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コロナ禍の現金給付「低所得のふたり親世帯」に怒りの声!「なぜ独身者はダメなのか?」(1)

   変異ウイルスの拡大でコロナ禍の終息が見えないなか、「全国民一律の現金給付」の再支給を求める声が根強くある。

   しかし、政府には応じる姿勢はまったくない。その代わりというわけではないが、まだ確定していないものの、困窮している「ふたり親世帯」に給付金を支給する動きがあるという。

   いったい、なぜ子育て世帯だけなのか。独身者は困っていても「蚊帳の外」なのか......。ネットでは不満の声が起こっている。

  • 今回はふたり親世帯も対象に
    今回はふたり親世帯も対象に
  • 今回はふたり親世帯も対象に

1世帯5万円で、第2子以降は1人あたり3万円

   新型コロナウイルスに苦しむ国民の間では、依然として「国民1人あたり一律現金10万円の特別定額給付金」の再支給を求める声が強い。しかし、麻生太郎財務相は今年(2021年)1月22日の閣議後の記者会見で、一律10万円の給付金再支給について、はっきりこう否定した。

「あれは税金ではなく政府の借金でやっている。さらに(将来世代に)借金を増やすということか。考えにくい」

と述べ、一蹴したのだった。

   そんななか、生活に困窮する「ふたり親世帯」に新たな給付金を支給する動きがあると報じたのはフジテレビだった。3月11日付の「【独自】給付金を調整へ ふたり親世帯にも」である。「独自」とは「特ダネ」という意味である。こう伝えている。

「政府が新たな給付金を出す方向で、調整に入ったことがわかった。政府はこれまで、所得の低いひとり親世帯に限り、臨時特別給付金を2回出したが、ふたり親世帯には出していなかった。政府は、(ひとり親世帯に)3回目の給付金を出す方向で検討しており、その際、所得の低い、ふたり親世帯にも、同じ金額を給付する方向。給付金は1世帯5万円で、第2子以降は1人あたり3万円ずつ加算される方向。新年度を控えて、『文房具が買えない世帯も多い』として、給付を求める声が上がっていた」

   給付金の額は、ひとり親世帯もふたり親世帯も1世帯5万円で、第2子以降は1人につき3万円ずつ加算される。ちなみに、ひとり親世帯の場合、支給されるためには次の3つのうち1つに該当することが必要だ。

(1)児童扶養手当の支給を受けている人。
(2)公的年金給付等を受けているため、児童扶養手当の支給を受けていない人。
(3)新型コロナ感染症の影響を受けて家計が急変し、直近の収入が児童扶養手当の対象となる水準にまで下がった人。

   このフジテレビの報道に対して、田村憲久厚生労働大臣は3月12日、記者団に、

「総合的に検討しているところです」

とだけ答えたのだった。

ふたり親世帯、NPOが実態調査したら......

また全国民一律の現金給付を求める人が非常に多い
また全国民一律の現金給付を求める人が非常に多い

   では、「ふたり親世帯の支給」の動きは、どうして生まれたのか――。主に生活困窮世帯を支援するNPO法人などの活動からだった。東京新聞(2021年2月8日付)「ふたり親にも給付金を NPOが政府へ要望発表 コロナで生活打撃」が、こう報じている。

「新型コロナ感染拡大で低所得の子育て家庭の生活が打撃を受けているとして、困窮する子どもらを支援するNPO法人代表らが2月8日、東京都内で記者会見し、住民税非課税などの世帯を対象に第1子は5万円、第2子以降は1人当たり3万円の給付金を3月中に支給するよう政府に求める要望を発表した。政府は昨年、児童扶養手当を受給している低所得のひとり親世帯に『臨時特別給付金』を2回支給したが困窮するふたり親世帯には支給しなかった」

   記者会見をしたNPO法人「キッズドア」(東京都)が昨秋実施したアンケートによると「過去1年間で電気、ガス、水道、家賃などの支払いができなかった」世帯はふたり親で37%に上り、ひとり親の21%よりも多かった。「貯蓄が10万円未満」の世帯もふたり親が51%とひとり親よりも10ポイント高かった。つまり、今まで「蚊帳の外」に置かれていたふたり親世帯のほうが、ひとり親世帯より困窮度が高いというのだ。

   キッズドアの渡辺由美子理事長は、

「ふたり親世帯には今までまったく何の支援もない。大変な子どもたちみんなに(給付金を)出してもらうことが重要です。アンケートでは『削れるのは食費くらい。もやしや豆腐料理が多く、子どもたちにはもっと栄養のあるものを食べさせてあげたい』という声もありました」

と訴えたのだった。

   キッズドアは3月2日、約5万人の署名を集めて要望書を厚生労働省に提出していた。

新たな「コロナ困窮」の「生理の貧困」ってなに?

   一方、ここへきて新たな「コロナ貧困」がクローズアップされている。生活困窮のため、若い女性の5人に1人が生理用品も買えない「生理の貧困」が問題になっているというのだ。NHKニュース(3月4日付)「『生理の貧困』を調査 学生の約2割『生理用品買うのに苦労』」が、こんな実態を伝える。

「コロナ禍でアルバイトができず、経済的に困窮する学生が増えるなか、生理用品が買えなくなるなど日常生活に支障の出ている人がどのくらいいるか、インターネットでアンケート調査すると、買うのに苦労した経験がある学生はおよそ2割に上った。アンケートを行ったのは『#みんなの生理』という大学生が中心のグループで、生理用品への軽減税率の適用や学校での無料配布を求める活動を行っている」

   同グループの調査によると、SNSで呼びかけて671人に聞くと、「買うのに苦労したことがある」と答えた人は20%で、「買えなかったことがある」と答えた人も6%いた。「生理用品を交換する頻度を減らしたことがある」が37%、「トイレットペーパーなどで代用したことがある」も27%にのぼった。

   「#みんなの生理」共同代表の谷口歩実さんはNHKの取材に対し、

「想像以上に深刻な数字が出たというのが正直な感想です。今までは海外で起きていることという雰囲気がありましたが、ほとんど同じ状況が日本でも起きているとわかりました」

と話したのだった。

   NHKの取材に応じた別の女性は、

「バイトも緊急事態宣言でなくなり、まず食べていかないといけない。学校は何としても続けなきゃと考えた時、生理用品にかけているお金はないと思いました」

と語った。

   フジテレビ(3月10日付)「生理用品『買えない』5人に1人 世界中が『解決へ』無料配布も」も「生理の貧困」に悩む若い女性たちを取り上げた。そして、こうした女性たちを救うために大型商業施設の女子トイレで始まった「生理用品の無料提供サービス」を紹介している。

「埼玉県富士見市のららぽーと富士見の女性トイレには、モニターつきの箱のようなものがある。これにスマホをかざすと、生理用ナプキンが出てきた。これは、『OiTr』(オイテル)という新サービス。専用のアプリを使えば、3月23日まで無料で生理用ナプキンをもらうことができる。モニターに広告動画を流すことで、無料提供を可能にしている。現在は実証実験中で、本格的な稼働は、2021年の夏を目指している」

というのだった。

(福田和郎)