J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

「レンタル彼氏」でいい思いをしながら稼ぐつもりが... 「うますぎる副業」で若者をだますワルが横行!

「レンタル彼氏か...デートでいい思いをしてお金が稼げるぞ」
「チャットで男の人の相談に乗るだけなら、チョロイ、チョロイ」

   なあんて、世の中を甘く見る若者たちが、どんどん詐欺にあってお金をむしり取られている。国民生活センターが2021年9月16日、「怪しい副業・アルバイトには裏がある。うまい話には気を付けて!」と警鐘を鳴らす報告書を発表した。

  • 詐欺師はあなたの「スケベ心を」を狙っている(写真はイメージ)
    詐欺師はあなたの「スケベ心を」を狙っている(写真はイメージ)
  • 詐欺師はあなたの「スケベ心を」を狙っている(写真はイメージ)

「君なら人気が出るよ」と言われ『レンタル彼氏』に...

   国民生活センターによると、こうした「怪しい儲け話」を持ち掛けるサイトを「利益誘引型サイト」という。10歳代~20歳代で被害にあった人は2016年に836人だったが、昨年(2020年)には1449人と、1.7倍に増えた。

   たとえば、こんな事例が多い。

【事例1】チャットで男性の相談にのるだけの楽なバイトなのに、次々と手続料を支払わされた
「5000 円、1万円、3万円、5万円をクレジットカードとプリペイド型電子マネーでサイトに支払い、『これで最後です』と言われた。しかし手続きがうまくいかなかったとして、さらに7万円を請求され、騙されたと気がついた」(2021年5月、10歳代女性)

「レンタル彼氏」ならデートもできて... と期待したが(写真はイメージ)
「レンタル彼氏」ならデートもできて... と期待したが(写真はイメージ)

【事例2】「レンタル彼氏」に登録したが、本物のデートができず、お金だけむしりとられている
「2年前、高収入アルバイトをインターネットで検索し、『レンタル彼氏』のサイトを見つけた。面接では、サイトに自分の写真を掲載し、サイトの会員からデート等の申込みがあれば対応して報酬を得る仕事だと説明された。『君は人気が出るよ』と後押しされ、合わなければすぐに辞められると言われたので登録した。
初期費用と月額サイト利用料の約4万6000円を支払った。依頼が入りテレビ電話で相手と話をすると、『報酬250万円を振り込む』と言われたが、振り込まれなかった。まったく収入がないのでサイトに解約を申し出たが、『2年間の契約なので中途解約はできない』と言われ、仕方なく月額サイト利用料を支払い続けていた。
先日サイトから、支払いが滞っていると請求書が届いたが、これ以上の支払いは難しい」(2021年3月、20歳代男性)

   この2つの例のように、「うまい話」には必ずウラがある。副業・アルバイトにあたって「手数料」や「登録料」を請求されたら要注意!

   「簡単に稼げる」と強調するインターネット広告やSNSの情報を安易に信じないように。怪しい副業・アルバイトでは、「報酬を得るために必要」などと言われ、登録料やサイト利用料など、さまざまな名目でお金を支払わされる特徴がある。たとえ、友人や知人から誘われても、少しでも不審に思ったらきっぱり断ること。

「荷物の受け取りをするだけ」が怖~い詐欺に

【事例3】荷物の受け取りの代行をしたら、自分名義でスマートフォン6台を購入されていた
「SNSで仲良くしている知人から、報酬がもらえる荷物の受取代行のアルバイトを紹介された。教えられた申込み先に連絡し、身分証明書を送るように言われ、住民票と電気料金の領収書の写真を撮って送った。担当者とチャットでやりとりし、私の名義で携帯電話やサプリメント、掃除機等を購入するので商品が届くが、それらを指定された住所に転送するよう指示された。
『請求書は基本的に届かないが、もし届いたら商品と一緒に送付するように』と言われた。商品が届き始めて指示通りに転送し、報酬として6万円を受け取った。しかしその後、携帯電話会社3社から私宛に請求書が届き、自分名義でスマートフォン6台を購入したことになっていた。担当者に連絡しようとしたが、連絡が取れない」(2021年3月、20歳代女性)

   これは「荷受代行」「荷物転送」と言われる典型的な詐欺だ。絶対に引き受けないように。荷物の受け取りを代行し、転送するというアルバイトを装っているが、裏の目的はあなたの名義で不正に何台も携帯電話を購入することにある=下図参照。その携帯電話がいろいろな犯罪に使われるわけだ。

   あなたのところには、携帯電話の購入費と使用料の請求がくることになる。

図:「荷受代行」「荷物転送」の詐欺の手口(国民生活センター作成)
図:「荷受代行」「荷物転送」の詐欺の手口(国民生活センター作成)

   さらに、あなたが携帯電話会社に料金を支払わないまま強制解約になると、今後携帯電話会社と契約をする際に不利益が発生する。特に端末代金が分割払いにされている場合、信用情報機関に事故情報として登録されてしまう恐れがある。「ブラックリスト」に載ると、なかなか新規契約などができにくくなるのだ。

   国民生活センターでは、こう注意を呼び掛けている。

「来年4月からは民法の改正によって、『18歳で大人』になります。未成年者は、契約をするにあたって親権者の同意を得なければならず、これまでは同意を得ずに結んだ契約は取り消すことができました。しかし、大人になると、原則として一方的にやめることはできません。インターネット上にはさまざまな副業・アルバイトに関する情報が掲載されていますが、始める前に必ず家族や周りの人に相談するようにしましょう。これまで以上に、慎重に行動してください」

(福田和郎)