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東京都内3割の中小企業が検討する業態変更や新サービスの「中身」は?

   新型コロナウイルスによる感染拡大で再発出された緊急事態宣言をめぐり、東京都内の中小企業を対象に実施したアンケート調査によると、約3割の企業が新たな業態への変更や新サービスへの進出を検討していることがわかった。東京中小企業同友会が2021年1月12日に発表した。

   経営への影響については、「特に影響がある」(14.5%)と「影響がある」(66.1%)を合わせた、80.6%の企業が「影響がある」と回答。「影響がある」と回答した企業に売り上げへの影響を聞いたところ、「年間売上の1割以上3割未満の減少」が35.1%と最も多く、「3割以上の減少」は20.1%にのぼった。

  • 東京都内の中小企業の約3割が「新しい業態やサービスへの進出を検討」
    東京都内の中小企業の約3割が「新しい業態やサービスへの進出を検討」
  • 東京都内の中小企業の約3割が「新しい業態やサービスへの進出を検討」

事業継続の道探る

   2月7日まで予定されている緊急事態宣言の期間中の対応について、複数の選択による回答を求めたところ、94.1%が「感染拡大防止に努めながら事業活動を維持する」と回答。「休業による雇用調整助成金の活用」は13.4%だった。

   事業の継続・休業以外の対応として、最も多かったのは「テレワーク体制の強化」で48.4%。次いで「新しい業態やサービスへの進出を検討」が28%、「業務の見直し」の26.9%と続いた。

   東京中小企業同友会によると、加盟企業2300社のうち約150社が実店舗を構えて営業している飲食業。15社に1社の割合となるが、これらの企業にとって、新業態・新サービスの選択肢は、オンライン専用の注文サービスなどを新たに立ち上げ、宅配やテイクアウト需要に対応する営業だ。

   「新しい業態やサービスへの進出を検討」している中小企業が念頭に置いているのは、政府が始める中小企業に対する補助事業「中小企業等事業再構築促進事業」だ。1月18日から始まる通常国会で予算案が承認されたあと、詳細が公表される見通し。

   中小企業庁が公表している同事業の活用イメージによると、レストランがオンライン注文による宅配や持ち帰り店に転換を図ることも対象になるという。

   このほか、衣服販売業者が店舗営業を縮小してネット販売事業やサブスクサービス事業に業態を転換するケースや、航空機部品の製造業者がそれまでの事業を圧縮して設備を替え、ロボット関連部品や医療機器部品製造の事業を新規に立上げることなどを想定している。

   また、資金繰りの見通しでは、「3か月から6か月分」の運転資金を確保しているとする回答が24.6%と最多。しかし「1か月未満」が3.3%、「1か月以上2か月未満」が9.3%、「2か月から3か月」が14.8%と、3か月未満の割合は合わせえて27.4%となり、緊急事態宣言が長期化すると厳しい局面に立たされる企業が多くなるとみられる。

   なお、調査は東京中小企業同友会が2021年1月5日から加盟企業約2300社を対象に実施し、186社から回答を得て中間集計を行った。