J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

コロナ禍の「実体経済」とバブル期以来の高値の株価 7割超が「懐疑的・驚き」

   コロナ禍のなか、株価がバブル経済以来の高レベルに上昇していることについて、会社経営者や役員、会社員らビジネスパーソンの7割超が「疑問や驚き」を抱えていることが、投資助言、経営コンサルティングを行っているエフピーネット株式会社(東京都新宿区)の調べでわかった。コロナ禍の実体経済や経済報道に対する意識調査を実施。2021年2月8日に発表した。

   その一方で、経済など報道に疑問や違和感を持っていながらも、半数近くの人が、検証などの作業を行っていないこともわかった。

  • コロナ禍のなか、2021年1月の日経平均株価は19年12月との比較で10~20%上昇した(写真は、東京証券取引所)
    コロナ禍のなか、2021年1月の日経平均株価は19年12月との比較で10~20%上昇した(写真は、東京証券取引所)
  • コロナ禍のなか、2021年1月の日経平均株価は19年12月との比較で10~20%上昇した(写真は、東京証券取引所)

81%が実体経済「厳しくなっている」

   調査では、「新型コロナウイルスの流行前の2019年12月と現在(調査時の2021年1月)を比べ、実体経済はどのようになっていると感じているか」を質問。「とても厳しくなっている」の32.5%と「厳しくなっている」の48.6%を合わせた、8割超が「厳しさが増している」と感じていた。「変わらない」は18%、「上向いている」と回答した人は0.9%だった=下の円グラフ参照

   調査したのは2021年1月末。新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年12月との比較で日経平均株価は10~20%上昇していた。調査では「調べずに直感で」と条件をつけ、日経平均株価が約1年前と比べてどうなっていると思うか聞いたところ、「10%~19%上がっている」と答えた人が20.7%、「10%~19%下がっている」が14.4%、「30%以上下がっている」は9.1%、という結果になった。24.3%が「わからない」と回答した=下の円グラフ参照

   この質問のあとで、2021年1月の日経平均株価が、2019年12月と比べて10~20%上昇している状況を明かし、「どのように思うか」聞いたところ、「懐疑的な印象を持つ」の39.7%と「驚いている」の31.5%を合わせた7割以上の人が、疑いや驚きを表明した。「妥当だと思う」は11.7%、「特に何も思わない」は17.1%だった。

報道の調査・検証、9割超「大切」

   さらには、経済や政治に関する報道に接する態度について質問。「経済や政治に関する報道が正しいかどうか調査・検証をどの程度行っているか」との問いには、「特に何も行っていない」が47.7%で最も多かった。「少し調査・検証している」の40.5%と「ほとんど調査・検証している」の11.8%を合わせ、約半数は調査・検証を実施していた。

   また、「報道されるニュースに対して調査・検証をすることは重要だと思うか」という問いには、「非常に大切だと思う」(48.7%)、「少し大切だと思う」(42.3%)を合わせて9割以上を占めた。「あまり大切だと思わない」(5.4%)、「まったく大切だとは思わない」(3.6%)などと大差がみられた=下の円グラフ参照

   ニュースの調査・検証について「非常に大切」または「少し大切」とした回答者に、自由回答の形式で書き込みを求めたところ、

「新聞・ニュース・テレビなどの情報を、あたかも正しいと思って理解される方が周囲にたくさんいるため」
「影響力のある個人による発言力が大きくなっている」
「世にインフルエンサーなど今まででは発言力のなかった人が力をつけているから」

などの意見が寄せられた。

   「個人としての考えが、世論や報道、社会的風潮に強く影響を受ける世の中になっていると思うか」との質問には、「非常に思う」の28.9%と「少し思う」の39.6%を合わせた、7割近い人がSNSなどを利用した個人の発信が社会にも影響をもたらすと考えている、とみている。

   エフピーネットでは、こうした現代特有の情報事情を前提として「自分が取得した情報が本当に正しいのか否かを疑い、検証することで、誤った情報の再拡散防止に繋がるだけでなく、自分がとるべき正しい行動に繋げられるのではないでしょうか」と指摘している。

   なお調査は、2021年1月29日から3日間、30歳から59歳の会社経営者・役員、会社員を対象にインターネットで実施。111人から有効回答を得た。