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日本「ジェンダーギャップ指数」120位 改善スローでどんどん後退

   日本の2020年の「ジェンダーギャップ指数」は、世界156か国のうち120位と過去2番目に低かった。ただ、前年と比べると、わずかながら改善した。

   また、主要7か国(G7)の中では最も低く、東アジア・太平洋地域の国々の中では最下位だった。

   官民の協力で世界情勢の改善に取り組んでいる国際機関、世界経済フォーラム(WEF、本部=スイス・コロニー)が「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート(世界男女格差指数)」を、2021年3月31日に発表した。

  • 日本の「ジェンダーギャップ指数」は世界120位
    日本の「ジェンダーギャップ指数」は世界120位
  • 日本の「ジェンダーギャップ指数」は世界120位

「政治参加」に遅れ 147位

   調査によると、日本の指数(0が最低、1が最高)は0.656。15年前(2006年)の調査からは0.011プラス、2019年からは0.003プラスと改善した。

   しかし、首位のアイスランドは0.892で、15年前から0.111プラス、前年から0.016プラスと改善していたり、2位のフィンランドは0.861で、15年前からは0.065プラス、前年からは0.029プラスとなっている状況などと比べると、日本では改善ペースが鈍く先進国グループから遅れをとっている格好だ。

   周辺国をみると、15年前は日本より下位だった韓国は、15年前からは0.071プラス、前年からは0.016プラスとなり、今回は0.687で102位。中国は15年前から0.026プラス、前年からは0.006プラスの0.682で107位だった。

   日本の分野別指数をみると、とくに政治参加の改善が進んでいない。国会議員に占める女性の割合9.9%で140位、閣僚の割合は10%で126位となり、政治参加のランキングは147位だった。

   経済分野での参加機会では117位、教育機会は92位、医療へのアクセスは65位だった。

コロナ禍で男女格差の解消にブレーキ

WEFの「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート」
WEFの「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート」

   WEFのレポートによると、新型コロナウイルスによる感染症の世界的大流行の影響で、各国の男女格差の解消にかかる時間は「99.5年から135.6年へと1世代分増加」したと報告。コロナ禍の影響で女性は、男性よりも高い確率で職を失ったことが背景にある。

   感染拡大を防ぐために世界各国で都市がロックダウンとなり、女性が多く勤務する小売店など消費関連のビジネスが長期にわたり業務を停止したことが一因だ。

   レポートは、コロナ禍のパンデミックがすべての労働者に影響を与えている中で、女性にとっての影響がより深刻であることを具体的に指摘。国際労働機関(ILO)の統計によれば、コロナ禍での失職率は男性(3.9%)より女性(5%)のほうが高かった。また、ビジネス特化型のSNS、リンクトインのデータから、ワクチン開発で回復傾向となった雇用市場だが、女性の採用ペースが複数の業界で低下し、コロナ禍で結果的に格差解消にブレーキがかかっていると述べている。

   こうしたことから、レポートはコロナ禍後について「企業や政府は、復興のための計画に、多様性、公平性、インクルージョン(受容、包摂)を組み込む必要がある」としている。

   なお、ジェンダーギャップ指数は、WEFが2005年から毎年発表。WEFによると、開始以来15年目となった今回の報告では、経済的なハードル、教育機会、医療へのアクセス、政治参加という4つの分野での男女格差縮小への取り組み状況を測定して国を順位付けしている。