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「投資家」厚切りジェイソンが指南 「お金増やす」3つの手順

   お笑い芸人の厚切りジェイソンさんは、投資家でもあることをご存じだろうか? 彼の場合、資産運用だけで家族全員が安心して暮らせるほどの資産を15年で増やしたという。

   どうやったら、そんなことが可能なのか。本書「ジェイソン流 お金の増やし方」(ぴあ)には、シンプルな投資法と独自の金銭哲学が書かれている。

「ジェイソン流 お金の増やし方」(厚切りジェイソン著)ぴあ

   ジェイソンさんは、1986年アメリカ・ミシガン州生まれ。17歳の時、飛び級でミシガン州立大学へ入学。イリノイ大学エンジニアリング学部コンピュータサイエンス学科修士課程修了。最初はGE(ゼネラル・エレクトリック)に就職。その後来日して、現在はIT企業の役員をしながら日本での芸能活動を続けている。

  • 厚切りジェイソンさんが語る「お金の増やし方」とは
    厚切りジェイソンさんが語る「お金の増やし方」とは
  • 厚切りジェイソンさんが語る「お金の増やし方」とは

支出を抑えて投資に回す

   ジェイソンさんが投資を始めたのはGEに入社後。会社で決められたインデックス・ファンドや自社株に投資をしたのがきっかけだ。

   2年前からは資産運用だけで暮らしていけるようになったが、いま流行りのFIRE(経済的自立と早期リタイア)が目的だったわけではない。だが、実際に経済的に自立してみると、安心と自由のフリーパスポートを得た感じがするという。

   ジェイソン流の投資法はたった3つの、きわめてシンプルな手順だ。

「支出を減らして、残りのお金を投資に回して、待つ」

   それだけだ。

   順番に説明している。まずは、支出の見直しだ。5人家族のジェイソンさんの月の支出は27万円ほど(住居費、保険などを含まず)。驚くほど質素だ。

   支出を抑えることがなぜ大切なのか。それは、支出を減らした方が、新たに所得を生み出すよりはるかに費用対効果が高いからだ。支出を見直すには、毎月どれだけ使っているかを可視化するのが第一歩だ。

   節約家として、こんな本気の「節約術」を披露している。

・自動販売機やコンビニでなるべくペットボトル飲料は買わない! ・必要がないならコンビニに行かない
・より安いスーパーで大量買い&割引買い
・飲み会は基本行かない
・ジムは公共施設を利用
・サブスクリプションサービスは見直す

「3カ月は仕事がなくても暮らせる現金は必ず手元に置く」

   次がいよいよ投資の番だ。これも、とてもシンプルだ。米国株のインデックス・ファンドに、定期的にコツコツとお金を入れていくだけ。つまり、投資信託しかしていない。「長期・分散・積立」投資というセオリーだ。

   ジェイソンさんは、「ドルコスト平均法」という一定額を決めて定期的に投資する方法を紹介している。この方法なら、値動きをチェックする必要がないので気楽だ。具体的には「米国ETF」という取引所に上場している投資信託を利用している。

   いったいいくら投資したらいいのか。「3カ月は仕事がなくても暮らせる現金は必ず手元に置いておき、それ以外のお金はすべて投資に回す」のがジェイソン流だ。危機が起きても、積み立てたファンドを取り崩さないのが肝要だからだ。

   そのため、「収入の何割かを投資に使おう」という考え方は間違っているとも。あくまでも生活レベルは変えないことが大切だ。ここで「支出の見直し」が生きてくる。

   では、手元にあるお金に余裕がない人はどうしたらいいのだろう。そういう人は「手数料が購入額の1%未満になるまでお金を貯めてから投資をスタート」してほしい、とアドバイスしている。

   たとえば、すべての手数料を足して1000円になるのであれば、まず10万円を貯めてから投資を始めるのだ。手数料が1000円かかるのに、1万円で投資を始めてしまうと、手数料分を取り戻すのに時間がかかってしまう。

   また、「毎月入金」する必要はない。大切なのは「途切れずに入金はするけれど、あくまでも手数料が1%未満になる金額になってから」ということだ。

経済的な自立によって、自分がやりたいことをやる

   ジェイソンさんが米国株を推すのは、身の回りにある米国企業の商品と欲望が米国株の強さの理由になるからだという。また、米国株は過去120年の間に大きな暴落がありながら、右肩上がりの成長を続けている。

   投資を始めたら売らないのもジェイソン流。「ゴールはないんだ。死ぬまでずっと投資をする。とにかく長期で保有をしていれば複利の力で資産は増えていく」という信念である。

   上がり続けるインデックス・ファンドでも、チョコチョコ切り崩していたら、その都度手数料や税金がかかり、十分なリターンを得ることができない。手にした分配金もすべて必ず再投資に回している。

   ちなみに、ジェイソンさんは投資信託を売らなくても、毎朝の株価指数チェックは欠かさない。とはいえ、情報で自分の投資法を変えることはない。情報は精神安定剤代わりだ。ほかに、個別銘柄は買わない。暗号資産には絶対投資しないというルールも決めている。

   経済的な自立によって、自分がやりたいことをやる。骨太な人生観が根っこにはあるようだ。

(渡辺淳悦)

「ジェイソン流 お金の増やし方」
厚切りジェイソン著
ぴあ
1430円(税込)