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いまなぜ「ESG」なのか? レノボ「隠れESGを探せ」プロジェクトに込めた思い

   レノボ・ジャパンは、企業価値を高めるために欠かせないESG(「E」nvironment=環境、「S」ocial=社会、「G」overnance=ガバナンス)について広く知ってもらおうと、「#隠れESGを探せ」プロジェクトを実施している。

   今回のプロジェクトでは、意識せずに実践している節電や節水を始めとするESGアクション(ESG行動)を「隠れESG」と命名。Twitterを通じて「隠れESGアクション」を募集中(2022年1月18日~2月18日)だ。

   ESGをわかりやすいものとして伝えていくこのキャンペーンを通じて、レノボ・ジャパンおよび賛同した企業20社は、日本全体でのESG活動促進をめざしているという。いまなぜ、ESGに着目した企画を立ち上げたのか――。担当者にねらいを聞いた。

  • 「ESG」に着目した企画のねらいとは
    「ESG」に着目した企画のねらいとは
  • 「ESG」に着目した企画のねらいとは

まずはESGについて知ってほしい

   いま、企業経営には、ESG―― 環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)への配慮が求められている。財務内容に加えて、こうした情報が、投資家たちが投資判断をするときの指標となっているからだ。

   そのため、ESGに基づいた経営=ESG経営が欠かせない。具体的なESGの取り組みとしては、環境保全に配慮した調達やモノづくり、労働者の権利に配慮して社会的責任を果たすこと、経営の透明性やコンプライアンス遵守を徹底すること、などがある。

   こうした取り組みを通じて企業は、資本市場での評価を得て、長期的な企業価値を高めることになる。さらに、ESGに注力することが、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にもつながっていく。

いまや投資判断に欠かせない「ESG」
いまや投資判断に欠かせない「ESG」

   重視されているESGだが、その認知度はどうなのだろうか。そこでレノボ・ジャパンでは、18歳~64歳の働く男女を対象として、「ESGの認知率」を調査したところ、60%が「知らない・初めて聞いた」と回答したという。なお、「SDGsの認知率」を聞くと、「知らない・初めて聞いた」は28%と、差が見られた。

   そして、「ESG・SDGs意識/ESGに取り組むことは、実際には難しいことだと思うか?」との質問に対しては、全体の73%が「そう思う」。また、経営者を対象とした調査では、70%が「自社でESGに取り組むことの難しさを感じている」との回答もあったという。

   これらの調査結果を受けるかたちで、レノボ・ジャパンは今回の「#隠れESGを探せ」プロジェクトを企画した。同社のCMO、リュウ・シーチャウさんは

「ESG投資への関心は年々高まりを見せており、今後避けては通れない課題です。そのためにまずできるのは、ESGアクション(ESG行動)の輪を広げていくこと。(それは、たとえば)ESGに取り組む企業の製品を使用すること。ESGに取り組む企業と取引をすること。こうした取り組みによって、自社のESGアクションへつながっていく、との思いからプロジェクトを立ち上げました」

と回答。

   また、今回あえて「ESG」を切り口としたところが特長で、

「SDGsに比べて一般消費者のESGの認知度は低い状況もあり、まずはESGについて知っていただくことが重要です」「難しくとらえられがちな企業のESGですが、消費者でも身近なところから取り組めるアクションもたくさんある、と気づくきっかけづくりができればと考えています」

と説明した。

   なお、「隠れESGアクション」の具体例として特設サイトでは、

「エコバッグやマイボトルを持ち歩く」「無駄な水を使わないように節水する」「無駄な紙を使用しない」「部屋の電気はこまめに消す」「再利用できる資源は、適切な場所に捨てる」

などが挙げられている。

「ESGを自分事化できる取り組み」と賛同

   さらに、ESGに積極的な会社や、環境に配慮した製品を展開する企業など20社がこのプロジェクトに賛同した。

   レノボ・ジャパンとともに、ESGの取り組みについてSNSや広告を通じて発信していく。多くの人がESGに取り組むきっかけづくりとし、日本全体のESG促進をめざしたいという。賛同企業(一部)は、次のようにコメントしている。

賛同企業の20社
賛同企業の20社
「アステリアでは、地域社会と連携しながら、カーボンオフセットを活用した脱炭素社会に向けた取り組み、間伐材の利用促進による森林保全活動などを展開しています。また、当社のソフトウェアも業務の効率化による省エネや、デジタル化を支える技術がペーパーレス等を推進。多様性に富んだ仲間とともに、イノベーティブなプロダクト開発を通じて、持続的な社会づくりに貢献していきたいと考えています」(アステリア)
「『ESG』はこれまでメディア等でよく耳にするものの、自分には直接関係ない、少し遠い存在に感じがちなワードでした。しかし、本プロジェクトは『隠れESG』というキャッチーな表現を用いて身近なESGを見つけ出すという手軽さから、いつの間にかESGを自分事化することが出来る素晴らしい取り組みだと感銘を受けまして、プロジェクトに賛同いたしました」(コニカミノルタマーケティングサービス)
「ESGの3つの視点は、一人一人の社員が心に意識して行動することから始まると感じております。普段当たり前にやっている事が、実は今社会から評価されている事だと気付かせてくれる、素敵なプロジェクトと感じ、賛同いたしました」(JTB)

   なお、レノボ・ジャパンのESGの取り組みも進んでいる。たとえば、環境面。製造工程では、独自の技術によって消費電力の30%以上を、二酸化炭素排出量の最大35%を、それぞれ削減した。

   ユニークなところでは、主力パソコンの「ThinkPad(シンクパッド)」シリーズのパッケージに、新素材の竹繊維を採用。メリットはしなやかで頑丈なうえに軽量、使用後は堆肥にもなるほか、輸送コストの削減や脱炭素への貢献も期待されるという。

   ダイバーシティ&インクルージョンの観点では、全社として2025~2026年度までに、全世界で女性役員とマイノリティの役員の割合を増やす目標を掲げている。