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「目指せ、県庁の星!」入庁式「心に響く知事の挨拶」はコレだ! 会社ウォッチ編集部が選んだ

「目指せ、県庁の星!」

   新年度がスタートした2021年4月1日、都道府県庁で新規職員の入庁式が行われた。

   新型コロナウイルスの感染拡大で、住民の命と生活を守るためにこれから最前線に立つ若者たちだ。そんな非常時だからこそ、多くの知事が心の底から新入職員を歓迎し、

「一緒にこの危機を乗り越えて行こう!」

とエールを送った。

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部が、「心に響く挨拶」を選んでみた。

  • 目指せ、県庁の星!(写真はイメージ)
    目指せ、県庁の星!(写真はイメージ)
  • 目指せ、県庁の星!(写真はイメージ)

高知県知事「県庁大改革の旗手になれ!」

高知県の濱田省司知事(公式サイトより)
高知県の濱田省司知事(公式サイトより)

   コロナ禍のなか、都道府県庁の職員は地域の人々の命と生活を守るために、先頭に立って働いている。「全体の奉仕者として、住民のために懸命に頑張ってほしい」とエールを送る知事たちが多かったが、高知県の濱田省司知事(58)は、それ以上のミッションを新人たちに求めた。「県庁の大改革の旗手になれ!」ということだ。

   自分自身も2019年12月に就任以来、コロナ対策の財源が少ないとして、給与の10%を削減した。昨年4月に最初の緊急事態宣言が発令されると、5か月間にわたり、給与(月額109万8000円)を全額返上した。

「県民に外出の自粛や営業時間の短縮、休業を要請して苦しい思いをさせているのに、私も少しでも思いを同じくする必要がある」

というのが理由だった。「共感と前進」が濱田知事のスローガンだった。

   濱田知事は、152人の新人職員たちにこう語りかけた。

「みなさんの中には社会人での採用、UIJターンの採用の方が沢山含まれております。多様な考え方、発想が求められる社会になってまいりました。社会人として経験豊富な方々に入っていただき、民間の発想をしっかり取り入れた県庁として、県民のお役に立ちたい、その意味でみなさんに加わってもらったことを本当にうれしく思います」

   そして、こう呼びかけたのだった。

「公務の職場は、どうしても前例重視、前例踏襲型になってしまいます。自分の仕事がいったい何のためにやっているのか、県民のみなさんにどう役立っているのか、それを絶えず心の中で問いただしながら仕事を進めていただきたい。自分のミッションは何か、使命は何かを常に意識をしていただきたい。自分のミッションのために今の仕事の進め方が最善なのかどうかを問い直していただきたい。もっと良いやり方があるのではないか、もっと効率的なやり方があるのではないかと、常に進歩していく、進化をしていく姿勢で仕事にあたっていただきたいのです」

北海道知事「アフター・コロナに目を向けよ」

北海道の鈴木直道知事(公式サイトより)
北海道の鈴木直道知事(公式サイトより)

   コロナ対策に万全を期してほしいと檄を飛ばす知事が大半の中で、北海道の鈴木直道知事(40)は、「その向こうを見据えてほしい」とアフター・コロナへの挑戦を訴えた。589人の新人職員に、こうエールを送った。

「未曾有の危機の中で、『道民のみなさまのために働きたい』『北海道の未来を創るために頑張っていきたい』という意欲をもって道職員となってくださいましたみなさんを心から歓迎します。本日からともに頑張ってまいりましょう。感染症の危機から道民の命と暮らしを守り抜くということは、これまでも申し上げてきましたが、『ピンチをチャンスに』ということ、そして『ハンディを強みに』『強みを成長エンジンに』ということで、この三つの視点をもって本道の未来を切り拓く取り組みにもチャレンジをしていきたいと考えております」
公務員の仕事、頑張るぞ!!(写真はイメージ)
公務員の仕事、頑張るぞ!!(写真はイメージ)

