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季節株の極意「麦わら帽子は冬に買え」で買うコカ・コーラ【格言で買う株式投資】

    「麦わら帽子は冬に買え」――。こんな格言がある。

   野村証券の証券用語解説集には、

「麦わら帽子、ビール、スキー用品など、季節によって大きく売り上げや業績が変動するシーズンストック(季節株)をオフシーズンに購入しておき、オンシーズンに売却する、いわゆる季節株戦略の有効性を説く格言」

とある。冬に麦わら帽子を買う人は少ないので、比較的安く手に入る。株式も同じように、投資家から注目されてない時期に安値で買い、注目度が高まり株価が上がるオンシーズンに利益を得ようというわけだ。

「季節株に限らず、有望株を見つけて購入しておくことは、株式投資の鉄則の一つである」

と、説いている。

自動販売機の売り上げがカギを握る......
自動販売機の売り上げがカギを握る......

12月期の純利益は25億円の黒字転換を見込む

   「コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス」が目に止まったのは、2021年9月17日発売の「会社四季報2021年4集・秋号」を読んでいてのことだった。記事欄外の、業績予想が「大幅減額」になっているのに気づいた。

   新型コロナウイルスの感染拡大で外出制限により、自販機売り上げが大きく下げていることは、テレビなどマスメディアでの報道で知っていた。

   そこで会社四季報の紙面上部の株価チャート(過去4年間)を見ると、2018年の4815円の高値後、右肩下がりで20年に1462円の安値をつけている。直近1年の株価は、1500円~1900円の幅で推移している。

   業績欄に目を転じると、2019年12月期決算は、純利益がマイナス579億9520万円で底を打っている。その後、20年12月期決算では、純利益がマイナス47億1500万円まで減少した。

   今期(2021年12月期)決算は、純利益が25億円と黒字転換。営業利益はマイナス120億円だが、キューサイ譲渡益130億円が寄与。50円配当を復元(前期25円)した。

   11月に入り、第2次岸田内閣は景気回復に向けた経済対策を打ち出す。コロナ禍の新たな感染者も「ゼロ」に近づいてきて、連休や週末になると人でも増えている。コロナ禍の第6波の状況に注視しながらも、疲弊した日本経済は復活に向かっている。

気になるのは自動販売機の売り上げ

   そこで、「麦わら帽子は冬に買え」である。自販機売り上げが飲料メーカーで断トツのコカ・コーラ株は、今が買い時と考えた。

   購入時期は、オフシーズンとなる年内。2020年の安値、1462円前後を考えている。売却時期は、シーズンインとなる翌年4~5月、その時の売却予定価格は、価格帯別出来高が2000万株強で、商いの節と見られる。1880円辺りを目安に考えている。

   問題点は、利益率の大きい、コカ・コーラ製品の自動販売機での売り上げが、ここ数年徐々にではあるが、減少傾向にある点だ。原因は「お茶」などの他社製品に押されていること。

   そこに、コロナ禍による緊急事態宣言でリモートワークが進み、需要がスーパーやコンビニに移ったこと。10月25日からの緊急事態宣言解除に伴う経済活動再開により、自販機売り上げがどの程度回復するかが気になるところだ。

   今春投入した「コスタコーヒー」など高付加価値商品や、缶酎ハイ「檸檬堂」のヒット商品の供給体制の整備も注目される。

   シーズンストックは、天候に大きく左右される。コロナ禍が落ち着きを見せている状況下、来年になりシーズンインしたとき、人の多く集まる野球やサッカーなどのスポーツ観戦、野外コンサートのようなイベントで、どれだけ売り上げを伸ばせるかが、ポイントと考えている。

(石井治彦)

コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(2579)
保有株数  ゼロ
年初来高値(2021年 3月23日) 2131円
年初来安値(2021年11月17日) 1471円
直近 終値(2021年11月17日) 1473円