与、一時金)が、紙・パルプ、電機、情報通信の3業種を除く、ほぼすべての業種で大幅に減少したことがわかった。

   日本経済団体連合会の調査によると、大手企業の今冬のボーナスの平均妥結額は、前年から9.02%減の86万5621円となり、東日本大震災の翌年の2012年以来8年ぶりにマイナスとなった。164社が回答した最終集計を、2020年12月22日に発表した。

   新型コロナウイルスの感染拡大による業績悪化の影響を大きく受けた。

  • コロナ禍で冬のボーナスは減った……
    コロナ禍で冬のボーナスは減った……
  • コロナ禍で冬のボーナスは減った……

百貨店、私鉄、ホテルなどの減少顕著に

   日本経団連は、「夏と比べて、冬のほうが新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けた」と分析している。

   製造業が7.48%減の86万4862円。非製造業は12.94%減の86万8431円で、1997年に「製造・非製造」の区分を開始して以来、最大の下げ幅となった。

   業種別にみると、 最も減少が大きかったのが、コロナ禍の影響を大きくに受けた百貨店などの「商業」で、32.81%減。金額で57万7634円だった。次いで「鉄鋼」の25.01%減(57万736円)、「私鉄」が22.60%減(74万2980円)と続いた。

   前年に比べて増加したのは、「紙・パルプ」(8.72%増)と「情報通信」(2.38%増)、「電機」(0.42%増)の3業種だけだった。

   金額別にみると、「建設」が最も多く144万4042円。次いで「食品」が94万3503円、「自動車」が94万1566円、「電機」が90万379円と続いた。一方、最も少なかったのは「ホテル」で35万1687円。「鉄鋼」(57万736円)や「商業」(57万7634円)、「印刷」(60万968円)も少ない。

   国家公務員も5.0%減の65万3600円。

「もらえるだけ、出せるだけいい...」中小企業の女性社長の悲痛な叫び

   コロナ禍の影響は、中小企業のほうがもっと深刻だ。「もらえるだけ、出せるだけいい......」という経営者は少なくない。

   東京都内で特許調査会社を営む40代の女性社長は、

「大手は、うらやましいですよね。ウチなんか、社員数人の零細企業なので、年をまたいでから、社員に出してあげられるかどうか...」

と、苦しい胸のうちを吐露した。

   人材情報サービスのエン・ジャパンが、冬のボーナスを「支給予定」と答えた従業員299人以下の企業(333社が回答)に、支給予定額の変動を聞いたところ、最も多かったのは「減額予定」と答えた企業で42%。前年に比べて31ポイントも増加した(調査結果は12月19日の発表)。

中小企業の冬のボーナス、「減額」と答えた業種のトップは?(エン・ジャパン調べ)
中小企業の冬のボーナス、「減額」と答えた業種のトップは?(エン・ジャパン調べ)

   「減額予定」と答えた会社を業種別にみると、「広告・出版・マスコミ」が80%でトップ。次いで「商社」の51%、「金融」50%、「サービス」42%、「不動産・建設」の34%と続いた=上表参照

   同社は、「賞与の支給は予定しているものの、支給額は前年よりも下げざるを得ない状況の企業が多いことがうかがえた」と、厳しい状況にあるとみている。