   そして、未来の北海道を切り拓くために、「北海道のハンディ」と言われたものを成長エンジンに活用していこうと熱く訴えたのだった。

「コロナ禍でさまざまな意識が変わりました。『安全、安心、ゆとり』、こういったものを重視する意識の高まり、感染リスクを避ける行動の広がり、こういったものが見られます。広域分散の地域構造、首都圏からの距離の遠さ、寒冷な気候......。これまで北海道のハンディと言われてきた特性を、新たな強みに変えて、地域の活力につなげていきたい。本道が持続的に発展をしていくためには、コロナ以前の姿に戻っていく、回帰をしていく、そういったことではなくて、自然や食など揺るぎない価値を、さらに磨き上げて、これを成長のエンジンとしていく、このことが必要です。大変な時だからこそ、みなさんが取り組むすべての仕事が、感染症に強い北海道をつくることにつながるのです。現下の危機を乗り越えて、活力あふれる北海道の実現のために全力を尽くしていこうではありませんか!」

三重県知事「3つのF、Fast、Fair、Funで仕事を」

香川県の浜田恵造知事(公式サイトより)
香川県の浜田恵造知事(公式サイトより)

   大好きな座右の銘を贈る知事も何人かいた。香川県の浜田恵造知事(69)は「着々寸進、洋々万里」(ちゃくちゃくすんしん・ようようばんり)という言葉を140人の新人職員に披露した。

「私の好きな言葉は、尊敬する郷里の大先輩、大平正芳先生(第68代、1978年12月~1980年6月まで総理大臣)が好んで揮毫(きごう)された『着々寸進、 洋々万里』という言葉です。『一歩一歩少しずつでも着実に歩を進める。一挙の改革ではなく小さな改善を継続していく。そうすると広々とした万里を超えて、大洋に届く』というような意味だと理解しています。みなさんにはぜひ、こういう気持ちで、立ちはだかる困難な課題から目を背けたり、先送りしたりすることなく、新型コロナウイルスや防災など山積する課題に取り組んでいってほしいと思います」

   浜田知事は、1975(昭和50)年に旧大蔵省(現・財務省)に入省した。その時の大蔵大臣が「讃岐の鈍牛」と言われた大平正芳だ。「着々寸進、 洋々万里」はいかにも無理をしないで、すこしずつ前に進む「鈍牛」こと大平正芳の政治手法に合った言葉で、浜田知事は大平正芳の高校の後輩でもあった。この言葉は、浜田知事の後援会報のタイトルにもなっている。

三重県の鈴木英敬知事(公式サイトより)
三重県の鈴木英敬知事(公式サイトより)

   同じように自分が大好きな言葉で189人の新人職員を祝福したのが、三重県の鈴木英敬知事(46)だ。新人職員の大半は、1998(平成10)年生まれだ。鈴木知事が旧通商産業省(現・経済産業省)に入省し、社会人のスタートを切った年だった。それだけに深い感慨を覚えたようだ。こう呼びかけた。

「若さは強力な武器です。初めての環境でも萎縮することなく、県政のために生かしてほしい。元気いっぱいにひるむことなく、自らの良さや長所を存分に発揮してほしい。組織や仕事の進め方について、新鮮な感覚で感じた違和感は、それを放置することなく、自らの手で改革に向けて行動を起こすことを期待しています。アリストテレスは『改革は小事にあらざるも、小事より発生する』(改革は小さいことではないが、改革というのは小さいことから生まれる)と言っています。新規採用職員であっても、みなさんが行う一つひとつのことから改革が生まれていきます」

   そして、具体的な仕事の進め方についてはこうアドバイスした。

「コロナ対策の成功で世界的に著名な台湾のデジタル担当大臣オードリー・タンさんが、コロナ対策のキーワードとして3つの『F』を述べられています。3つのFとは、Fast(迅速に)、 Fair(公平に)、Fun(楽しく)です。県民のみなさんに迅速に(Fast)、かつ公平 に(Fair)行政サービスを提供しつつ、コロナ禍の先に少しでも楽しい気持ち (Fun)になっていただけるよう事業を展開する。そして、みなさん自身も楽しく仕事をする。そのようなことを意識しながら職務にあたっていただくことを望みます。県民のみなさんのため(for the people)は当然ですが、県民のみなさんとともに(with the people)を意識して、仕事を進めてください」

   そして、最後はこう結んだのだった。

「じつは私は、まだ北海道、千葉、大阪についで全国で4番目に若い知事ですが、若いあなた方に負けないように、引き続き全力で職務にあたっていきます」

(福田和郎)