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投資初心者がオンライン型金融スクールにジワリ増えるワケ グローバルファイナンシャルスクール校長の市川雄一郎さんに聞く

   2022年4月から高校で「金融教育」が必修となるけれど、よくよく考えると大人になってからも、「お金」や「投資」のことを学ぶ機会はそれほど多くなかった。

   そこでいま、金融への関心が高まりを受け、「金融スクール」にも注目が集まっている。ここでは、投資未経験者や初心者が、経済のこと、金融のこと、資産運用のことを基礎から学べるところが魅力。しかも、オンライン形式であれば、場所や時間も問わないから、自分の予定にも合わせやすい。

   こうした「お金」や資産運用への関心の高まり、金融スクールの魅力などについて、オンライン型金融スクール「Global Financial School(GFS=グローバルファイナンシャルスクール)」校長の市川雄一郎さんに話を聞いた。

  • グローバルファイナンシャルスクール校長の市川雄一郎さん
    グローバルファイナンシャルスクール校長の市川雄一郎さん
  • グローバルファイナンシャルスクール校長の市川雄一郎さん

欧米では当然... いまこそ考えなくてはならない「資産運用」

――ファイナンシャル・プランナー(FP)の最高峰の資格2つ(※)をお持ちの市川さんが、「お金」に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

市川雄一郎さん「私の経歴を少しお話しすると、もともとは独立系ファイナンシャルプランナー(FP)として、コンサルティングに携わっていました。
   FPになったきっかけは、大学卒業後。世の中は、景気がよくても悪くても、お金がとても大事だな、とあらためて思ったことです。金利がよかった時代もありましたが、世の中は絶えず変化していきます。ゼロ金利状態でお金が増えにくい状態にもかかわらず、日本にはお金の相談にのってくれる専門家が少ないと気づきました。海外でFPは当たり前の存在でしたから。
   しかも、お金のことを相談したいと思ったら、預金や保険、不動産、税金など、それぞれの専門家や企業に聞かなくてはなりません。一方で、保険会社などは会社として売りたい金融商品もあるでしょう。そうした中で私は、お金の知識を生かして、お客様一人ひとりに合ったアドバイスができれば、とFPになりました。また、私からのアドバイスを通じて、お客様自身も勉強してほしい、そんな思いを持っていました」

※「1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)」/世界25か国・地域(2021年3月現在)で導入されているFP国際資格の最高峰「CFP(R)」

――いまは資産運用への関心が高まっていますね。

市川さん「世の中の景気状況によるところもありますが、国から出された老後の2000万円問題が引き金になったのかと思います。また、企業が副業を認める動きもあり、『会社での将来的な保証はない』と感じ、これからは自分でなんとかしないと、と将来の不安を感じる人も少なくなかったのかなと思います。証券口座の開設数もコロナ後で急激な右肩上がりですし、資産運用への関心の高さがうかがえますね」

――資産運用を始めるには、やはり「お金」の知識を身につけたほうがいいのでしょうか。

市川さん「金融商品には、その人に向いている商品と、向いていない商品があります。ようするに、万人向けの金融商品はないのです。ある意味、金融機関などは老若男女に同じ商品を勧めてくるので、その説明に対して、自分できちんと反論できるかが大事ですね。とはいえ、『この金融商品は本当に私が買って大丈夫ですか?』と聞くには、聞けるだけの知識が必要です。お金の知識を身につけてほしいのはそのためです。でも、日本人の多くは知識が不足していると感じます」

――詳しく教えてください。

市川さん「ひとつには、日本の文化にあると思います。小さい頃からお金のことを親と話すことはあまりない。また、お金の話、儲け話を、はしたないとするところがあると思います。
   そのため、お金の運用や株式投資は、ラクして儲ける、といった見方をされることが多々あります。一方で、アメリカやヨーロッパでは、資産運用はしておくべきこと。とくに、社会人になったら株式投資をしていくべきだといわれています。日本とは違いますね。しかも、欧米では、小さいときから資産運用の勉強をしているので、投資への抵抗もありません。親が教えることもありますし、高校でも資産運用の授業できちんと教えています。もっと言うと、欧米では『お金を運用しないことは、自分の資産を減らすこと』が一般常識となっています」

初心者&50~60代の「学びたい」意欲高い!

