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暮らしのアイデアを発信し続け25周年 「ジップロック」がもたらした調理スタイルと収納術

   食材を保存するのに使う、米国生まれの「ジップロック(R)」。1996年、その日本での販売権を旭化成ホームプロダクツ株式会社が取得して25周年になる。

   今ではごく当たり前のように、どんな家庭の冷蔵庫にも見かけることができるジッパー付き袋。ごはんをサランラップで小分けにして包んだり、翌日のお弁当のおかずを作り置きしたり、調味料で味をつけした肉や魚などの食材を入れて冷凍保存する調理スタイルは、忙しい日本人の日常にすっかり溶け込んだ。もちろん、おいしさも保てる。

   そんな「ジップロック」を販売する旭化成ホームプロダクツのマーケティング担当、宮崎貴文(みやざき・たかふみ)さんに聞いた。

  • 「ジップロック」を手に、旭化成ホームプロダクツ マーケティング担当の宮崎貴文さん
    「ジップロック」を手に、旭化成ホームプロダクツ マーケティング担当の宮崎貴文さん
  • 「ジップロック」を手に、旭化成ホームプロダクツ マーケティング担当の宮崎貴文さん

サランラップと共に食品保存の新提案

――ジップロックが旭化成ホームプロダクツから発売されて25周年になります。米国では1972年に発売されていますが、「日本で売れる」との手応えはあったのでしょうか。発売当時を振り返っていただけますか。

宮崎貴文さん「弊社が展開するサランラップは、1960年に日本での発売を開始。冷蔵庫での食品保存や電子レンジでの温めなど、お客様から高い評価を得ていました。一方で、当時はまだジッパー付き保存袋はお客様に浸透していない時代でした。しかし、サランラップと同じ食品保存分野において、弊社からジップロックを販売し、ご家庭での活用方法について幅広い提案を小売店さんやお客様にできるようになることで、食品保存市場が活性化するのではないかという期待感と共にスタートしたと聞いています」

――改めて、ジップロックの機能面の良さと、日本人に受け入れられた理由を、どのようにみていますか。

宮崎さん「まだ日本では、ジップロックのようなジッパー付き保存袋で食品保存をすることが浸透していなかった時期に、ごはんをサランラップで小分けにして包み、ジップロックに入れて冷凍保存する方法を提案するテレビCMを放映しました。日本人に馴染みのあるごはんの保存方法を、すでに生活の一部になっていたサランラップと合わせた使い方を提案することで、ジップロックの知名度が高まりました。これを機にさまざまな食品を冷凍保存する際にご使用いただけるようになり、現在まで広く浸透するようになったと考えています。
また、技術面においても、開け口やジッパー部分を中心にユーザビリティの向上が都度行われています。こういった点も、お客様から『袋が丈夫』『開け閉めがしやすい』といった機能面についての高い評価につながっていると感じており、ジップロックを信頼してご使用いただいていることをとてもうれしく思っています」

日本ならではの使い方

――食品保存以外の用途については、日本が先陣を切ったとお聞きしています。きっかけは、どのようなことだったのでしょうか。

宮崎さん「『持ち運び・整理収納用途』での活用という点で、日本発信のユニークな取り組みができていると思っています。すでにお客様の中には、ジップロックを食品保存以外の用途でご使用されている方がいらっしゃいましたが、食品保存に対する信頼度の高さから、『ジップロック=食品保存用』というイメージが強く、より多くの方にご使用いただくにはどうしてもイメージのギャップが存在していました。
そのため、私たちはジップロックの『持ち運び・整理収納用途』に賢さや便利さだけでなく、おしゃれ、カッコいいといったイメージを付け加えたいと考えました。たとえば、『ジップロックといっしょに旅しよう。Ziploc Go!』をテーマに、旅行やおでかけシーンでの持ち運び用途を提案したのも、その一つ。また、BEAMS COUTURE様にお声がけいただき、ジップロックそのものや意匠を使ったコラボアイテムの製作をご一緒しました。その結果、SNSを中心にとても大きな反響があり、コラボ商品もすぐに売り切れるほどの人気ぶりでした。さらに2020年8月には、『Ziploc × BEAMS COUTURE』に、『DEAN DELUCA』も参加してのトリプルコラボレーションアイテムは、多く支持を得て1日で完売しました。こうした取り組みの一つひとつが、大きな転換期になっていると考えています」
「Ziploc × BEAMS COUTURE」に、「DEAN DELUCA」が加わってのトリプルコラボレーションアイテム
「Ziploc × BEAMS COUTURE」に、「DEAN DELUCA」が加わってのトリプルコラボレーションアイテム

――SDGs(食品ロス)への取り組みが活発化しています。ジップロックを使った食品ロスを減らす取り組みなどがありましたら、教えてください。

宮崎さん「弊社では、サランラップとジップロックを使った食品の冷凍保存や解凍方法、調理方法を発信しています。食品の中には冷凍保存に向いているものや向いていないもの、少し工夫をすることで冷凍保存ができるようになるものなど、さまざまな種類があります。また、冷凍保存ができるイメージがあまりない野菜や果物などもあります。弊社からの情報発信で、それぞれの食品に合わせた保存方法を知り、実施していただくことで、最後までおいしく食べ切るお手伝いができれば、ご家庭からの食品廃棄を少しでも軽減できるのではないかと考えています。今後も、ホームページやSNSなどを通じて、継続して情報発信していきます」

暮らしに寄り添うライフスタイルブランドへ進化

――ジップロックの新たな活用法を教えてください。

宮崎さん「ジップロックの使用方法として、みなさまにお伝えしているものは主に『下味冷凍』と『持ち運び・整理収納用途』の2点です。『下味冷凍』は、ご家庭での食事機会が増えたコロナ禍において、さらに注目を浴び、実施されている人も増えた冷凍保存テクニックです。肉や魚を冷凍保存する際に、調味料と一緒にジップロックに入れることで、おいしく保存することができ、日常の食事において準備時間が短くなります。
具体的には、休日など時間のある時に下味冷凍のタネをまとめて仕込んでいただき、平日の時間がない時の時短調理としてオススメしています。直近では、調味料メーカーさんと共に情報発信させていただくことも増え、下味冷凍がさらに便利で簡単にできる提案が増えてきました。
『持ち運び・整理収納用途』は、ジップロックを使う人のアイデア次第で可能性を大きく広げるものと考えています。SNSなどでもジップロックを多彩な用途でご使用いただいている様子を拝見しており、このようなアイデアをさらに知っていただくために、『2021 年の春は一度きりだから。 HELLO! IDEA100 展』を実施しました。ジップロックのさまざまな使い方をご紹介しておりますので、是非、ジップロックのホームページに遊びに来てください」

――日本発売25周年を迎えました。今後の展開を教えてください。

宮崎さん「2020 年 10 月のジップロックジッパーバッグのリニューアルに際し、ブランドメッセージを『HELLO!IDEA』に一新しました。この理念をもとにジップロックから生まれる無限大のアイデアを発信し、暮らしをサポートしていきます。これまでもジップロックは、毎日の暮らしを効率よくスマートに手助けし、生活をより豊かにするために、多様なライフスタイルに合わせて、さまざまな役割を果たしてきました。また、使用済み商品をリサイクルするプロジェクトの実施など、持続可能な社会の実現に向けて環境への配慮にも積極的に取り組んでいます。
豊かな食生活や健康的な暮らしをかなえるためのアイデアをサポートし、日々の暮らしに寄り添うライフスタイルブランドとしてこれからも進化していきます」