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「週刊東洋経済」は「不動産投資 天国と地獄」を特集 「週刊ダイヤモンド」はコロナ禍の中高一貫校(2)【ビジネス誌 読み比べ】

   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスマンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

   「週刊東洋経済」(2021年4月24日号)の特集は、「不動産投資 天国と地獄」。コロナ禍でも、家計の「カネ余り」を背景に、マンションやアパートなどへの投資熱は冷める気配がないという。特集は優勝劣敗の分岐点に迫っている。

  • 週刊ダイヤモンドは「最強の中高一貫校」を特集した
    週刊ダイヤモンドは「最強の中高一貫校」を特集した
  • 週刊ダイヤモンドは「最強の中高一貫校」を特集した

中高一貫校の受験にもコロナ禍の影響

「週刊ダイヤモンド」(2021年4月24日号)
「週刊ダイヤモンド」(2021年4月24日号)

   「週刊ダイヤモンド」(2021年4月24日号)の第1特集は、「最強の中高一貫校」。小中学生の親にとって関心あるテーマを取り上げている。コロナ禍での変動を、エリア別、公立中高一貫校、大学付属校などカテゴリー別にレポートしている。

   都立中高一貫校では、高校の募集停止により「完全中高一貫化」するため、都立校の人気が再燃しそうだという。「早慶明」の付属校も志願者の減少が目立った。「コロナ禍に対する早慶など難関私立大の対応が成功しているとはいえない状況に、親の不安感が募っている」(日能研の井上修イベント企画推進本部ディレクター)そうだ。

   その結果、生徒の大半が内部進学する難関私立大付属校ではなく、外部進学がしやすい学校に人気が出てきたという。

   東大、京大などの難関国立大学や早慶など難関私立大の高校別合格者数の速報は、今年も大学通信と「週刊朝日」「サンデー毎日」が共同で行った。その中学校版とでも言うべき、「2021年4月20日 塾別の主要中学合格者数実績」が「ダイヤモンド編集部作成」で載っている。

   開成、麻布、筑波大学附属駒場、さらに関西の灘、甲陽学院、西大和学園などが対象だ。首都圏ではSAPIXがほとんど首位を独占。関西では浜学園が強い。

   さらに、「ビジネス誌」らしい受験特集だと思ったのは、「入りやすくて難関国立・早慶上理・MARCH・関関同立に合格できるのはここだ!」と銘打った「全国中高一貫校249校レバレッジ度ランキング」である。

   偏差値では入りやすいのに、大学受験に強い、レバレッジが利く、「掘り出し物」の学校はどこか? 偏差値55未満の首都圏の学校では東星学園(東京)、暁星国際(千葉)、富士見丘(東京)などが上位に並ぶ。難関校では世田谷学園、攻玉社、学習院、巣鴨(いずれも東京)が上位に。レバレッジが利くというのは、学力伸長度が高いということだ。同誌の受験特集もすっかり板についてきたようだ。

   パート3では、小学校の「お受験」や幼児教育も取り上げている。教育熱心が"虐待"にならないために、教育ジャーナリストのおおたとしまささんは、どんな学校でもやっていける子に育てることが大事、と釘をさしている。

アップルが自動車産業に参入?

   第2特集は「アップル 車の破壊者」だ。アップルが今、自動車産業参入に向けてカウントダウン状態にあるという。台湾の「財訊」誌のレポートを翻訳して紹介している。

   それによると、無人走行の試験車両数(2019年)では米GM傘下のクルーズが227台で突出しているが、グーグル傘下のウェイモが2位で147台、アップルが3位の70台。トヨタ自動車の6台、BMWの5台をはるかに上回る。

   こうしたデータなどから、「財訊」誌は、アップルカーは2024年に登場すると予測している。

   それも単なる電気自動車(EV)ではなく、タッチパネルのインターフェースを内蔵した車内装、ウインドーの機能大幅向上、ライトが主体的に動くなど、アップルが申請した自動車関連の特許100件以上を分析し、その異次元ぶりを紹介している。

   アップル自身は自動車市場への参入をまだ表明していない。しかし、開発にかかわった台湾人研究者は、アップルのiphoneが携帯電話産業そのものを一新してしまったような地殻変動を、自動車でも起こすことになりそうだ、と話している。

「週刊エコノミスト」脱炭素の革命は日本から始まる

「週刊エコノミスト」(2021年4月27日号)
「週刊エコノミスト」(2021年4月27日号)

   「週刊エコノミスト」(2021年4月27日号)は、「未来産業の本命 新エネ、DX、デジタル通貨」という特集を組んでいる。「第1部 エネルギーとデジタルが生む革新」では、洋上風力の潜在力は原発500基分であるとする、宗敦司氏(エンジニアリング・ビジネス編集長)や「直流送電」で再エネ普及へ 、というライター、南野彰氏の寄稿を掲載。

   インタビュー 安田陽・京都大学大学院経済学研究科特任教授は、「2050年に総発電力の9割を再エネにできる」とインタビューで語っている。

   その内訳は、陸上風力で3割、洋上風力で2割、太陽光で3割というもの。水素・アンモニアも、長期視点で投資に妙味があるというジャーナリスト、横山渉氏の記事も興味深い。

   アンモニアは水素分子を含む物質であり、輸送技術の確立しているアンモニアに変換して輸送し、利用する場所で水素に戻すという手法もあるという。

   2050年を目標とする脱炭酸社会への取り組みは国際的な約束でもあり、先に仕込んでおくという意味では、長期投資のできる個人投資家向きの銘柄と言えよう、と結んでいる。

   三菱重工業やIHIなども関連の取り組みをしていることを紹介している。重工メーカーを見る眼が少し、変わったような気がする。(渡辺淳悦)