――市川さんは日本でももっと、「お金」の知識を身につける文化が根づいてほしいと考えているのですね。そうした思いが、オンライン型金融スクール「グローバルファイナンシャルスクール」の立ち上げにつながったのでしょうか。

市川さん「もともとは、『お金の学校』として泊まり込みの合宿スタイルで始めました。本格的にオンライン化したのは2019年。インターネットやスマホの普及から、スキマ時間に勉強できるのが理想的だと、現在のオンラインスタイルが定着しました。
   講座は最近では生ライブ形式も多く、先生と生徒がチャットでやり取りできるところも特長です。スクールからの一方向の情報だけでなく、チャットや掲示板を活用した双方向のコミュニケーションができることで、些細な疑問・質問への回答が得られるため魅力だと思います。また、アーカイブ機能があるので、後からライブ配信した講義を閲覧することも可能です。
   講座数は現在、1600を超えました。当初は数百程度でしたが、ここにきてペースが上がっています。新しい情報はどんどん出てきますので、講座数はこれからも増えていくと思います。コースとしては、受講者が勉強したい内容によっていくつか用意しています。たとえば、初めて投資を学ぶコース、株式投資の初級コース、少しレベルの高い達人コース、など。レベル順に講座をセレクトできるようになっています。生徒数は2022年2月27日現在、1万5083人です」

――どのような方が入校されるのですか?

市川さん「レベル別に講座があるため幅広い層で利用していただいていますが、最近は初心者が多い傾向ですね。具体的には、投資を全くしたことがないゼロベースの方、投資をしたことあるけれど全然うまくいかなくなった方、これまで金融機関からすすめられた商品を買ったけれどあまりいい状態にない方、などです。なかには、なかなか利益が出せてなくて、真剣に勉強したいという熱意ある方も増えていますよ。男女比では若干男性が多く、6対4くらい。年齢層での中心は30~40代ですが、10代や大学生もいます。最近は、50~60代が増えてきている印象を受けます」

――投資初心者に向けて、スクールではどのようなことをお伝えしているのですか?

市川さん「まずは、お金や投資の『ルール』を身につけてほしいと思います。
   たとえば、仮に自動車も飛行機も電車も知らない人がいたら、歩くという手段しか思いつかないでしょう。しかし、飛行機に乗れば、いち早く遠くへ行けるし、時間も節約できる。つまり、移動するためには、歩く以外にも、いろんな手段があるわけです。
   一方で、歩くことにもリスクはあります。赤は止まる、青は進んでもよいという交通ルールを知らなければ、道を歩くだけでも危険です。いやルールを知っていても、青なのにクルマが飛び込んでくるかもしれません。だから、周囲を確認しながら歩くことで、事故のリスクを避ける必要がありますよね。
   このたとえと同じように、資産運用(というお金を移動させて、資産を増やすこと)を始めるにあたって、まずはお金や投資のルールと、その使い方を知ることが大事です」

――ほかに、心構えとして大事なことは?

市川さん「資産運用の『考え方』も知ってほしいと思います。資産運用はラクしてお金儲けできるという見方をされがちですが、これは完全に間違った考え方。ラクしてお金儲けなんてできません。私たちは『資産運用は労働である』と伝えています。勉強もしないで資産運用や株式投資を始めても、利益を生んでくれません。ラッキーパンチはあるかもしれませんが、ずっと続くことはありません。だからこそ、しっかりと身に着けた資産運用の知識を生かして、実践することが大事なのです。
   会社員が働く(労働)には、スキルが必要ですよね。そのスキルが高まれば、給料も上がっていく。資産運用もそれと同じ。勉強と慣れによって、いろんな手段や売買のタイミングなどを理解できるようになると、投資は大変なものではなく、少なからずリスクはあるけれど、楽しいものだと実感できるようになると思います」

投資のルールと考え方を学び、そして実践を

――ちなみに、今はどのような講座に人気がありますか?

