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世界中をパニックに陥れた「オミクロン株」! 「時間稼ぎ」の水際対策に「ウイルスはまだ疲れていない!」(井津川倫子)

   先日、南アフリカが新型コロナウイルスの新しい変異株「オミクロン」を検出したと発表し、世界中に衝撃が走っています。各国が相次いで南アフリカや周辺国からの渡航を停止する「水際対策」に動きましたが、専門家は「時間稼ぎにすぎない」と厳しい指摘。日本を含む23の国で感染が確認されるなど(2021年12月2日時点)、オミクロン株の脅威は増すばかりです。

   「水際対策」で侵入を防げるのか。オミクロン株をめぐる世界の動きを、最新の英語でお伝えします。

  • 新型コロナウイルスの新たな変異株「Omicron」の恐怖(画像はイメージ)
    新型コロナウイルスの新たな変異株「Omicron」の恐怖(画像はイメージ)
  • 新型コロナウイルスの新たな変異株「Omicron」の恐怖(画像はイメージ)

「Omicron」の発音は「オムクロン」?

   それにしても、あっという間の展開でした。

   南アフリカがオミクロン株を検出したと発表したとたん、ワクチン効果で通常モードに戻りかけていた人々の気持ちや社会活動が一気に非常事態に逆戻り。正体が分からないだけに恐怖心が先行しているようですが、さすが超大国米国でもオミクロン株の感染が確認されたというニュースには、新型コロナウイルス感染拡大初期の悪夢がよみがえってきて、背筋が寒くなりました。

   First US case of Omicron Covid variant identified in California
(米国で最初の新型コロナウイルス・オミクロン変異株の感染者が、カリフォルニア州で確認された:英紙ガーディアン)
variant:変異株
identified:確認された

   オミクロン株の綴りは「Omicron」です。英国と米国では発音が違うという説がありますが、英BBC放送のキャスターは「オムクロン」と発音しているように聞こえました。

   変異株「variant」の発音は「ヴァリアント」「Omicron」がすっかり有名になったので、わざわざ「Omicron Covid variant」「新型コロナウイルス・オミクロン株」とフルネームを使わなくても、「Omicron」だけで十分通じます。

   わずか1週間足らずで、世界中で知らない人はいないくらいに有名になった「Omicron」ですが、まだその正体は未知のままです。感染力は強いようですが、重症化するリスクやワクチン接種の効果については不透明な部分が多く、不気味さが漂います。

   Much remains unknown about the variant and how it responds to vaccines.
(変異株やワクチンに対する反応については未知の部分が多いままだ)
remain unknown:知られていないまま
responds to vaccines:ワクチンへの反応、ワクチンの効果

   新型コロナウイルスの権威・米国大統領主席医療顧問のファウチ氏ですら、「オミクロン株については、現時点では分かっていること(answers)よりも分からないこと(questions)の方が多い」と発言しているほどですから、正体が化学的に解明されるまでしばらく時間がかかりそうです。

「あなたがコロナ疲れでも、ウイルスはまだ疲れていない!」

   日本で確認された感染例もそうでしたが、これまでの報道を見る限り、オミクロン株の感染が確認された人は、ワクチンを2回接種済みの「fully vaccinated」の人が多いようです。 今のところ、3度目にあたるブースター接種「booster shot」をした感染例は聞こえてきませんが、ワクチンを完全接種していても安心できないことは確実なようです。

   今回、日本政府は早々に外国人の全面的な新規入国停止に踏み切るなど、世界でも類をみない「強力な水際対策」を打って出て、世間をあっと驚かせました。岸田首相としては、新型コロナウイルス対策が「後手」だと批判された菅前政権のことが念頭にあるようですが、海外メディアの反応は微妙です。

   「外国人に限る」といった線引きが、「化学的根拠に基づいていない」「差別だ」と批判を呼んでいます。

   WHO said of Japan's ban on new entries of foreigners," I find it hard to understand "
(世界保健機関は、日本の外国人新規入国停止政策について「理解に苦しむ」と語った

   WHO(世界保健機関)は、「ウイルスにとって、あなたたちの国籍やパスポートは関係ない」と強く批判。米国の専門家も、そもそも海外からの渡航制限といった「水際対策」自体が「buy time」(時間稼ぎ)に過ぎず、根本的にウイルスの侵入を防ぐことは難しいと指摘しています。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、「buy time」(時間稼ぎ)を使った表現を学びましょう。「故意に時間を稼ぐ」といったニュアンスで使います。

   We need to buy time to complete this plan
(この計画を仕上げるために時間稼ぎをしなくちゃ)

   He tried to buy time by saying he hadn't been well (彼は具合が良くないと言って時間稼ぎを試みた)

   I tried to buy more time to finish my assignment
(宿題を終わらせるために、もっと時間を稼ごうとした)

   I'm trying to buy time
(時間稼ぎをしているところ!)

   海外メディアや専門家の批判の声が届いたのか、岸田首相は国際線の新規予約停止の要請を急遽撤回!発言が二転三転する姿に、心なしか不安が募ります。

   米専門家の、

   「you're really tired, but the virus is not tired of」(あなたはもう飽き飽きしているが、ウイルスはまだ疲れていない)

   という警告が不気味に響きます。(井津川倫子)