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飲食業界、仕事の不満は「昼夜逆転」「長時間勤務」 身についたのは「コミュニケーション能力」

   飲食業界に勤務する人が転職する理由で、最も多いのは「勤務時間への不満」だった――。

   Webメディアを通じてビジネスの問題解決に取り組んでいる株式会社ビズヒッツ(三重県鈴鹿市)が、飲食業界から異業種や異職種に転職した259人を対象に「転職理由に関する意識調査」を実施した。2021年8月4日の発表。

   2位は「収入を増やしたい」、3位に「他の仕事がしたい」が続いた。

  • 飲食店のから転職、その理由で多いのは……
    飲食店のから転職、その理由で多いのは……
  • 飲食店のから転職、その理由で多いのは……

不規則な勤務で体力がキツくなって......

   調査で、飲食業界からの転職理由で1位は「勤務時間への不満」。次いで「収入を増やしたい」「他の仕事がしたい」と続いた。4位には「勤務日・休日への不満」が入っており、「勤務時間や出勤日・休日」に不満があって転職した人が多かった=表参照

   「スキルアップしたい」「人間関係」「手荒れがひどくなったから」なども入った。

   勤務時間への不満について、寄せられた声には、

「夕方から深夜にかけて営業している店だったので、家族や友人と生活のリズムが合わず、昼間に仕事をしたいと思ったから」(女性、25歳で転職)
「不規則な勤務時間が体力的にきつくなってきたので転職しました」(男性、35歳で転職)
「転職した理由は時間です。飲食業界で働いていたときは、朝から夜まで仕事で、なかなか帰れなかったので」(女性、50歳で転職)

   「シフトで不規則な勤務」「長時間労働」「昼夜逆転の生活」がつらかったと回答した人が多かった。また、長時間労働については「仕込みの時間もあり、勤務時間が長い」などの体験談が寄せられたほか、「不規則な生活で体を壊した」という人も複数いた。

   2位の「収入を増やしたい」と答えた人からは、

「給料が仕事量に対して割に合わないと思ったから」(男性、24歳で転職)
「正社員になれず、給料が安くて生活が厳しかったため」(女性、28歳で転職)

   「年収があがりそうにない」「昇給しにくい」など、「なかなか昇給しない」ことへの不満を挙げた人もいた。

   3位の「他の仕事がしたい」と答えた人からは、「他にやりたい仕事が見つかった」「他の業種も経験してみたいと思った」「もともとやりたかった仕事に挑戦した」などの声があった。

   4位の「勤務日・休日への不満」では、「まったく休みが取れず、週休2日きちんと休める職業がいいと思ったから」(女性、27歳で転職)といった声のほか、「急なシフト変更」や「毎回電話で呼び出されるシフト」への不満など、プライベートの予定が立てづらいことがあるようだ。

   5位の「体力的にツライ」には、「立ち仕事がツライ」「重労働」という回答が目立った。

「営業職でコミュニケーション能力が役立っています」

   「飲食業界で身についた、異業種・異職種でも活かせるスキルはなんだと思いますか?」との問いに、最も多かったのは「コミュニケーション能力」でダントツだった=表参照

「営業職でコミュニケーション能力が役立っています」(男性、23歳で転職)
「どんな仕事でも人があってのことなので、その人が何を求めているのかを読むスキルはとても役立つと思います」(女性、45歳で転職)

といった声が寄せられた。

   2位の「接客スキル」には、

「相手がお客様でも同僚でも、接客で培った笑顔や気持ちのいい対応は役に立つ(女性、23歳で転職)
「お客様への対応の丁寧さが、どんなところでも活きると感じるから」(男性、33歳で転職)

   「笑顔でハキハキと対応する」「お客様を観察し、望んでいることを推測する」といった経験が役立ったという人が多かった。

   3位は「効率を考えて動く」で、

「まず作業効率を考えるため、どの仕事においても再現性がある」(女性、25歳で転職)
「一気にやることが増えたとき、『今一番優先すべきことはなにか』を判断できる」(男性、31歳で転職)

など、「効率や段取りを考えて動く力」「優先順位をつける力」が身についたという人が多かった。

「チームワークの必要な仕事だと、飲食で働いていた時の協調性が役に立つと思います」(女性25歳で転職)
「周りを見ながら自分が何をすべきか考えながら動けること。他の仕事でも応用できると思います」(女性、30歳で転職)

といった「協調性」(4位)や、

「言葉遣いが正しいと好感を持ってもらえるから」(男性、21歳で転職)

などの「言葉づかい・マナー」(5位)が続いた。

飲食業界から転職した仕事1位は「事務職」

   「飲食業界からどんな仕事に転職したのか」との問いには、「事務職」が最多で、医療機関や不動産、建築・土木、物流、福祉・介護、メーカー、商社など幅広い業界が挙がった。

   2位は、接客スキルやコミュニケーション能力が活かせそうな「アパレル販売員」「スーパーマーケットのレジ」「脱毛サロンのスタッフ」などの「接客・販売職」。3位には、メーカーや不動産関係、金融関係などの「営業職」が続いた=左下表参照

   また、転職の手段としては、「ハローワーク」が「転職サイト」を上回った。「転職エージェント」や「派遣会社」などの利用を活用した人、「知り合いからの紹介」「昔の同僚に誘われて」などの人のツテを頼って転職した人もいた。

   なお調査は、飲食業界から異業種や異職種に転職した259人(女性142人/男性117人)を対象に、2021年6月29日~7月18日に実施した。