市川さん「先生にファンがつくこともあります(笑)。ファンの先生の講座ばかり受ける生徒もいるようですね。ただ、そういう意味でも私たちは、講師の質を重視しています。人気講師ともなれば、通常講座だけでなく、ライブ講座追加の要望が生徒から届くほどです。ジャンルでいくと、株式投資は人気。講座ではよく『株式、債券、不動産を中心に資産運用しましょう』と言いますが、外国為替証拠金取引(FX)などを専門とする講座もあります。
   そして、なんといってもライブ講座に人気です。平日の夜にもかかわらず、少なくても300人くらい、多いと700~800人くらいが1回の生配信されるライブ講義に参加することも。チャットでの会話を楽しみにしてくださっているようです。講師陣は、どんな質問にも熱心に回答しています。最近は初心者が増えているので、なるべく初心者のみなさんも話についていけて、楽しい講義になるよう心がけています」

――投資の未経験者、初心者へのアドバイスは?

市川さん「そうですね。やっぱり実践が必要です。料理を例にすると、料理学校で学んでも、実際に作らない限り、上手になりませんよね。また、一流の料理研究家の先生に教わって、最高の食材、素材を使って料理すれば、誰もが一流のコック並みの料理を作れるようになる......ということはあり得ませんから。
   やはり、経験を積み重ねて、うまくなるわけです。投資もこれと同じではないでしょうか。実践を積まなければ、上手にならない――これは私の持論です。少額からでいいので、ぜひ経験を積んで、『投資の感覚』に慣れてほしいと思います。今は100円とか、一株とか、少額でも投資を始められます。実際に自分のお金を費やすと、減らしたくないという気持ちも出てきます。そうすると、さらに勉強したい気持ちがわいてくると思います」

――多くの人がお金や投資に関心を持ち、勉強することで、日本も変わっていきそうでしょうか。

市川さん「そうですね。私としては、親子間でお金の話を当たり前にする文化が日本に根づいてほしい。子供が親からお金のことを学ぶ、その影響は大きいと思います。それに、親子間で自由にお金の話ができたら、たとえば子供はなぜお小遣いをもらえるか、きちんと考えられるようになるのでは。ふつう、子供にとってお小遣いの使い道は、好きなものを買うか、貯金するくらいだと思います。それにくわえて、投資もできるという関心も芽生えたら、いいなと思います。
   グローバルファイナンシャルスクールの生徒には親世代も多いので、学んだことはぜひ子供たちに教えてほしいと思っています。その輪が広がると、日本経済も大きく変わってくると信じています。一人二人の行動で世の中は変わらないかもしれませんが、たとえば将来、スクールの生徒数が100万人になり、その生徒が株式に投資をしたら、株式市場が活性化して、世の中もいい方向へと変わるはずです。日本経済の活性化に向けて、その礎を築く使命をグローバルファイナンシャルスクールが担えたらと思っています」

(聞き手 牛田肇)



【プロフィール】
市川 雄一郎(いちかわ・ゆういちろう)

Global Financial School 校長
一般社団法人 資産運用検定協会 理事長

国家資格 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。世界25カ国・地域で導入されているFP国際資格の最高峰であるCFP(R)を取得。MBA/経営学修士(専門職)。
東京証券取引所ニッポン経済応援プロジェクトの専門家集団「東証+YOU応援団」の1人として全国の投資家育成に尽力。テレビ、ラジオ等出演多数、各メディアにて取材、寄稿、監修多数。自身のラジオ番組「投資のベースキャンプ」(ラジオNIKKEI)も人気。近著に「投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え」(日本経済新聞出版)がある。
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