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巣ごもり生活を楽しく コロナ禍でも100均ショップ絶好調の裏側?

   新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい経済状況が続くなか、「100円均一ショップ(ヒャッキン)」の業績は好調だ。

   感染防止から「巣ごもり」生活が長引いており、日々の生活を少しでも便利に、楽しくできる日用品や雑貨がワンコインで手に入れられることに、多くの消費者が引きつけられているためとみられる。

  • ヒャッキンでお買い物!
    ヒャッキンでお買い物!
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消費者ニーズを絶妙に満足させている

   ダイソーを運営する最大手の大創産業は、非上場で詳細は不明だが、上場大手は好調が目立つ。セリアは1月末、2021年3月期の単独決算見通しを大幅に上方修正すると発表した。本業のもうけを示す営業利益は前期比16.4%増の205億円と過去最高を更新する見通しだという。従来予想(190億5000万円)を14億5000万円も上回る見込みだ。

   キャンドゥが1月半ばに発表した2020年11月期連結決算も、営業利益は前期比30.6%増の15億5800万円(前期は11億9300万円)と大幅に増加。21年11月期の営業利益は同8.6%増の16億9200万円と増益を見込んでいる。

   どのヒャッキンも、マスクをはじめ感染予防用の衛生商品の売り上げが伸びたほか、キッチン用品や清掃道具、インテリア用の小物、DIY(日曜大工)関連なども売れたという。

   コロナ禍で外出自粛が強いられるなか、「家の中で豊かに過ごしたい」というニーズがこれまでになく高まっている。その一方で「節約志向は強くなりつつある」(流通関係者)と言われており、100円で幅広い商品を提供しているヒャッキンは、消費者のニーズを絶妙な形で満足させているといえそうだ。

ヒャッキン「そろそろ飽和状態」か!?

   また、コロナ禍でインターネット通販の利用も急増しているが、「ネット通販の場合は送料が必要な場合も多く、商品が割高になる場合もある。ヒャッキンの利用者はコスパ重視が多く、ネット通販とも競合は限定的」(流通関係者)とも見られており、他の小売りにはない強みが発揮されているといえる。

   コロナ禍の収束がいまだ見えないが、今後も堅調に推移していく可能性は高い。

   とはいえ、不安要因がないわけでもない。ここ数年、ヒャッキン各社の出店攻勢は強まっており、大手5社の店舗数は現在、合計で約7600店と、この10年で約4割も増えた。主要駅周辺には複数のヒャッキンが店を構えるケースも多く、「そろそろ飽和状態では」との声もくすぶりつつある。

   また、「キュートな雑貨にひかれる」と若い女性などから、人気の「スリーコインズ」をはじめ「300円ショップ」も勢いを増している。ヒャッキンとはひと味違った「プチぜいたく」感が特色だ。ヒャッキン大手の中にも商品の選択肢を増やそうと、100円にこだわらない価格設定が広がり始めており、消費者を飽きさせない商品戦略が成長のカギを握っているといえそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)