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「週刊東洋経済」は「不動産投資 天国と地獄」を特集 「週刊ダイヤモンド」はコロナ禍の中高一貫校(1)【ビジネス誌 読み比べ】

   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスマンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

   「週刊東洋経済」(2021年4月24日号)の特集は、「不動産投資 天国と地獄」。コロナ禍でも、家計の「カネ余り」を背景に、マンションやアパートなどへの投資熱は冷める気配がないという。特集は優勝劣敗の分岐点に迫っている。

  • 「週刊東洋経済」は不動産投資の「極意」を紹介(写真はイメージ)
    「週刊東洋経済」は不動産投資の「極意」を紹介(写真はイメージ)
  • 「週刊東洋経済」は不動産投資の「極意」を紹介(写真はイメージ)

コロナ禍が人の流れを変えた

   不動産投資家には典型的な3つのタイプがある、と切り出している。

(1) 資産運用タイプ 表面利回り年4~5%の物件を狙い、将来は売却。20~30代が中心
(2) リスクヘッジタイプ 区分マンションなどを複数戸保有。将来の年金不足に備える50代
(3) 節税タイプ 木造アパート1棟投資などをして節税。主に60代以上

   若い初心者が増えているのが特徴だ。

「週刊東洋経済」(2021年4月24日号)
「週刊東洋経済」(2021年4月24日号)

   東京都心部への人口流入が鈍化し、単身者向けワンルームや1Kタイプの需要に変化が出ている。2021年に入ってからも、東京都全体では転出超過の傾向が続く。23区の賃貸マンションの家賃水準推移のグラフを見ると、50~70平方メートルの物件では11万5000円台で横バイだが、それ以下の広さでは若干下落している。

   「出張需要や訪日外国人客の縮小を受けて、ウィークリー・マンスリーマンション業者の撤退が増えている。撤退後の住戸を通常の賃貸住宅として募集した結果、都心部の賃貸住宅が供給過多になった」という仲介業者の声を紹介している。

   パート2では、アパート投資で勝つ方法、サブリースを解約できないというまさかの盲点などを取り上げ、サブリース被害対策弁護団長の三浦直樹弁護士は、こう語っている。

「サブリース業者に言われるとおり賃料の減額に応じるオーナーが少なくない。それはまさに消費者のような契約弱者のオーナーが、情報量や交渉力の格差に付け込まれた形だ」

   オーナーやサブリース元会社員の座談会では、相場の3倍超の修繕費用、賃料は協議できない実態、収支計画はウソだらけなどの「落とし穴」が指摘されている。

   さらに、パート3「不動産投資の極意」では、「利回りだけを見ていてはダメ 借金を使いこなせ」「すご腕投資家に学ぶ 不動産投資の勘所」「AIで10年後を予測 資産価値が『落ちやすい駅』『落ちにくい駅』」などの記事も。

   本業での収入の増加があまり望めない今、新規に不動産投資を始める人が増えているそうだが、その「落とし穴」にも注意したいものだ。

東芝の車谷暢昭社長の電撃辞任

   先週、話題になった経済ニュースと言えば、東芝の車谷暢昭社長兼CEOが4月14日、突然辞任したことだろう。「週刊東洋経済」は、今号のトップインタビューで車谷氏を直撃している。3月31日の取材なので、車谷氏は「3年で再建は完了した。インフラサービスで成長したい」と抱負を語っているが、なんともバツの悪いタイミングで登場したものだ。

   「ニュース最前線」では、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズからの買収提案と車谷氏がCVC日本法人会長だったことに触れ、「事実上の解任」との見方を紹介している。CVCの買収額が割安と見られれば、より高い価格で買収提案をする新たなファンドや企業が現れる可能性があるだろう。

   東芝が上場廃止を受け入れるのか、東芝は原子力発電や防衛などの事業を手掛けているため、日本政府が厳格に審査すると見られる。いずれにせよ、東芝は大きな岐路に立っている、とまとめている。

   一方、東芝・車谷社長の辞任劇は、「週刊ダイヤモンド」(2021年4月24日号)も取り上げている。同誌は、買収提案は白紙にならず、「車谷氏が残した『最後っ屁』という見出しで詳しく報じている。

   買収報道を受け、東芝の3位株主、米資産運用会社のファラロン・キャピタル・マネジメントは、「CVC以外にもっとよい買い手がいないか、東芝自身が進んで探さねばならない」と迫っているのだ。

   オークションに発展すると見られ、米勢と国内勢の混戦か、とまとめている。(渡辺淳悦)