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「栄枯盛衰」は世の習い...就職人気企業ランキング10年比較 「銀行」「航空」凋落、トップ10入り続けた唯一の会社は?

   「10年ひと昔」というが、ビジネスの世界も浮き沈みは激しい――。

   就活中の学生に人気の企業にも栄枯盛衰があることが、就活生支援の情報サービス「学情」が2022年2月1日に発表した2014年卒から2023年卒までの10年間における「就職人気企業ランキング10年比較」でわかった。

   10年間トップ10位に入り続けた企業は、たった1社しかなかった。さて、それはどこだろうか。

  • 会社に入ってガンガン頑張るぞ~(写真はイメージ)
    会社に入ってガンガン頑張るぞ~(写真はイメージ)
  • 会社に入ってガンガン頑張るぞ~(写真はイメージ)

人気業界は絶えず変化していた

   学情の「就職人気企業ランキング10年比較」によると、10年間トップ10に入り続けた企業は伊藤忠商事だけだった。ざっと10年間を振り返ると、こんな流れが読み取れる。

毎日会社に行くのが楽しい(写真はイメージ)
毎日会社に行くのが楽しい(写真はイメージ)

   (1)10年前(2014年卒)は、トップ10に「商社」3社、「金融」2社がランクイン。三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)は、2017年卒のランキングまで上位10社に入り続けており、現在の社会人5年目にあたる世代までは、「金融」が高い人気を誇っていた。

   (2)2016年卒~2019年卒は、ANA(全日本空輸)が4年連続で首位を独占。JAL(日本航空)も上位10社に入っており、現在の社会人3年目~6年目にあたる世代までは、「旅行」「レジャー」が人気だった。

   (3)2020年卒~2023年卒は、伊藤忠商事が4年連続で首位を獲得。味の素やアサヒ飲料など「食品」も高い人気を誇った。

【2014年卒と2015年卒】「半沢直樹」人気の銀行の黄金期もあったが...

   もう少し、細かくみていこう。

【10年前にあたる2014年卒と2015年卒】
   2014年卒の「人気企業ランキング」では、1位の伊藤忠商事を筆頭に、4位に丸紅、10位に住友商事と、トップ10に「総合商社」が3社入った。2位に三菱東京UFJ銀行(現:三菱UFJ銀行)、9位にゆうちょ銀行が入るなど、「金融」も2社が名を連ねた。

   「金融」に関しては、2015年卒の「人気企業ランキング」でも、6位に三菱東京UFJ銀行、10位に三井住友銀行が入っている。三菱東京UFJ銀行は、2017年卒のランキングまで上位10位に入り続けており、現在の社会人5年目世代が就職活動をしていた時期まで、「金融」が根強い人気を得ていたことがわかる。

   テレビドラマ「半沢直樹」ではないけれど、かつて「金融」は安定性・社会的地位の高さ・給与の高さから、公務員や総合商社と並ぶ人気業種の1つだった。しかし近年では、収益力が低下し、店舗の統廃合が進み、メガバンクを中心に人員削減が行われており、就活生の人気は急落している。

(図表1)2014年卒 就職人気企業ランキング(学情制作)
(図表1)2014年卒 就職人気企業ランキング(学情制作)
(図表2)2015年卒 就職人気企業ランキング(学情制作)
(図表2)2015年卒 就職人気企業ランキング(学情制作)

【2016年卒~2019年卒】ANA、JAL、ディズニーの「航空」「レジャー」も華だったが...

【2016年卒~2019年卒】
   2016年卒~2019年卒の「人気企業ランキング」は、ANA(全日本空輸)が4年連続で首位を独占、トップ10に入っているJAL(日本航空)とともに「航空」が黄金期だった。現在、コロナ禍に見舞われたANAは、大量の希望退職者を募っており、やっと昨年(2021年)暮れ、2023年度入社の新卒採用の再開を決めたことがニュースになったばかりだから、隔世の感がある。

   JTBグループや、ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド、エイチ・アイ・エス(H.I.S.)など、「旅行」や「レジャー」も上位にランクインしており、人気を集めていた。「旅行」「レジャー」も現在、コロナ禍にあって「冬の時代」だから、たった数年で懐かしいランキング表となってしまった感がある。

(図表3)2016年卒と2017年卒 就職人気企業ランキング(学情制作)
(図表3)2016年卒と2017年卒 就職人気企業ランキング(学情制作)
(図表4)2018年卒と2019年卒 就職人気企業ランキング(学情制作)
(図表4)2018年卒と2019年卒 就職人気企業ランキング(学情制作)

【2020年卒~2023年卒】出版不況なんのその...講談社、集英社がランクイン

【2020年卒~2023年卒】
   4年連続で伊藤忠商事が首位を獲得した。味の素やアサヒ飲料など「食品」も高い人気を誇っている。任天堂が、2021年卒9位、2022年卒6位、2023年卒5位にどんどん順位を上げており、「ゲーム」がこの3年間で人気を伸ばした。

   最新の2023年卒の「人気企業ランキング」は、4年連続首位を更新中の伊藤忠商事に続き、2位に講談社、3位に集英社がランクインしたのが大きな特徴だ。「出版不況」と言われ続けた出版業界だが、漫画・アニメブームにあわせて、ビジネスのデジタル化が進んでいる。漫画コンテンツのデジタル化により、とくに漫画に強い出版社が成長軌道に乗ったことが人気を集めた要因だ。

   一方で、業績が好調な「小売り」のイオングループも、2022年卒から順位を1つ上げ9位に入った。コロナ禍で「巣ごもり消費」や「ステイホーム」を支える企業が、引き続き支持を集めていることがわかる。

(図表5)2020年卒と2021年卒 就職人気企業ランキング(学情制作)
(図表5)2020年卒と2021年卒 就職人気企業ランキング(学情制作)
(図表6)2022年卒と2023年卒 就職人気企業ランキング(学情制作)
(図表6)2022年卒と2023年卒 就職人気企業ランキング(学情制作)

   最新の「2023年卒対象 就職人気企業ランキング」の調査は、2021年4月1日~2021年10月31日まで、2023年3月卒業予定の全国大学3年生、大学院1年生を対象にアンケートが行われた。有効回答は8249人だった。