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コンセプトは「爽快シビック」 その走りは? 新たな設計手法「ホンダアーキテクチャー」を導入

   ホンダは11代目となる新型シビックのハッチバックモデルを2021年6月24日、世界で初公開した。すでにセダンは4月に米国で発表しているが、主力のハッチバックは今回が初めてとなる。日本国内ではセダンは発売せず、今回発表のハッチバックを今秋、発売する。

   シビックのフルモデルチェンジは、2017年7月発表の現行の10代目以来となる。

  • ホンダアーキテクチャーを導入した11代目「シビック」 (画像は、ホンダ「シビック」のホームページより)
    ホンダアーキテクチャーを導入した11代目「シビック」 (画像は、ホンダ「シビック」のホームページより)
  • ホンダアーキテクチャーを導入した11代目「シビック」 (画像は、ホンダ「シビック」のホームページより)

今日のホンダの地位を築いた「シビック」

   11代目、新型シビックの開発責任者の佐藤洋介氏はオンライン発表会で、

「今回のシビックは人中心にすべてを磨き上げていこうという思いで開発してきた。コンセプトは『爽快シビック』だ。視界がよく、ドライバーが操作系に触れた際に感じるタッチ感を含めて気持ちよい。すべての感覚が気持ちよく、ノイズレスでフリクションレスなシビックを目指してやってきた」

と語った。

   ホンダにとって、シビックは最も重要な国際戦略車だ。海外ではフォルクスワーゲン(VW)ゴルフ、日本国内ではトヨタカローラなどがライバルとなる。

   1972年、当時としては珍しかったFF2ボックスで登場した初代シビックは、1.2リッターと1.5リッターのベーシックカーとして人気を呼んだ。

   1973年には当時、世界一厳しいとされた米国の排気ガス規制(通称「マスキー法」)を、世界で最初にクリアしたCVCC(複合渦流調整燃焼方式)エンジンを搭載した。初代シビックは低燃費と低公害を両立した革新的な小型車として大ヒット。自動車メーカーとしての今日のホンダの地位を築いた。

   その後、シビックは車格が上がり、現在はCセグメント(全長約4200~4600ミリメートル)と呼ばれるクラスとなった。このクラスは欧州ではVW、トヨタはじめ、ルノー、プジョー、シトロエン、アウディ、日産、マツダなどが主力モデルを投入する最大の激戦区となっている。 開発責任者の佐藤氏は、

「ホンダ・イコール・シビックだと自分は思っている。ホンダの象徴でもある。歴代の開発者の思い、お客様の思いが一番強いモデルがシビックだと思う」

と力を込めた。

ホンダ、開発効率の向上目指す

   実際の新型シビックは何が変わったのか――。

   ホンダが開発効率の向上を目指し、量産モデルの部品共有化を拡大する「ホンダアーキテクチャー」と呼ばれる、新たな設計手法を初めて本格的に導入した。

   エンジンは1.5リッターの直噴VTECターボで、トランスミッションはCVTに加え、6速マニュアルを用意している。今なお6速マニュアルを設定するのは、スポーツ心あふれるホンダらしい。

   新型シビックの「走り」を担当した車体研究開発責任者の山上智行氏は、

「質の高い軽快感というキーワードで開発を行った。アクセルを踏んだ瞬間にスッとクルマが動き出す。力強く、どこまでも加速が伸びていく。加速と音が気持ちよくシンクロしていく爽快な走りを求めた」

と言う。

   山上氏は「基本となるハンドリング、ブレーキ、パワートレインといった、カラダでいえば体幹を磨くところをしっかりやった」と話しており、ホンダアーキテクチャーを本格導入した新型シビックの走りが注目される。

   ホンダは今回発表の1.5リッターターボに加え、ホンダ独自の2モーターによるハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載したモデルと、本格的なスポーツモデル「シビックTYPE R」を2022年に発売するという。とりわけルノーと「FF車で世界最速」を競う「TYPE R」の登場は今から楽しみだ。(ジャーナリスト 済田経夫)