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冷蔵庫の中に「間」をつくろう!【食品のムダをなくす一冊】

   10月は「食品ロス月間」。冷蔵庫の活用術や、食材やお料理の節約術、最新の農業事情などをテーマにした本を随時、紹介していこう。

   家庭での食品ロスの最大の発生源は、冷蔵庫ではないだろうか。

   冷蔵庫に入れっぱなしの食材を腐らしたり、消費期限切れにしてしまったりした経験がある人は少なくないはずだ。ゴミ出しの日には、そうした食材を捨てることになり、心が痛む。

   本書「1日5分からの断捨離」は、「断捨離」の提唱者である、やましたひでこさんの著書だ。その中から、冷蔵庫の断捨離に関する事柄をピックアップして紹介しよう。

「1日5分からの断捨離」(やましたひでこ著)大和書房
  • 家庭の冷蔵庫、「保存庫」になっていませんか?(写真はイメージ)
    家庭の冷蔵庫、「保存庫」になっていませんか?(写真はイメージ)
  • 家庭の冷蔵庫、「保存庫」になっていませんか?(写真はイメージ)

断捨離できない7つの言い訳とは?

   やましたさんは、一般財団法人断捨離の代表。早稲田大学文学部卒。学生時代に出逢ったヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得た「断捨離」を日常の「片付け」に落とし込んだ。「断捨離」などの関連書籍は国内累計500万部を超えるミリオンセラーになっている。

   本書では、玄関、リビングダイニング、調理台、食器棚、冷蔵庫、洗面所、バスルーム、トイレ、クローゼット、書斎、寝室、収納、ゴミ捨て、と家庭内のあらゆる場面での「断捨離」を取り上げている。

   断捨離とは何か? やましたさんは、こう説明している。

   「断」とは、なだれこむモノを「断」つこと、「捨」とは、ガラクタを「捨」てること。「離」とは「断」と「捨」を繰り返し、モノへの執着から「離」れていくこと。断捨離することによって、解放感がある、掃除がしやすくなるなどのメリットのほか、自分を大切にする生き方ができる、不安を感じにくくなる、主体的に生きることができるなど、1つ上のステップに昇ることができるようになるという。

   冒頭で、なぜ「断捨離できない」のか。7つの「ないない思考」に触れている。その7つとは――。

「時間がない」 忙しい思考
「ちゃんとできない」 完璧思考
「できない自分を責める」 減点思考
「どうせリバウンドしちゃう」 あきらめ思考
「あまりに大量でどこから手をつけたらいいかわからない」 決定回避思考
「あれもこれも一人でできない」 抱え込み思考
「やり方がわからない」 マニュアル思考

   こうした言い訳をせずに、「まずは5分」断捨離してみましょう、と呼び掛けている。

冷蔵庫を保存庫にしない方法

   冷蔵庫の「断捨離」。「冷蔵庫は、食材の楽屋。すぐに出番のある控え室。あくまで一時仮置き場であり、保存庫ではありませんよ」と書いている。でも、保存庫になっている家庭は多いのではないだろうか。そうしないための方法とは。

   まず、冷蔵庫を開け放ち、中身をすべて水平面に出して俯瞰し、「賞味期限」をチェックする。賞味期限切れのもの、消費期限切れのものがあれば、取り除く。それだけのことだが、それより肝心なのは、冷蔵庫にいったいどれだけ「自分の食べたいもの」が保存されているかどうかだ。冷蔵庫に食品が詰まっていればいるほど、なぜだか食べたい食品がなくなっているのでは、と書いている。

   冷蔵庫の中も「取り出しやすく、しまいやすく、美しく」が基本だ。どこに何があるかパッと分かるようにしよう。買ってきた食材はジップロックなどの「透明の袋」に移し替え、見やすくして保存する。また、何重にも包装しているものは、保存に問題がなければ、外袋や外箱をはずしてしまう。

   やましたさんは、卵は器にこんもりと盛る。卵トレイは調味料棚として使っている。食材、食品、調味料がすき間なく詰め込まれていると、もはや何がどれくらいあるのか分からない。空間の「間」をつぶしてはいけないという。 調味料も「間」をつくり自立させて置いておけば、「取り出しやすく、戻しやすい」。作業に流れが生まれる。やましたさんの冷蔵庫の中はじつにすっきりしている。うらやましくなる。なぜ、自分の家の冷蔵庫は食品でいっぱいなのか、考えてみた。

決行!?「冷蔵庫の中ピカピカ作戦」

   スーパーに行き、食べたいものがあれば買ってしまう。家にどんな食材があるのかを考えずに、衝動買いしているのが原因だった。やましたさんは「ため込まなくても、食材はいつでも買いにいくことはできるのです」と書いている。まずは、「冷蔵庫の最上段を断捨離」してみようと勧めている。

   冷蔵庫のボディを磨くことも提案している。日頃、私たちの食を守ってくれていることに感謝を込めて。余力があれば、「冷蔵庫の中ピカピカ作戦」を。全部の棚を外して水洗いする。あとはタオルで磨きあげる。いい運動にもなり、クリーンな冷蔵庫に生まれ変わるはずだ。

   冷凍庫の中に「忘却食品」はないだろうか。なんとなく残り物をタッパーに入れ、なんとなくとっておいて、なんとなく安心しているだけではないだろうか。

   食べきれなくて残す。使いきれなくて余る。この現実を潔く受け入れることだと指摘している。適正な量の食材を買う。食品ロスをなくすには、その基本に立ち返ることだと気がついた。

(渡辺淳悦)

「1日5分からの断捨離」
やましたひでこ著
大和書房
1650円(税込)