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コロナ禍が収まっても「忘年会やらない」企業が7割以上!「昭和のオワコン。ありがたい」と感謝の声

「やっと思い切って飲めるぞ!」

   緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が全国で解除され、2021年10月25日から飲食店の通常営業が始まった。もうすぐ忘年会シーズンだ。さあ、職場の幹事サンも大忙しと思いきや、新型コロナウイルスの感染が収まりを見せても、忘年会をやらない企業が7割を超えるという。

   ネットには、

「忘年会なんてオワコンだよ。昭和の悪い習慣をコロナが吹き飛ばしてくれた」

   という声があふれている。

  • 忘年会でお酌するのがイヤだという人が多い(写真はイメージ)
    忘年会でお酌するのがイヤだという人が多い(写真はイメージ)
  • 忘年会でお酌するのがイヤだという人が多い(写真はイメージ)

忘年会をやりたがるのは中小企業に多い

   東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏4都県と大阪府は2021年10月25日から、新型コロナウイルス対策によって停滞していた経済活動を再開するため、飲食店に出していたさまざまな制限を解除する。

   これで全国的に飲食店の営業は、ほぼ通常営業に戻ることになる。

   しかし、職場での年末の忘年会や年始の新年会が復活するかといえば、そんなことはもうあり得ないことが、東京商工リサーチが10月22日に発表した調査「忘・新年会離れが深刻、企業の7割が『開催しない』」で明らかになった。

   それによると、調査した企業(8174社)の7割以上(70.4%)が忘年会や新年会の開催予定がないと回答した。昨年(2020年)12月に実施した同じ内容の調査では「開催しない」が94.2%で、1年間で23.8ポイント回復したことになるが、回答内容を詳しくみると、「コロナ禍の感染防止の意識が高まり、緊急事態宣言などの有無にかかわらず、宴会そのものを控えるムードが企業にかなり広がっている」ことがわかる。

図表:忘年会・新年会を開催するか、企業に聞いた(東京商工リサーチ作成)
図表:忘年会・新年会を開催するか、企業に聞いた(東京商工リサーチ作成)

   具体的な調査結果はこうだ。

   「年末年初の忘年会や新年会を開催するか」と聞くと、「(忘年会などの開催時期に)緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されているかどうかに関係なく開催しない」が70.5%に達した。

   一方、「宣言や重点措置の対象区域でなければ開催する」は合計28.2%だった。これは裏を返すと、「宣言や重点措置が発令されていれば開催しない」という企業が合計98.6%いることになる。

   これを企業の規模別にみると、大企業のほうが中小企業より「宴会をやらない」という意識が高い。大企業は「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」に関係なく開催しないが78.9%。「宣言」や「重点措置」の対象区域でなければ開催するは合計20.5%で、宣言や重点措置が発令されると合計99.5%が「開催しない」と答えた。

   中小企業では、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」に関係なく開催しないが68.9%で、大企業よりちょうど10ポイント少ない。「宣言」「重点措置」でなければ開催するは合計29.5%で、こちらは大企業より9ポイント高い。そして、宣言や重点措置が発令されると合計98.4%が「開催しない」と答えた。

   これは宣言や重点措置が発令されても、断固開催する! というコンプライアンスに欠ける企業が1.6%いることになる。大企業では0.5%しかいないから、人数が少ない分、中小企業では職場の「飲みニケーション」を重視する度合いが強いということだろうか。

   東京商工リサーチでは、こう分析している。

「今シーズンは、緊急事態宣言等を発令されないなど条件付きの開催予定が約3割ある。ただ、7割以上が宣言や重点措置がなくても開かないと答えている。店舗により人数や時間制限などもあり、コロナ前の賑やかな忘・新年会が戻るのは難しい。今年も宴会需要は収縮し、飲食業や関連業者のダメージは続きそうだ」

   なお調査は、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が全面解除された後の10月1日~11日に実施。資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業などを含む)を中小企業に分けて、有効回答8174社を集計、分析した。

「忘年会代わりに高級肉が配られ、家族で美味しく頂いた」

二次会のカラオケが耐えられないという人が多い(写真はイメージ)
二次会のカラオケが耐えられないという人が多い(写真はイメージ)

   インターネット上では、忘年会をやめる企業が多いことに、賛成の声が圧倒的だ。ヤフコメではこんな意見が相次いだ。

   日本総合研究所調査部マクロ経済研究センター所長の石川智久氏は、こう指摘した。

「若い人たちなどに話を聞くと、企業内でのコミュニケーションの重要性はかなり認識していますが、強制的な酒の場でないほうがよいとの話を聞きます。またオンラインで、1対1で話をするほうが、飲み会の多数の前よりも話がしやすく、話も丁寧にできてよいとの意見もあります。
また、セクハラやパワハラのリスクも減ります。2年近いコロナ禍で企業内のコミュニ―ケーションの在り方もかなり変わっています。飲み会でのコミュニケーションも意味があるとは思いますが、それだけに頼らない対話の方法を考えていく必要があるでしょう。また、飲食業も忘年会や新年会に頼らない戦略を考える必要があります」

   忘年会は会社の行事としては「オワコン」だという意見が相次いだ。

「コロナ禍の影響は確かにあると思うけど、会社行事として、しかも参加不参加の選択が事実上ないような忘年会・新年会、それから研修という名の社員旅行、慰安旅行は敬遠したい時代の流れじゃないかな」
「飲み会で、無礼講で話そうなんていう時代でもないのかな、と思います。無意味とは言わないが、推進派がいうほどよい影響があるとも思えません」

   昨年から忘年会がなくなった人たちからは、こんなメリットをあげる声が。

「去年は忘年会がなくなり、その代わりに高級肉が配られ、家族で美味しく頂きました。会社の人と飲むよりも、家庭でホッと食事をするほうが気は休まります」
「うちの会社は一昨年から忘年会をやらなくなったので、忘年会費としていた5000円分のQUOカード(編集部注:住友商事グループが発行する全国共通ギフトカード)が正社員はもちろん派遣社員まで支給されるようになりました。みんな喜んでいます」
「前の職場は毎月飲み会があり、そのたび上司の説教の場でした。パワハラ、暴力も見たこと何度もあります。いまは飲み会も一切なく自由参加。今の時代はこれがベーシック。家族との時間がたくさんできたし、お金もたくさん貯まりました」

   最後にこんな意見を紹介したい。

「確かに。昭和から惰性で続けてきたものをいったん見直すいい機会になりますね、コロナ騒動は」

(福田和郎)