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コロナ禍も駆け抜ける ランボルギーニ・ジャパン新代表に日本の今後の展開を聞く

   スーパーカー「ランボルギーニ」ブランドの伊アウトモビリ・ランボルギーニの日本代表(Head of Japan)に新たに就任したダビデ・スフレコラ氏が、世界有数の市場の一つである日本での今後の展開などについて、2021年2月16日、J-CASTニュース 会社ウォッチ編集部に語った。

   スフレコラ氏のランボルギーニ・ジャパンの代表就任は2020年9月1日付だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で着任は年を越すことになった。

  • ランボルギーニの日本代表に就任、THE LOUNGE TOKYOで会見したダビデ・スフレコラ氏
    ランボルギーニの日本代表に就任、THE LOUNGE TOKYOで会見したダビデ・スフレコラ氏
  • ランボルギーニの日本代表に就任、THE LOUNGE TOKYOで会見したダビデ・スフレコラ氏

新拠点の東京・六本木「THE LOUNGE TOKYO」で会見

   ダビデ・スフレコラ氏の就任会見は、ランボルギーニが2020年10月、米ニューヨークに続く世界で2番目の拠点として東京・六本木にオープンした「THE LOUNGE TOKYO(ザ・ラウンジ・トーキョー)」で開かれた。

   ランボルギーニブランドの日本展開を推進する舞台と、その戦略を担当する「主役」がそろっての、初のお披露目にもなった。

   「日本の国民は洗練されているセンスを持ち、ランボルギーニばかりではなく、スーパーカー全般についてよく知っている。職人技や製品の(製作者側の)こだわりを理解している」と、スフレコラ氏はまず、ランボルギーニブランドが日本の「ユニークさ」と相性がいいことを指摘。顧客との交流の場としてTHE LOUNGE TOKYOを設けたことなどを引き合いに、今後もさらに、顧客体験を重視して日本でのオペレーションを進める考えを示した。

   スフレコラ氏は2016年にランボルギーニに入社。シンガポールのアジア太平洋地区オフィスで東南アジアのエリアマネージャーと担当。その範囲は、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、インド、インドネシアに及んだ。また、高度成長で高級自動車市場が活気づいた中国を担当した経験もある。

   入社前から、高級自動車メーカーに勤務し、プロダクト部門を担当。ランボルギーニではセールス部門で経験を重ね、また慶應義塾大学でITビジネスを学んだこともある、「ラグジュアリーカーのスペシャリスト」として日本代表を任された。

   世界中がコロナ禍に見舞われた2020年は、自動車メーカーを含むあらゆる産業が影響を受けた。ランボルギーニの20年の販売台数は、世界で前年比9%減の7430台で、日本では同6%減の600台だった。

   主な他の国や地域での販売台数は、米国2224台、ドイツ607台、中国・香港・マカオ604台、英国517台、イタリア347台。前年の2019年、世界では前年比43%増の8205台、日本では641台と6年連続の成長をマークするなど、同社は過去最高の業績を記録している。20年はコロナ禍の影響が懸念されたが、前年からの落ち込みはわずかな幅にとどまり、コロナ禍の出口が見えないなか、この実績をどう維持するかがカギとなる。

コロナ禍の今は新チャプターへの準備期間

コロナ禍のいまは「『次の章』に備える時」とスフレコラ氏
コロナ禍のいまは「『次の章』に備える時」とスフレコラ氏

   スフレコラ氏は、コロナ禍での日本代表としての舵取りを、こう述べる。

「(コロナ禍の中でも)需要が高いことは幸運。コロナ禍はまだ続いており、挑戦が必要な状況ではない。成長を追求するのは合理的ではなく、優先事項ではない。今後しばらくは、基本に目を向けたい。顧客満足度への取り組みやディーラー網の整備だ。いまは、コロナ禍が収束したあとの新しい『チャプター(章)』での成長のため強化、安定化を図る時期と考えている」

   日本国内のディーラーは現在、東京2か所のほか、仙台、横浜、名古屋、大阪など計9か所にあるが、まもなく札幌に開設し10か所体制になる予定。

   顧客との関係強化では、会見の場を設定した「THE LOUNGE TOKYO」を「カスタマージャーニー」の拠点として、ランボルギーニに親しむ機会をプロデュースしたい意向。「ビジネスは販売だけではなくケアすることも大切。だがコロナ禍では1対1の対面することやグループ試乗も困難。このラウンジを顧客との関係を深める場所に活用したい。小さなグループで(ランボルギーニを体験する)ジャーニ―を始めることもできるし、誕生会などプライベートな楽しみ方もできる」という。

   「THE LOUNGE TOKYO」は、スーパーカーのモデルだけではなく、車両内装のレザーやパーツを展示。大型のスクリーンを備え、パーティースペースがあり、ランボルギーニが演出するライフスタイルを体験できる。

   コロナ禍で世界の自動車メーカーは自動運転化を視野に入れ、電動化を目指す動きを加速させている。スフレコラ氏は、自動車の電動化が大きな流れになっていることについて、「脅威ではない。だがリアリティーが電動化に向かっていることはわかっている」ときっぱり。ランボルギーニの電動化については、こう述べた。

「ランボルギーニにとっては、これから2つのフェーズ(局面)がある。ハイブリッドと電動化だ。いきなり電動化のランボルギーニは作れない。バッテリーはその段階ではない。いまはサーキット2周ごとに充電しなければならないレベル。だからまずはハイブリッド化。いずれにしても各国の規制に対応するよう準備はしている」

   さらに、現在のフラグシップモデル「アヴェンタドール」あとの次世代モデルは「ハイブリッドでなくてはならない」と断言。「ランボルギーニのヘリテージ(伝統、遺産)を備えたモデル。(アヴェンタドールの)V12エンジンの要素をとどめたものになろう」と話した。