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株価3万円乗せを試す展開も、円安不安が再燃する恐れが...... (11月8日~12日)【株と為替 今週のねらい目】

   東京株式市場の日経平均株価は、自民党が衆院選で議席を減らしたとはいえ、単独過半数を維持したこと、また米国株の上昇という後押しもあって大きく上昇。3万円台が見えてきた。

   ただ、その一方で米国の経済指標によっては、早期の利上げ観測が再び強まる可能性があり、現在落ち着いている円安の動きが活発化する懸念がある。米国経済の動向には要注意。さて、どうなる!? 今週の株式・為替マーケット!

  • 米国経済の動向が気になる……(写真は米国経済の中心、ウオール街の高層ビル群)
    米国経済の動向が気になる……(写真は米国経済の中心、ウオール街の高層ビル群)
  • 米国経済の動向が気になる……(写真は米国経済の中心、ウオール街の高層ビル群)

東京株式市場 企業の決算発表、ピーク迎える

日経平均株価予想レンジ:2万9000円~3万円

2021年11月5日(金) 終値 2万9611円57銭

   今週の東京株式市場の日経平均株価は、3万円乗せを試す展開か。

   前週の日経平均株価は、大幅上昇した。10月31日の衆議院議員選挙で自民党が単独過半数を獲得したことを好感した。加えて、米国株の上昇が相場の下支え要因となった。

   今週の日経平均株価は、3万円乗せを試す展開となりそうだ。ただ、一時的に3万円台に乗せても、上値は重いだろう。

   衆議院選での自民党単独過半数獲得を好感した買いも、一過性のものであり、今のところ岸田政権の政策には、大型経済対策といった相場を押し上げるものはない。下支え要因となっている米国株の上昇は、米国の量的緩和の縮小(テーパリング)が決定したものの、早期利上げ観測が後退しているためだ。

   しかし、10月の米国雇用統計は市場予想を上回り、再び、早期利上げ観測が強まる可能性がある。落ち着いている円安の動きが活発化する可能性もあるので、米国の経済指標の結果は要注目。

   国内では、企業の決算発表がピークを迎えることから、基本的には個別物色の動きが中心となる。米国企業に比べて、日本企業の業績回復は遅れている。再び、円安の動きが強まれば、先行きに暗雲が漂う。また、日経平均株価は3万円に近づけは、利益確定の売りが強まり、上値は重い展開となるだろう。

東京外国為替市場 リスク選好のドル買いは後退した?

ドル・円予想レンジ:1ドル=113円00銭~115円00銭

2021年11月5日(金)終値 113円40銭

   今週の外国為替市場でドル円相場は、ドルが底堅い展開か。

   前週のドル円相場は、ドルが弱含みとなった。米経済指標が市場予想を下回ったこと、加えてFOMC(米連邦公開市場委員会)で量的緩和の縮小が決まったものの、早期利上げに対しては慎重姿勢だったこと、米長期金利が低下したことで、リスク選好のドル買いが後退した。

   今週のドル円相場は、ドルが底堅い展開となりそうだ。米国の経済指標の結果次第では、再び、ドル高・円安の動きが加速しそうだ。米国の10月雇用統計が市場予想を上回ったが、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が早期利上げに慎重な姿勢を示したことで、リスク選好のドル買いは一服している。

   しかし、米国のインフレ懸念は払拭されておらず、米経済指標が指標予想を上回る結果となれば、再び早期の利上げ観測が台頭するだろう。日本の経済状況を考えた場合、ドル高・円安へ進行する可能性が高く、米国の経済指標結果には注意が必要だ。

   経済指標は、国内では8日に9月の景気動向指数、9日に10月の景気ウォッチャー調査、10日に10月の工作機械受注、11日に10月の企業物価指数、12日にオプション取引に係る特別清算指数(SQ)算出などが予定されている。

   海外では、8日に中国共産党中央委員会第6回全体会議(11日まで)、10日に中国の10月の消費者物価指数と生産者物価指数、米国の10月の消費者物価指数などが予定されている。

(鷲尾香一)