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キユーピー株が2年ぶり高値 巣ごもりで家庭向け好調

   食品メーカー大手のキユーピーの株価が2021年4月6日に一時、終値で前日比202円(8.0%)高の2725円まで上昇し、18年12月以来、約2年4か月ぶりの高値をつけた。

   前日の取引終了後に発表した2021年11月期第1四半期(20年12月~21年2月期)連結決算で、営業利益が前年同期比23.9%増と、コロナ禍による巣ごもり需要を取り込み好調だったことから、「買い」が優勢となった。7日以降は利益確定売りに押されつつも大崩れはしておらず、市場の期待を集めている。

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販管費抑えて営業利益を押し上げ

   キューピーの2020年12月~21年2月期(第1四半期)決算の内容を確認しておこう。

   売上高は前年同期比29.3%減の940億円。2ケタ減収ではあるが、連結子会社だった物流事業「キユーソー流通システム」の株式を一部売却して持分法適用会社に移行したことによる減収(351億円減)が全体の減収額(390億円)の大半を占めた。加えて外食産業の不振で、業務用商品の売上高が前年同期比50億円減となったことが響いた。

   営業利益の増加には家庭用商品の伸張が寄与した。セグメント別の利益でみると「市販用(家庭向け)」は前年同期の21億円から2倍近く増えて41億円。ただ、セグメント別売上高でみると、市販用は伸びてはいるが4.5%増であり、販管費を抑制したことが営業利益を押し上げた。

   中国や東南アジアといった海外で調味料の販売が伸びたことも貢献した。一方、純利益は76.8%増の45億円。本業の堅調さに加えて、生産再編に伴う資産売却による特別利益の計上が増益幅を広げた。

主力のマヨネーズ、ドレッシングの売り上げがポイント

   今回の第1四半期決算の発表を受けて、野村証券とゴールドマン・サックス証券が目標株価を引き上げた。

   野村証券が2600円から2720円に引き上げたリポートでは、「緊急事態宣言の再発動により市販用商品の販売が予想以上に好調。コロナ禍で一般経費も抑制された」と指摘し、「好スタートを切った」と評価。ただ、「足元で鶏卵価格が上昇しているほか、食用油の調達価格も今後上昇する見込み」とし、「本格的な株価上昇には主力カテゴリーのマヨネーズやドレッシングなどの売り上げを持続的に伸ばせるかが重要だろう」と記した。

   ともあれ、国内でコロナ禍が消えてなくなる見通しは立っていないだけに、巣ごもり特需の恩恵を受ける銘柄として当面、投資家の関心を引き寄せそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)